TOP > マンガ新聞レビュー部 > 女子大生と童貞男子、二人っきりで「大人の」ビデオを見ることになったときの対処法『惰性67パーセント』

先日、僕がマンガ新聞でレビューを書いているという話を、妻が自分の職場でしたらしい。
職場の人たちはわりと「すごーい」と言ってくれていたみたいだが、僕のレビューはなぜかちょっとエッチな作品がちょいちょいあるので内心ビクビクしている。どうも、レビュアーのころくです。
そんな僕が今回紹介したいのは、紙魚丸さんの『惰性67パーセント』だ。
この紙魚丸氏、本作を描く前は直球のエロ漫画を描いていたらしく、某絵描きサイトにもいろんな過激なイラストを描き上げている人気のエロ漫画家だったもよう。
今回の作品で一般商業誌初連載という紙魚丸さんが描くのは、美術系大学に通う女子大生・吉澤みなみ(20歳)と女友達の北原、そして2人の男友達・西田と伊東によって繰り広げられる、ちょっとエッチで怠惰な大学生活だ。
絵画科のアトリエに馴染めずに吉澤さんが入った漫画研究会。
描くものはなぜかエロ漫画じゃないとダメで、男性器を描くのに苦労していた時に北原さんが連れてきた西田くんと伊東くん、という設定から話は始まる。今回僕が注目したのは、西田くん。
©紙魚丸/集英社
今回は、彼に大学生の頃の、童貞だった頃の自分を重ねて、本作に登場するシチュエーションを自分ならどう対処するかシミュレーションしながら読んでみた。
なお、この作品自体は吉澤さんの視点を中心に描かれているため、西田くんの心の声の出番は少ないことは伝えておこう。
初対面の女の子に「ちんちんのことが分からない」と言われる時の対処法
©紙魚丸/集英社
僕は第1話を読んですぐ、大学生の時に置いてきたはずの僕の中の童貞を呼び起こしてみた。
もし僕が今童貞だったら、初対面の女の子から突然「ちんちんのことが分からなくて……」なんて聞かれたらどう答えるだろうか。
しかも、聞いてくる吉澤さんはもさい格好をしているけど素材はいいモノを持っていそうだ。いきなり難問に直面した。
彼らが実際どんな会話を繰り広げたのかは、本作を読んでいただくとして、多分、僕は優しくペニスのフォルムをペンで書いたり、説明をしてあげるだろう。何ならちょっとおもしろおかしくして。
で、その後にこう言うのだ。「あんまり他の人の前でそんな話しないほうがいいよ、女の子なんだから。オレじゃなかったら襲われてるぞ」と……。襲う勇気もないのに。※ただし◯◯している
大学の同級生の女の子と二人っきりでAVを見ることになった時の対処法
©紙魚丸/集英社
出ました。こんな体験は基本的にはありえないシリーズの代表格である、女友達と二人きりでAV鑑賞をするというシチュエーション。
これが実際に起ころうもんなら、お互いに「今夜はどこまでいってもいい……」という覚悟はあるだろう。
今回のこのシーンは、本来3人で見ていたところから始まっているので偶発的に発生してはいるが、なかなか油断できない状況にある。
童貞と処女が一緒にAVを観たら、相手の気をそらすために発した言葉が逆効果になるようだ。
気を取り直して僕ならどうするだろうか。まず、いかに音を立てずに生唾を飲み込むのか、このポイントに集中する。
そして、バレないようにちんポジを調整する。このように、興奮していることを相手に伝わらない工夫を考えるのが先だ。
アリバイ工作ができたら、余裕があるように振る舞いながら言うだろう。
「こういうのって、女の子でも見るんだ?やっぱりそうなんだねー」と……。※ただし、◯◯はしている
エロ質問ゲームでSEX経験を聞かれた時の対処法
エッチな質問に対して匿名でYes/Noを答えるというシンプルなゲームが始まった。これは楽しい。何も生産していない時間だが、圧倒的に楽しくてリア充な時間だ。
ここで西田くんは童貞のくせにウソを付いている。それではダメだ、甘いのだ。僕なら胸を張って童貞を宣言し、こう言うだろう。
「その辺の考えちょっと古いかもしれなくて、みんなにはわからないと思うけど、子どもを生む行為だし、本当の愛情を持てているか自信がないから踏み出せないんだ」と……。※むろん、◯◯はしているが
結果的にエロ漫画よりエロさが充満する作品になっていた
途中から何をやってるのかが分からなくなってきたが、何が言いたかったかというと、この漫画のシチュエーションがいちいち羨ましかったということだ。
まぁ、基本的にはありえないようなシチュエーションなのだが、さすがエロ漫画を描いているだけあって、描写がエロい。
振る舞っている女性陣がエロさのかけらもないのが逆説的にエロさを助長している。
『惰性67パーセント』には、僕たちの知らない女性の日常生活におけるガサツさ、無防備さ、大胆さ、エロさがあった。
童貞を卒業してしばらく経つ。完全に主観だが、本作品は童貞を卒業した人のほうがより楽しめるのではないだろうか。
続刊では、どんなシチュエーションで、僕の中の童貞を掘り起こしてくれるだろうか。楽しみだ。※今は◯◯はしていない
(文:小禄卓也)
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