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2010年代の『コボちゃん』こと『そふとそぼ』とお盆の終わりに大切な人のことを考える

 

 

 

私はずっと祖父のことが好きではありませんでした。

 

物心ついたときから三世代同居で、帰省という感覚はないし、昔の思い出話を何度も話し、携帯の使い方を何度教えても覚えようとしない祖父で、小学生のときにはそのスキンシップの多さが嫌だからと避けるようになったこともありました。

 

 

ことしはその祖父の新盆でした。

 

 

亡くなったからといって急に善人になるわけではありませんが、お盆で迎え火や送り火をしているときなど、ふとしたときに思い出すとなんとなく鼻の奥がツンとしてしまうものです。

 

 

 

そんなとき見つけたのが『そふとそぼ』でした。

 

そふとそぼ(1)
著者:若戸だいご
出版社:幸葉館
販売日:2017-04-12
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『そふとそぼ』って?

 

 

『そふとそぼ』の徳さん春さん夫婦は、そこそこ都会に二人暮らしで住んでいて、たまに娘夫婦と孫が遊びに来るような夫婦です。

 

『サザエさん』『コボちゃん』のような、家族を描いたほのぼの四コマ漫画なのですが、前者のように同居していないところ、そしてなによりWeb連載とKindle販売をしているところがいまっぽいです。

 

 

連れ添って60年のふたりは、いまでもラブラブなおしどり夫婦です。

 

ある時期、春さんの入院で徳さんが家で一人暮らしをする時期があるのですが(その間連載タイトルが『そふ』になっているのも面白い)、徳さんは1日でも会えないのが我慢できず、毎日通ったうえ、病室で寝泊まりしようとするほどのラブラブっぷりです。

 

 

一方の春さんは、徳さんからの誕生日プレゼントが置いてあるのを見つけてしまいながらも見て見ぬフリをし、当日初めて見たかのようなリアクションをしてあげていたり……。

徳さんと春さんは、結婚して60年経ってもめちゃくちゃカップルなんです。

 

 

そんな楽しい夫婦だからこそ、周りにはたくさんの人が集まるようになります

 

 

妻を亡くしたゲンさんや、認知症の夫よっちゃんを老老介護する奥さん、母親を亡くした幼稚園生のさくらちゃんとその父親……。

 

みんなそれぞれ少しずつ大変さを抱えていて、その大変さを、徳さんたちはあたたかく受け止め、寄り添って、毎日をちょっとずつ楽しくしています

 

 

 

徳さんに学ぶ大切な人との付き合い方

 

 

『そふとそぼ』は、徳さん春さん夫婦が核になっており、家族の絆が描かれています。

 

ただ、それだけではないのが『そふとそぼ』がじーんとくるところであり、いまっぽいな、と私が思う所以でもあります。

 

 

たとえば徳さんの幼なじみのよっちゃん

よっちゃんは認知症を患っていて、奥さんが老老介護をしています。

 

そこに徳さんは毎日のように遊びに行くのですが、そのたびに徳さんのことを忘れてしまうよっちゃんと毎日はじめましてから遊んで、夕方に帰ることを繰り返しているんです

 

 

この徳さんの行動は、よっぽどよっちゃんが好きじゃないとできないことですし、このちょっとした徳さんの訪問がよっちゃんの奥さんの精神的負担を軽減していると思います。

 

 

だれかと二人っきりで居続けるのは、どんなに心を許していても時々うっとうしくなるものだと思います。家族ならなおさらですし、その家族が介護の対象になったらもっとです。

 

 

目の前で起こっている事実は事実として受け止めたうえで、その事実をどう楽しんで、これからどう楽しくしていくか。

そういうことを徳さんは背中で示してくれているような気がします。

 

 

そんな友達思いの徳さん、春さんとのラブラブっぷりもとってもキュートです。

このラブラブっぷりも、先に書いた春さんへのプレゼントへの新鮮な反応のように、毎日のちょっとした気遣いの積み重ねの上に成り立っています。

 

大切な人だからこそ、大切にし続けるためのちょっとした工夫や努力が大切だ、と言ってしまうと積極臭くなってしまうのですが、「めちゃくちゃ春さんのこと好きやん!!」と突っ込みたくなるほどの愛で徳さんが伝えてくれていると思います。

 

 

お盆に帰省した方も、帰省できなかった方も、帰省先がない方も、家族と仲が良くても悪くても、大切な人、大切にしたい人を思って読んでみてほしいなと思います。