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『花井沢町公民館便り』の脱出方法を真剣に考えました
花井沢町公民館便り(1) (アフタヌーンコミックス)
著者:ヤマシタトモコ
出版社:講談社
販売日:2015-03-23
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漫画『花井沢町公民館便り』の舞台は、 刑務所などで使われる予定だった隔離シェルターの開発事故により、外界から町が隔離されてしまった花井沢町
この町は、生命反応があるものを通さない透明な膜のようなものに覆われ、生き物は全て出ることも入ることもできなくなった。

 

そして事故に伴い開発チームも解散し、実質捨てられた町となっている。

事故が起きてから間もない頃と、何十年も後の話が、作中それぞれの登場人物の人生をかいつまむ形で描かれている。

外界から隔離された町の中で、人々はどのように生きるのか。

 

焼きたてのパンを食べたことがない少女が、パン屋の跡地を利用してパン作りを試みる話や、
美人でなんかエロいお姉さんの家に、毎日人が入っては2時間程度すると出てきて、出てきた人たちが何故かつやつやしている実態を調査する大学生くらいの男の子たちの話など、

ヤマシタトモコ先生の描くコミカルさと、この町にただ一人となってしまった女性の心境をまっすぐに描く芯をつくストーリーの緩急がとてもいい。

 

ぜひ手に取って読んでいただきたい作品だ。

作品の紹介はこの辺にして、今回私は漫画の肝である ”隔離シェルター” について一つ仮説を立てた。

その仮説について、話そうと思う。

 

仮死状態なら町を出られないだろうか?

よく海外ドラマなどのトリックで見かけるのだが、どうやら人間はうまくやると仮死状態にした後、蘇生することができるらしい。

 

仮死状態とは?
呼吸や心拍の一方または両方を停止し、意識もなく、外見上死んだかのように見えるが、
自然にまたは適切な処置により蘇生する余地のある状態。

 

また、作中でも隔離シェルターの通過基準について、下記のように描かれている。

(C)ヤマシタトモコ/講談社

どうやら菌などはシェルターを通過できることから、生き物か否かの基準は、心臓か脳波の動きによって決まるらしい。

最終巻のおまけ漫画の中で、実際に仮死状態にする案が持ち上がっていたが、
人道的ではないとか、花井沢町に手術できる人がいないなどの理由から却下されたようだった。

 

しかし今回、わたしはあくまで可能性についてを話したいと思う。

 

私が調べたところによると、人は死亡したあと、24時間以内に火葬してはならないという法律があるらしい。
実際に死亡と判断された後に蘇生した例もあるらしく、紫色の死斑が出るまでは確実に死亡したとは言えないようだ。

仮死状態からの蘇生事態は可能なようだが、ここで気になるのは後遺症だ。
つまり脳死してしまうのではということ。
人は心肺停止から15分程度で脳死してしまうらしい。酸素が脳に伝わらないためだ。

しかし2014年の発表でアメリカでは、銃やナイフなどで致命傷をおって死亡した患者を、生き返らせることが理論上可能になるという。
この研究では死亡まもなくの患者のみ有効で、一度血液を取り出し、10度程度の生理食塩水を血管に流し込み、体全体の体温をさげて仮死状態をつくりだす。
その状態で傷口等の処置を終えた後、血液を戻し、蘇生するというもの。

 

なぜ体温を下げるのかというと、体が生命維持をはかるとき、細胞や脳に酸素が必要となるからだ。そして酸素を運ぶための血液を送り出す心臓が止まると死亡する。
細胞の活動を抑えられる10度に体を緊急保存(冷凍保存)することで、体の機能を一時的に停止し、傷口の処置などに専念できるというものだ。

この研究では、約1時間、仮死状態を保った後でも変わりなく息を吹き返すとされている。
現段階では豚での実験が成功しており、目立った後遺症もないという。

人道的ではないとして、この研究に関しても人体実験はまだ行われていないようだが、すでに準備は整っているとのことでいよいよ神の領域に達しようとしているのがわかる。

 

今回調べてみて知ったのは、仮死状態というのはあくまで外見から判断するものであり、
実際には脈をはかっても弱すぎて外から見ると死んでいるように見えるだとか、心臓を止めても細胞は生きているなど、やはり蘇生できるだけの要因がそこにはあるということがわかった。

 

花井沢町に出現したシェルターを通過するには、この実験のようなアメリカの技術を使うか、ブラック・ジャックが遠隔で手術し何らかの方法を編み出すかしかないようだ(笑/冗談です)

 

全3巻。閉鎖された町の行く末をどうか見届けてほしい。

 

花井沢町公民館便り(2) (アフタヌーンコミックス)
著者:ヤマシタトモコ
出版社:講談社
販売日:2016-01-22
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花井沢町公民館便り(3) (アフタヌーンコミックス)
著者:ヤマシタトモコ
出版社:講談社
販売日:2016-09-23
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