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【再掲載】「先生の“あそびごころ”が作中に散りばめられているんです」マンガ大賞受賞&最新刊発売記念『ゴールデンカムイ』ロングインタビューVOL.4
 書店で平積みになる本、というのは、人気作を見るための1つの指標である。
では、今、もっとも書店で平積みされている作品といえばなんだろう。もちろん客層ごとに異なるだろうが、それを踏まえても間違いなくトップグループに入るのが、北海道を舞台にした一大スペクタクルマンガ『ゴールデンカムイ』だ。

『週刊ヤングジャンプ』(集英社)2014年38号より連載を開始し、2015年度コミックナタリー大賞・第2位、「このマンガがすごい! 2016」(宝島社)オトコ編・第2位。そして、「マンガ大賞2016」では大賞に輝いた注目の話題作である。

今回は、「マンガ大賞2016」の大賞授賞と、4月19日に発売したばかりの最新刊7巻を記念して、『ゴールデンカムイ』担当編集の大熊八甲(おおくま・はっこう)氏に、その面白さの秘密と舞台裏を伺った。

インタビュアーは、マンガ新聞の岡田篤宜。 
(構成/佐藤茜)

 

『ゴールデンカムイ』は『ウォーリーを探せ』

――― 他に、大熊さんから見た野田先生のすごいところは?

 

沢山あるんですが、一番すごいのはサービス精神。それが一番現れているのが、ギャグですかね。常に、1ページに1コマ、何か気になるシーンとか、楽しませようとするコマとかを入れているんですよ。で、たまに入り過ぎて暴走しているときもある(笑)

 

――― 暴走ですか(笑)

 

ごくまれにサービス精神が暴走してて(笑)。でも、入れないと不安なんですって。やっぱり、シリアスなシーンって、ある種「我(が)」じゃないですか。それがマッチした人には、共感、キュンとしてもらえますけど、それ以外の人には、ちょっと上滑りしてしまったり(笑)。だけど「笑い」は、意外と時代にあってれば普遍的なのではないかな、と思っています。

 

――― なるほど。では、そのサービス精神が表れているシーンを挙げるとしたら?

 

小さいコマですね。たとえば2巻の、レタラに張り付いている、アシパとか。

(アシリパの顔に注目。)

――― あああ~(笑)

 

本当にちっちゃいコマまで演出が上手いんです。何度も読んでもネタが見つかる。例えば、コミックス7巻に収録されているこのシーン、何が隠れているか、わかりますか?

(『ゴールデンカムイ』第7巻より)

 

――― うーん・・・・。

 

空の雲がハート型なんですよ。ネタバレですが、二人は恋人同士なので、こういった演出をしているんです。

 

――― あ!?

 

本当、細かいんで…。気づかない人は気づかないんで、別にそれでいいと思うんですけど、気分は『ウォーリーを探せ』ですよ。ウォーリーの周りの奴らを見ていくと、変なことしているのが沢山描かれている。だから何度見ても新しい発見がある。

 

(野田先生のTwitterで明らかにされたが、このシーンにも小ネタが含まれている。
どこかお分かりだろうか?)
(答えは袖についたご飯粒。この後の話でアシリパが袖についたご飯を食べるか? と問うシーンにつながる。うーん、細かい!)

 

 

今後の『ゴールデンカムイ』

――― 『ゴールデンカムイ』は更に注目されていくと思います。編集者として、どう見せていきたいですか?

 

そうですね。プロモーションの面は、やはり読者を増やしたいので、できることならメディア化をどんどん進めたい、と思っています。が、やはりすごく難しいですね。ストーリーは、まだオチを見せてないですし。グロ描写、歴史考証、アイヌ文化の正確な描写や、そもそも声優さんは話せるのか等。

 

編集部注:アイヌ語は発音が難しく、話者も減ってきている(1991年時点で15人)。2009年2月には、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により、言語消滅の危険度最高ランクの「極めて深刻」に分類されている

 

でも、やることができたら、それは多分、本気で「やりたい!」って思ってくれた人たちの集まりになるので、本物が生まれると思います。

内容に関して言えば、刺青を探すという縦軸と、野趣溢れるサバイバルグルメという横軸で、北海道全土をくまなくロードムービーのように周りながら、真摯に進めていきたいです。

 

――― 楽しみにしています。

 

 

『ゴールデンカムイ』の鍵はTwitter?

――― それでは最後に、読者の方へのメッセージをお願いできますか

 

グルメ、ギャグ、キャラクター、歴史ロマンに加えて、新しい文化への理解や、知らなかった知識を得ることの喜びなど、色々な要素が込められた、「全部のせ」のエンタテイメント作品です。読み方は、百人いれば百通りあると思いますので、自分の好きなポイントに注目していただいて読んでいただけるとありがたいな、と思います。

 

で、あの、もしよければ、ぜひtwitterなどで、注目していただいたポイントをつぶやいていただければ「あ、ここが支持されているんだ」ということで、配分比率が多くなると思いますので(笑)。

 

――― (笑)

 

ぜひそういった感じで、総選挙していただければありがたいなと思います。

 

――― 大熊さん、お忙しいところありがとうございました。

 

■結び■
『ゴールデンカムイ』の面白さは「全部のせ」。しかしそれは、話の要素だけには留まらず、計算されたストーリー展開、丹念なフィールドワーク、作家と編集の細かな連携、綿密な文化研究、そして野田先生の読者に対する”思いやり”ともいえるような遊び心など、圧倒的な仕事量の「全部のせ」でもあった。「全部のせ」の頂はどこまで高くなるのか、今後ますます目が話せない!

 


 

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(インタビュー:岡田 篤宜 構成:佐藤 茜)

 

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