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渋くて地味に熱いウエスタンコミックに酔う。男たちの人生観が変わる瞬間を描いた秀作『OLD WEST』

西部劇といえばジョン・ウェインやイーストウッドのようなヒーローが思い浮かぶ。

はたまた『華麗なる対決』でのブリジット・バルドー(BB)対クラウディア・カルディナーレ(CC)や『女ガンマン皆殺しのメロディ』のラクエル・ウェルチなど女たちが輝くウエスタンもあった。

 

最近は、『ジャンゴ』や『ヘイトフル・エイト』でタランティーノウエスタンが映画界をにぎわせ、アントワーン・フークアも『マグニフィセント・セブン』で楽しませてくれた。

ドラマでは、HBOが『ウエストワールド』でロボットたちによるSFウエスタンを、倫理観などをテーマに入れて重厚に描いている。

 

この西部劇というジャンルは時代に合わせて進化しつつも、そのウエスタン魂的なものは今も昔も変わらず愛されている。

 

そんななか、とびきり渋くて映画ファン好みな西部劇漫画が発売された。

その名も『OLD WEST』

 

Old West (アクションコミックス)
無料試し読み
著者:前田 千明
出版社:双葉社
販売日:2018-06-12

 

表紙がまずめちゃくちゃ渋い。

書店で平台に積まれていても全然目に入ってこないような渋さ。

このこびない感じがまた中身に合っていて素晴らしい。

 

著者の前田千明さんは2014年に『Old West』で第75回小学館新人コミック大賞に入選受賞し、2015年に「ビッグコミック3月増刊号」にて同作でデビューした。

 

新人コミック大賞でこの渋さ!

どえらい才能である。

 

バイプレイヤー的な渋いキャラに、ぐぐぐっと焦点をあてる技量たるやもう大変なもので。

 

娘からの同居の誘いを断り続けてきた初老の男。

食べたウサギの骨をきちんと埋葬する心やさしい強盗。

体に染みついたポーカーを女のためにやめる決断をした男。

父親を殺した悪党を探し続ける男。

銃を扱うことを希望するネイティブ・アメリカン。

 

どれもイーストウッドのような主役タイプではないのだが、より現代人が共感しそうなあたりの人々だったりする。

マンガでいうと『MASTERキートン』、映画でいうと『スモーク』を好きな方はきっと本作を楽しむことができるだろう。

強くて安い酒をお供にじっくりと味わっていただきたい秀作である。

 

 

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