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【もう読んだ?】恋愛マンガの名手、中村明日美子先生のおすすめ4作

はじめに

皆さん、恋愛マンガはお好きですか? 私は大好きです。

 

このジャンル、楽しみ方は様々あると思うのですが、私といたしましては

関係が深まっていく時の感情の揺れ動きとか、

許されない愛が芽生えていく時の背徳感とか、

そういうのを味わうのがとても好きです。

 

今回はそんな私にドツボな中村明日美子先生の作品を紹介いたします。

具体的な作品紹介の前に、この先生の作品の特徴を(主観全開で)少しだけ語ります。

 

・「同世代の男×女」だけじゃない。多彩な関係性を描く。

世間一般に「恋愛モノの作品」となると、やはり同世代男女の関係を描いたものが過半数かと思います。しかし、明日美子作品に限って言えばそういったペアはむしろ少なめです。

年齢差、性別、種族、ジェンダー等々が入り混じった、ヒトとヒトとの多様な関係性が描かれます。全体的には中高生よりちょっと高めの年齢層向けの作品が多い…はず。

『青い花』などで有名な志村貴子先生とちょっと系統が似ている気がします。

 

・作品の振り幅が凄い

恋愛モノで言えば青春系、BL、百合…、その他にもエログロ、ミステリー、グルメ等々…、これまで様々なジャンルで名作を生み出してこられました。

この振り幅の広さも、明日美子先生の魅力の一つと言えるでしょう。

 

・繊細なタッチの美麗イラスト

私もあまり詳しくないので「見てください!」としか言えないのですが…(笑。

もう絵が非常に美しいです。特にカラー絵。水彩画チックな淡い色合いがたまりません。人物画の特徴は、男女ともにどこか色気を感じさせる滑らかな曲線美。

ずっと見てられる感じがします。画集が出たらたぶん秒で買う。

絵柄だけでなく、登場人物の心理描写も本当に巧みで、グイグイ引き込まれてしまいます。

 

 

てなわけで作品を4つ紹介します

今回は「明日美子先生の作品、初めてです」という方も読みやすい、ある種入門的な作品を4つピックアップいたします。では早速…。

 

 

 

片恋の日記少女 (花とゆめコミックススペシャル)
著者:中村明日美子
出版社:白泉社
販売日:2016-03-11
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■概要

探しても見つけ難いのに恋とは突然訪れるのです―――

表題作「片恋の日記少女」はじめ、父と元・息子、父と娘の友達、姉と偽り男と会う男、など親子兄弟ジェンダーが入り混じったヒトとヒトとの多彩な関係性をおかしくせつなく描いた作品集。

(背表紙文引用)

 

■コメント

明日美子先生の「少女漫画作品集」第一弾。短編集です。「どうやったらこんな設定思い付くの!?」みたいな話が目白押しです。

 

個人的に印象に残っているのは「父と娘の友達」の関係が描かれた、「娘の年ごろの娘」でしょうか。中学生の娘を持つ晴秋は職場の上司にデートクラブに連れていかれるのですが、そこで待っていた女性はまさかの娘のクラスメート(ツカサちゃん)でした。後日、ツカサちゃんは、デートクラブでの一件をお互い口外しないための取引として「夏祭りでのデート」を持ちかけて…、みたいな話です。

 

「娘と年ごろの娘」に限らず、「多彩な関係性」だからこそ、登場キャラの間には様々な感情が入り乱れております。それは情欲であったり、もっとプラトニックな恋愛感情だったり、友情だったり、父性だったり母性だったり兄弟愛だったり姉妹愛だったり…。この辺りの複雑な関係や感情を描き切れるのが、明日美子先生の凄みであり、魅力なのではないかと思います。 この短編集でも、そんな先生の魅力が存分に発揮されてます。

 

 

曲がり角のボクら (花とゆめCOMICSスペシャル)
著者:中村 明日美子
出版社:白泉社
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■あらすじ

時間が無いぜ、青春は―――

オトコの子二人&女の子ふたり計四人の恋愛スクランブルな表題作はじめ、女教師と男子生徒とそれを見た女の子、あるいは男の子と吸血鬼♂、あるいは幼馴染の女の子ふたり、など年の差種族性別乗り越えて構築される涙腺模様な相関関係を甘くほろ苦く描いた作品集

(背表紙文より引用)

 

■コメント

明日美子先生の「少女漫画作品集」第二弾。こちらも短編集です。いやもうね…この作品も凄いです。

 

『片恋の日記少女』で魅せてくれた関係性の妙技はそのままに、話の展開もより緻密になっています。

 1話1話の構成の密度とか巧みさがさらに進化している気がします。

あまり多くは語れませんが、

「Aさん×Bさん」かと思ってたらまさかの「Aさん×Cさん」だったり、

話の途中で恋愛感情のベクトルが大きく変わっていったり、

「これ伏線だったのか~~」っていう展開があったり、

とにかくそんな感じでめちゃ面白いです。あと表紙のカラー絵が個人的に最高。

 

 

鉄道少女漫画
著者:中村 明日美子
出版社:白泉社
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■あらすじ

車内であったり、駅構内であったり、鉄道周辺のあれこれを舞台に展開する5本の作品+描きおろし1本+短編1本をまとめた作品集。

 

■コメント

てなわけで、またしても短編集です。明日美子先生の小田急愛もあり、舞台となる「鉄道周辺」は小田急線関係がほとんど(全部?)です。

この作品も例外なく超面白いです。ヒトとヒトとの結びつきだけでなく、死別や失恋もよりドラマチックに描かれていて、読んでいる方も様々な感情に浸れるかと思います。

 

 

君曜日―鉄道少女漫画 2
著者:中村 明日美子
出版社:白泉社
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■あらすじ

『鉄道少女漫画』に収録されている「木曜日のサバラン」に登場するアコちゃんにスポットを当てた作品。アコちゃんと小平くんの恋物語が描かれる。

■コメント

『鉄道少女漫画』のスピンアウト作品です。今回紹介する中で唯一の長編作品。『君曜日』単独だと全3巻、「木曜日のサバラン」収録の『鉄道少女漫画』含めると全4巻となっております。

 

さて、今作の構成に関して明日美子先生は『君曜日2』で以下のようにコメントなされております。

「いろいろ色恋の漫画も描いてきましたが、学んできたことがひとつ。恋をあきらめるのに一冊、次の恋に気づくのに一冊、その更に先に行くのにもう一冊かかるということ。」

君曜日の全3巻はまさにこの通りで、アコちゃんと小平くんの恋の行方がそれはもう丁寧にじっくりと描かれております。

 

作品としての素晴らしさに関してはもう特に言うまでもありませんが、アコちゃんの可愛さにも是非目を向けていただきたいです。表情や私服のパターンも多彩で、非常に魅力的に描かれております。

長編作品唯一の難点…というか単なる私のワガママなのですが、完結するまでの月日が長い(泣)。当時の私は単行本派で、『君曜日』の刊行ペースが2年に一冊とかっだったので、「続きはまだか…」と枕を濡らす日々が続きました(笑。待つのも楽しいので全然いいんですけどね。

 

 

おわりに

いかがだったでしょうか?

気になる作品がございましたら、是非実際に読んでいただきたいです。

本当に素晴らしい作品ばかりなので…。

 

「もっと明日美子先生の作品を読みたいよ!」という方へ。

ミステリーテイストなら『ウツボラ』、

幾原邦彦先生との強力タッグが気になる方は『ノケモノと花嫁』、

初期のアングラやエログロを楽しみたい方は『鶏肉倶楽部』、

BLがお好きな方は…、『同級生』はじめ名作多数、

などがおすすめです。こちらも是非。

 

さらにさらに、2017年10月31日(火)の『楽園 Le Paradis』25号から、明日美子先生初の長編ガールズラブ、『メジロバナの咲く』が連載スタートしてます。百合好きな方もそうでない方も、要チェックな作品です。

 

楽園 Le Paradis 第25号
著者:楽園編集部
出版社:白泉社
販売日:2017-11-30
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最後に余談ですが、この『楽園 Le Paradis』(白泉社)という雑誌、作家陣がとんでもなく豪華で腰を抜かすレベルです。今はもう休刊してしまった『マンガ・エロティクス・エフ』(太田出版)の正統な後継誌って感じがします。

 

私と同じような趣味嗜好な方(←知らんがな)は絶対に一度は読むべき雑誌だと思います!

刊行が年3回ペースなので、展開を追うには少し焦らされてしまいますが。

 

 

以上、明日美子先生の魅力を語りたいだけの記事でした。

またどこかで…。