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名ギタリストは誰だ? 日本きってのプレイヤーは彼しかいない! それは鳥飼修一くんだ!

先日、”Guns n’ Roses” の日本公演に行ってきました。 黒Tシャツにライダース、チェックシャツを着た中年男女が大挙してさいたま市に足を運び、青春を取り戻しておりました。まあ私もそのひとりだったわけですが。

 

メンバーだったギターのスラッシュが、ボーカルのアクセルとの長年の不和を乗り越えてツアーに参加していたことも、ファンを喜ばせていましたね。 
で、そのスラッシュのギターってすごくうまいとよく聞きます。

 

が、いちミーハー音楽好きにはイマイチそういうのはわかりません。 
どういうのがうまくて、どういうのがうまくないのか、もうプロのレベルになるとどこらへんで判断するのかさっぱりです。

 

そのため、和久井の心の中でもっともギターのうまい人といったら、鳥飼修一くんなのです。 
誰だオマエって感じですかね。

 

『紅い牙』シリーズに登場する、ギタリストです。

紅い牙2 鳥たちの午後
著者:柴田昌弘
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 バード初登場の作品

 

『紅い牙』シリーズは、少女マンガ界では大変珍しい男性作家である柴田雅弘さんの代表作です。 古代長人類の血を引くランと、彼女をつけ回す悪の秘密結社タロンとの戦いを描いています。

 

とてつもない超常能力を持つランをタロンに引きこもうと、幹部たちは次々と刺客を送り込んできます。
ランはそのたびにトラブルに巻き込まれ、身近な人たちを失ってしまう。

 

鳥飼修一くん(通称バード)は、やはりランと関わったために人生が大きく変わってしまった1人。大変わかりやすい感じの不良だったバードは、当時の流行に乗っかってギターなどを弾いております。

80年代は大変なバンドブームだったんですな(同時にマンガ界では超能力者ブームでした)。

 

シリーズ最後の連載作品となった『紅い牙 ブルー・ソネット』は、サイボーグとなった美少女ソネットとランとの戦いを描いた長編です。

 

紅い牙 ブルー・ソネット (1)
著者:柴田昌弘
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メレケス博士は高いサイボーグ技術を持った科学者ですが、彼はバードにもサイボーグ手術を施します。そうしてバードは、意に沿わずにタロンの手にかかり、怪力を持つ機械人間として生まれ変わったのでした。

 

そのバードが、サイボーグ化したあとに初めてロックバンドのコンテストでギターを弾くことになります。

 

そこでバードは、32ビートを弾き、会場をアッといわせます。 
「Dr.メレケス……! おれぁ4年目にしてはじめて…あんたをたいしたものだと思ったぜ!!」
「くやしいがあんたの技術は認めざるを得ねえ。この指は昔の…自前の指とまったく変わらずに動く!」 
「さらにおそるべきは、このからだ全体が人間の10倍もの反射速度をもって動くということだ!!」 
と感慨深く思ったあと、バードはさらにヒートアップし、64ビートを披露します。

 

もはや手の動きが見えないそうです。32ビートでも超絶技巧といわれているそうですが、それを上回る64ビートです。

 

音楽素人には何のことかさっぱりわかりませんが、画面の驚愕しているバンドメンバーや観客の顔を見ると、
「なにやらたいそうすごいことなんだな」ということがわかります。

 

64ビートがどんな音だったかというと、 
「ボウイングのうねるような連続音」 
「しかしその力強さと明瞭な太さはまぎれもなく一音一音ピッキングされたもの」 
「パルスコードによるデジタルサウンドともいうべきたくましく重量感溢れる音の奔流」 
だそうです。

 

審査員のひとりが「こりゃあ人間業じゃない…!」と叫んでいますが、そりゃバードはサイボーグですから。

 

紅い牙 ブルー・ソネット (9)
著者:柴田昌弘
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バードの超絶技巧は9巻で

 

とまあ、音が聞こえない漫画のワンシーン、それがどれだけすごいかを、あらゆる手法を使って表現しています。
この作品を読んだのは子どもの頃でしたが、言葉として、形としてすごくわかりやすく、バードはすごいギタリストなんだなってことがわかったわけです。

 

「誰々のギターはうまい」というような話を聞くと、「どううまいのか」を聞いてみるんですが、バードくらいわかりやすくうまそうな説明をこれまで聞いたことがありません。

 

以来、和久井的に「すごいギタリスト」といえばバードなわけですが、今読み返してみたらバードはベーシストだったみたいです。
ソロパートみたいなのを弾いていたので、てっきりギターかと思っていました。
まあその程度の音楽好きの知識は、その程度だってことですね。

 

バードのバンド活動のくだりは『紅い牙 ブルー・ソネット』の壮大な設定の中では小さな話なんですが、ちょっと思い出したので取り上げてみました。

 

少女マンガは、女性作家が活躍する場であることが大きな価値の1つです。
女性ならではの感性と心遣いは、読んでいて安心感があるし、大いに共感できます。しかし大量のメカや、(当時の)最新技術、複雑な組織図など、女性作家があまり得意ではないダイナミックさが、この『紅い牙 ブルー・ソネット』の魅力です。 ここで初めて知った科学的・医学的知識も多かった。

 

作者の柴田雅弘さんは男性誌にも描いていた方なので、男の人にオススメの漫画として、『紅い牙 ブルー・ソネット』はうってつけだな、と思いました。 64ビートがすごいんだってことがわかる音楽通の方にもぜひ。