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不登校の小学生が鳥山明先生に出会うまで。『学校へ行けない僕と9人の先生』

筆者にとってこの漫画は、自分の既成概念を根底から覆した、とても新しく、恐ろしい漫画である。

 

学校へ行けない僕と9人の先生 (アクションコミックス)
著者:棚園正一
出版社:双葉社
販売日:2015-03-16
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作品を知ったきっかけは、作者へのインタビュー記事だった。
”小学校~中学校時代、不登校だった著者の実体験を基にした作品”という触れ込みには興味が沸かなかったが、作品に鳥山明先生が登場すると聞いて第1話を読んだ。

 

驚いた。物語の始まりと共に登場した1人目の「先生」が、小学1年生の主人公を殴るのだ。しかも2回。漫画の世界に描かれた出来事のことなのに、自分の目を疑った。

 

その出来事をきっかけに学校に行けなくなった主人公は、布団で身体をくるみながら呟く。

「フツウにならなければ。みんなと同じにならなければ。」

フツウになる為になんでもするようになった主人公は、自分に嘘をついて、流行りの玩具を買って、他人を馬鹿にして、一生懸命フツウを演じる。

 

しかしそんな日々も長くは続かず、また学校に行けなくなる。

 

不登校になった子どもがどんな気持ちを抱くのか。
教育に携わる教員や不登校児童を支援する大人がどう見えるのか。

 

誰も責めることなくただ淡々と、小中学生の頃に見たこと、感じたことを描きだした物語は、真実を映し出す鏡のようだ。

 

作者が描く物語は、鳥山先生に出会って終わりを迎える。
しかし読み手の物語は、ここで終わらない。

 

漫画の世界から現実世界へと飛び出し、読み手を成長させてくれる漫画。
今まで読んだことのない新しい漫画を、ぜひ、楽しんで頂きたい。

 

※本記事は前身メディア「マンガHONZ」時代に応募された、ゲストレビュアー末尾さん(専業主婦)によって投稿されたレビューです。

 

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