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『アルテ』が教えてくれる、自分らしく生きる方法

夢を叶えた人が輝いている本当の理由

 

自分が本当にやりたいこと、夢。

そういったものを誰もが一度は持って、でもほとんどの人は諦めてしまう。

 

そんな時、環境が、才能が、運が、なんてものを言い訳にしながら自分に折り合いをつけて、夢を叶えた人たちを羨望や嫉妬の目で見てしまう。

 

だって彼らの目はとんでもなく輝いていて、あまりにも魅力的だから。

 

でも、彼らは本当に環境や才能や運に恵まれていたから叶えられたんだろうか?

 

その疑問への答えがこの本の中にある。

 

 

『アルテ』

 

必要なのは『やる』という覚悟だけ

 

この作品は16世紀初頭ルネッサンス期に、数々の芸術や文化が花開いたフィレンツェで画家になることを目指すひとりの少女アルテの物語だ。

 

今の時代であれば、別に女性が芸術家になることなんて全然珍しいことじゃないが、この16世紀という時代は女性が活躍する場なんて全くなかった。

 

むしろ、平民は給仕や縫製といった男がやりたくない仕事しかなく、文字すらも学べない環境で、逆に貴族だったら礼儀作法や読み書きは学べても、夫となる男を立てるための飾りとしてしか生きられない。

 

平民も貴族も女性は結婚して家庭に入り、家を守って子供を産むことしか求められない。

 

女性には相続権もないから、結婚する時には持参金をいくら出せるかで嫁ぎ先の格が決まり、もし夫が死んだらその持参金で生きていくしかない。

 

当然男がやる仕事などには就けるワケもなく、それどころか彼らの職場に足を踏み入れることすら許されない。

 

これは、そんな時代の話なのだ。

 

 

©大久保圭/NSP 2013

 

 

それでもアルテは画家になることを目指した。

 

『絵が好きだ』という想いももちろんあるが、何より彼女は女が女というだけで一人で生きていくことすら認められないそんな時代に強い怒りを持って、自分自身の力で生きていくために、あえて職人になることを目指した。

 

職人を目指す彼女にとっては、自分が貴族だったということすらも足枷になる。

『貴族の女』という彼女の生まれそのものが、彼女の夢を叶えるための最大の壁になる。

 

だからこそ、それでも自分の生き方を自分で選んで決めて、どんな逆境にすらもひたすら立ち向かって乗り越えていく彼女の姿を見れば、本当は僕らが夢を叶えるために必要だったのはただ『覚悟』だけだったんだと気付かされる。

 

 

©大久保圭/NSP 2013
©大久保圭/NSP 2013

 

 

まだ現代においても、女性にとってはアルテと同じ壁があることは間違いないし、男性だって夢を諦める様々な理由はいくらでもある。

 

でも、夢を追うこと、自分らしく生きることは、決して『楽』だということとイコールではなく、むしろ環境に身を任せて生きていくよりも遥かに大変なことだけれども、それを貫いて生きている人たちは誰よりも『楽しんで』生きているのだ。

 

だからこそ、そんなアルテの姿は、こんなにも美しく、その笑顔は輝きで満ちているのだ。

 

僕も、たった一度しかない人生なんだから、歯を食いしばって楽しく生きていきたい。

 

そう思わせてくれる、『アルテ』はそんなステキな物語だ。

 

 

©大久保圭/NSP 2013