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たった一つの「出会い」があれば、あなたの世界は無数に広がる。大切なことに気づかせてくれた少年とのひと夏の思い出『月曜日の友達』
月曜日の友達 1 (ビッグコミックス)
著者:阿部 共実
出版社:小学館
販売日:2017-08-30

 

あの山の向こうを越えたら、そこにはどんな世界があるのだろう?

 

この退屈でゆううつな日々を終わらせてくれる何かが、ぼくを待っていてくれるのだろうか?

 

 

そんな他愛もない妄想を考えたこと、かつてあなたにはありましたか?

 

ぼくが中学2年のころは、とにかく新しい環境になじめず苦労していた記憶があります。

 

受験をして私立に入ったはいいものの、学校の空気になじめず、クラスメートと仲良くなれず、ケンカしたり嫌がらせされたりと、とにかく落ち着かない日々でした。

 

一方で、地元の中学に進学した幼なじみの様子を聞いたりして、楽しそうにやっているのを知ると、

ここから抜け出してぼくもそっちに行けたらな、と思うこともありました。

 

今思えば、ぼくはその時自分の殻に閉じこもって、周りと関わることをしようとしていませんでした。

周りにあまり興味を持とうとしてませんでした。

 

だからきっと、この漫画の主人公のように、不思議な出会いをすることもなかったのではないかと思います。

 

この主人公は、平々凡々な日々に退屈を感じていても、

変わっていってしまう者たちに怒りを感じても、世界を遠ざけるようなことはしません。

ちゃんと向き合う勇気を持っています。

 

だから夜の校庭で出会った少年にも、やたら絡んでくるヤンキーの少女にも、まっすぐな気持ちでぶつかっていく。

 

そんな少女が体験した、不思議でちょっと切ないひと夏の思い出を描いたのがこの漫画です。

 

 

このマンガを読んで感じたことは、人はやっぱり人とお互いに認め合って支え合って生きているのだということです。

 

 

人が前を歩いて生きていけるのも、自分の世界を変えていけるのも、

誰かがその人のそばにいて、支えてくれたり、引っ張ってくれたりするからです。

 

だからこそ出会いは人と人との出会いは尊くて、とても大切なものなのだと思います。

 

そして別れがつらいのもまた、その出会いに大きな意味があったことの証明。

自分の人生が豊かになったことの表れではないでしょうか。

 

このマンガを読んで個人的に心に響いたのは、ヤンキー少女の、死んでしまった兄への思いです。

 

不良と恐れられ、多くの人に迷惑をかけ、時には恨まれている存在でも、

少女にとってはかけがえのない存在、優しい兄だったのだと泣き叫ぶシーンがあります。

 

物事も人も、見えるものは必ずしも1つではなくて、

見る場所や角度を変えると、まったく別の様子が浮かび上がる。

 

死んでよかったと周りから思われてる兄でも、私にとってはすごく悲しい。

人が見せているものというのもまた、決して1つではないということだと思います。

 

だからこそ、決して思い込まず、遠ざけることなく、

目の前にいる相手と向き合う大切さをぼくらは理解する必要があります。

その一歩を踏み出す勇気を、主人公たちから学んだような気がしました。

 

未熟でも目の前のできごとに苦悩しながらぶつかっていく少年少女たちの姿を、

あたたかい目で見守ってみませんか?

 

月曜日の友達 2 (ビッグコミックス)
著者:阿部 共実
出版社:小学館
販売日:2018-02-23