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【再掲載】「ウソをつきたくないので、徹底的に調べ上げます」マンガ大賞受賞&最新刊発売記念『ゴールデンカムイ』ロングインタビューVOL.3
 書店で平積みになる本、というのは、人気作を見るための1つの指標である。
では、今、もっとも書店で平積みされている作品といえばなんだろう。もちろん客層ごとに異なるだろうが、それを踏まえても間違いなくトップグループに入るのが、北海道を舞台にした一大スペクタクルマンガ『ゴールデンカムイ』だ。

『週刊ヤングジャンプ』(集英社)2014年38号より連載を開始し、2015年度コミックナタリー大賞・第2位、「このマンガがすごい! 2016」(宝島社)オトコ編・第2位。そして、「マンガ大賞2016」では大賞に輝いた注目の話題作である。

今回は、「マンガ大賞2016」の大賞授賞と、4月19日に発売したばかりの最新刊7巻を記念して、『ゴールデンカムイ』担当編集の大熊八甲(おおくま・はっこう)氏に、その面白さの秘密と舞台裏を伺った。

インタビュアーは、マンガ新聞の岡田篤宜。 
(構成/佐藤茜)

 

ゴールデンカムイ 13 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
著者:野田サトル
出版社:集英社
販売日:2018-03-19
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圧倒的な読書量と、道内を駆け巡るフィールドワーク

――― 先ほど、「野田先生は真摯」というお言葉がありましたが、どんな方なんでしょうか。

 

世間にある高尚な「The・作家」のイメージそのままです。寡黙で、すごくマンガに真摯で、覚悟があり、そして、いい意味で欲深い。

 

――― 欲深い?

 

「面白いものを書きたい」「俺のマンガ面白いだろ」っていう・・・すべてのマンガに対して宣戦布告するような…。とても心優しい方なんですけど(笑)。本当に、僕が憧れる強い部分を持ったプロ作家さんです。

 

――― 素敵ですね。あと、とても勉強家のイメージがあります。『ゴールデンカムイ』の巻末にある参考図書がすごい数で…。なのに、あれはアイヌ関連図書だけを抜粋したもので、本当はもっと読んでいて全部は書ききれないという話を聞いて驚きました。

(単行本巻末の参考図書一覧。アイヌ関連のタイトルが並ぶ。)

そう!野田先生は嘘を描きたくない方なので。常に真摯に取り組んで、間違ったら謝ります、っていうスタンスです。その「真摯さ」が、多分関係各所の方に伝わっているので、好意的に受け取っていただけているのかな、と。今は間違ったとしても、ポジティブにご指摘いただいて、修正まで持っていけています。本当に、野田さんの人柄というか、仕事に対する姿勢で作品は成り立っていると思います。

 

――― 調査も大変じゃないでしょうか?

 

大変ですね。大変じゃないかといえば、大変ですね、とても(笑)
ただ、周りからみて大変だと思うことでも、好きなことだと頑張れるっていうのは、多分作家さんの性質だと思います。例えば、サッカーが好きな人は苦もなく毎日サッカーできるんですけど、サッカーが嫌いな人にとっては辛い。

 

野田先生にとって、サバイバルとか、ミリタリーとか、ほんとに大好物なんです。北海道も大好きだし。で、なのでどんどん吸収してマンガに還元していく。書物を沢山読み、フィールドワークを自分でする。もちろん僕もついてきますし、編集部もやりますけど、根本、中心にあるのは野田先生のフィールドワークなので。頭が下がりますね。

 

――― この間、野田先生のブログで「次号狩猟のため休載です」と書いてあってびっくりしました。狩猟で連載休むのは『山賊ダイアリー』か『ゴールデンカムイ』ぐらいなのではないかと・・・。

 

(野田先生のブログ(http://723000451898910026.weebly.com/)。フィールドワークで訪れた北海道のさまざまな場所の写真や、網走監獄の扉の有無を確かめに行ったエピソードなど、プロとしての矜持があふれる記事が沢山。)

網走監獄、長万部空港、知床も行っています。あと、羆の食害事件があった三毛別(さんけべつ)にも。ちなみに、のぼりべつクマ牧場に行ったとき、熊に餌をあたえて、脇でカメラマンさんが、熊が受け取る瞬間をずっと撮影しました。それが、コミックス1巻の裏表紙にある絵なんです。

 

――― えええ!

(1巻裏表紙。のぼりべつクマ牧場で撮影した写真が元になっている)

写真では、口の前にリンゴがあるんですけど(笑)。とか、色々すごくやっています。
 

――― そんな秘密があったんですね。

 

前作の『スピナマラダ!』のときから、フィールドワークは大事にされていますね。『スピナマラダ!』の舞台になった勇払高校のモデルの駒大苫小牧高校アイスホッケーチームが優勝したときにリンクに降りていたりしました(笑)。面白いマンガを描くために、色々乗り込んでいっていますね。本当に。もちろん怒られたら素直に出て行きますが(笑)内に秘める闘志がすごいです。

 


 

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マンガ大賞受賞&最新刊発売記念『ゴールデンカムイ』ロングインタビュー~編集の大熊さんに聞いた面白さの秘密、野田先生のすごさ、ここだけのお話~VOL.1

リアリティとエンタテイメントの両立が成功のカギ!?マンガ大賞受賞&最新刊発売記念『ゴールデンカムイ』ロングインタビューVOL.2

 

>>NEXTインタビューに続く

「先生の“あそびごころ”が作中に散りばめられているんです」マンガ大賞受賞&最新刊発売記念『ゴールデンカムイ』ロングインタビューVOL.4

 

(インタビュー:岡田 篤宜 構成:佐藤 茜)

 

ゴールデンカムイ 1-12巻セット
著者:野田 サトル
出版社:集英社
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