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結婚とは?独身とは?『おひとり様物語』で語り合いたい!

 

おひとり様物語(1) (ワイドKC Kiss)
著者:谷川 史子
出版社:講談社
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最近ふと手に取ったのは、谷川史子先生の『おひとり様物語』だ。

決して真新しい漫画というわけではない。今から10年ほど前に、講談社Kissで連載が始まり、現在も続いている(7巻まで既刊)。

「おひとり様」とは一人で生きている独身女性のことで、各話読み切りでさまざまな「おひとり様」が登場し、恋愛エピソードを通して、彼女たちそれぞれの価値観や生活が描かれている。

 

わたしは結婚した経験と離婚した経験がある。
25歳の頃に出会った男性と、3年の交際を経て結婚した。結婚生活も合わせると10年近く一緒にいたことになる。

 

独身時代には、やはりいつまでも「おひとり様」でいるのが怖かった。

25歳に差し掛かった頃から、周囲で「結婚」という二文字が飛び交い始め(いわゆる第一次結婚ラッシュ)、一人でいることが惨めに感じられたからだ。そして過去に恋愛でひどく傷ついたわたしにとって、「結婚」は一種の逃げ道でもあった。早いところ恋愛戦争の土俵から降り、その「孤独」というものから解放されたかった。

さらに20代後半にもなると、「結婚しないと出世できない」「結婚して一人前」、やれ「クリスマスだ、大晦日だ、早く売れ」と、世間からの暗黙のプレッシャーがのしかかる。
今ならそんなもの跳ね除けてしまえばいいと思えるのだが、あの頃はとても息苦しかった。

最近人との出会いが増えるにつれ、アラサー女性との交流も増えた。時折、当時のわたしと似た息苦しさを感じている女性を見かける。
日本社会が多様な生き方に寛容になってきたとはいえ、未だに30歳前後の女性は、世間からの暗黙のプレッシャーを受け、得体の知れない”孤独”と“焦り”に駆られているのだ。

アラサーを脱した今だからこそ、断言できることがある。

『結婚は焦るな』

「いつかきっと王子さまが」なんて現実的にはあり得ないことだが、焦って結婚したとてそれがゴールではない。知らない二人が一緒に暮らすのだから、相手のペースに合わせたり、文化の違いから衝突したり、それなりに大変だ。その大変さを乗り越えていくのが夫婦の絆で、乗り越えた分だけ強く結束されていく。そのように支え合い続ける覚悟がないのなら、結局は夫婦関係も続かないのだ。

 

『おひとり様物語』に出てくる主人公はみな強い。
読み返す度、「女性は強くあらねば」と感じさせられる。

過去のトラウマを抱えていたり、叶わぬ恋という現実を知っても、物語の主人公たちは必ず前を向いて生きている。自分を見失ったり、相手に依存するでもなく。
結局は目の前のことを男性が助けてくれるわけじゃない。彼女たちは、「独りで生きていかねばならない」「自力で解決しなければ進まない」ということをよく知っているのだ。

あの頃のわたしの”孤独”と”焦り”を抱えながらも、彼女たちは逞しく生きている。だからこそ、とても魅力的だ。

結婚をして得られる幸せもいい。独りだから得られる自由もいい。どちらも最高だ。
わたしがこうして、「最高だ」と、周囲の目を気にせず笑えるようになったのはつい最近のことだ。離婚に対する世間の目は、今でも時折厳しく感じられる。

願わくば暗黙のプレッシャーなんて消えてなくなり、「結婚」というものが、個々人の自由意思で選択できるものであってほしい。
こんな生き方があっていい、これも素敵だ、あれも素敵だと、自由に堂々と言える日が来たらいい。

『おひとり様物語』は、暗黙のプレッシャーに苦しむ女性に対して、多様な生き方を提示している漫画だと思う。アラサー女性に是非読んでほしい作品だ。

 

小柳かおり

 

おひとり様物語(7) (ワイドKC Kiss)
著者:谷川 史子
出版社:講談社
販売日:2017-08-09
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