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もし犯人への「報復」が合法的に認められたとしたら?『善悪の屑』に次ぐ作品『報復刑』の魅力に迫る

 

まとめサイトやおもしろ記事を見ていると、何気なく目にする漫画の広告。たまにとても内容が気になる漫画、ありますよね。

 

今回は、数ある漫画広告の中でもグロ系に注目し、今後流行るのではないかと思われる『報復刑』についての魅力をご紹介します!

 

 

報復刑(1) (ビッグコミックス)
著者:トータス杉村
出版社:小学館
販売日:2016-12-01
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グロ系広告の代名詞、漫画『善悪の屑』はなぜこんなにも流行ったのか。

グロ系…というと、殺人や暴力、猟奇的なシーンがバナー広告で使用されており、思わず目を覆ってしまいたくなるような漫画作品のイメージが強いと思います。

『うなぎ鬼』『生贄投票』『食糧人類-Starving Anonymous-』『地獄の教頭』『ジンメン』『オーダーメイド』『ギフト±』など、様々な漫画作品が広告に使われていましたが、その中でも特に流行ったのが『善悪の屑』

 

『善悪の屑』(全5巻)は、少年画報社「ヤングキング」で連載されていた渡邊ダイスケ先生の作品。現在は『善悪の屑』の続編としてタイトルを変更した、第2部『外道の歌』が連載されています。
 
一時期あらゆるWEBサイトで広告バナーを見かけない日はなかった本作。まずは簡単にあらすじをご紹介します。
 
『善悪の屑』あらすじ
世の中には、法で裁くことのできない罪がある。
重い記憶を背負ったふたりの男が行うのは「復讐の代行」。
一人息子を殺され、自らも性的暴行を受けたシングルマザー。イジメにより孫を殺されたおばあさんなど、2人の男の元には日々苦しみを背負った被害者が訪れる。
屑には屑による制裁を。「正義」とは何かを考えずにはいられない衝撃的問題作!
 
『善悪の屑』の特徴は、法で裁けない犯罪に対して主人公・鴨ノ目が、時には非道ともいえる手で復讐を行うことです。冷徹に、拷問のような手段で犯罪者を裁くシーンがよくバナーに使われています。
しかしこの作品、ただグロいだけという理由で人の目を引くのかというと、それとは少し違う気がします。
 
『善悪の屑』の真骨頂は、被害者が苦しみ・悲しみを乗り越えるため、「復讐代行」という形で無念を晴らす肩代わりをしていることにあるのです。そこには切なさや、苦悩があります。こんな見応えある内容が注目された理由でもあるのでしょう。
 
読む人を選ぶ作品ではありますが、決して単なる暴力的な漫画というわけではないのです。

次に広告にされるのは?漫画『報復刑』だ!

『善悪の屑』の魅力に触れた次にご紹介するのは、小学館から発売されている『報復刑』です!

 

現在は電子配信だけのようですが、この『報復刑』も殺人犯罪によって、大事な人を奪われた遺族に寄り添った内容となっています。まずはこの作品も、あらすじをご紹介します。

『報復刑』あらすじ
もし報復が合法的に認められたとしたら……。
舞台は日本。死刑制度が廃止され、新たに「報復刑」が成立しています。 
中学生の息子を殺された父。夫が局部を包丁で切られ、そのあとに無残な殺され方をした妻。長年苦労をともにした妻をいたずらな思いで殺された老人。 
彼らの心からの声、憤り、悲しみが「報復刑」によって犯人に罪を問う時、どんな事件が起こるのでしょうか?

 

 

舞台は20XX年、「死刑制度」が廃止され新たに「報復刑」が制定された日本。報復刑とは、大事な人を奪われた遺族が加害者に対し、自ら裁くことができる刑です。

 

©トータス杉村 / 小学館

 

 

『善悪の屑』との違いは、被害者の遺族が自分で加害者を裁く(=殺す)ことができることです。1巻のエピソードの中から、印象的だった話をご紹介します。

 

 

©トータス杉村 / 小学館

 

 

残された遺族の心情を描く物語は、これまでに映画・ドラマ・漫画でも数多く描かれてきました。

 

「加害者が死ねば、遺族は救われるのか」

 

正義とは何か、人間の善意とは何かを深く考えさせられるテーマとなっています。

加害者が幼少期父親から酷い虐待を受け、罪を犯してしまったという背景があったとしても、残された遺族にとっては同情する理由とはなりません。

 

 

©トータス杉村 / 小学館

 

 

©トータス杉村 / 小学館

 

 

「報復刑」も、「殺人」であることに変わりはない。

それでも遺族は報復刑を希望し、実行する。時には加害者の心からの反省を汲んで、途中で刑の執行を放棄し、前を向いて歩き始める遺族もいます。

 

自分が遺族の立場になった時、どうするだろうか。そんなことを考えさせられます。

作中の人物たちの心情描写は多種多様で、とてもリアルです。そんな人物たちをみて、どう感じるかを試していただきたい一作だと思います。

また、バナー広告は印象的な引きの強いシーンが命!

 

『報復刑』はそういったシーンの多さも、読者がどうしても「続きが気になる」要因となっているのではないでしょうか。

作中第一話で、就職活動中の一人娘を殺された父親が、加害者ふたりに報復刑を実行するシーンから、一部抜粋してご紹介いたします。

 

反省している、と地に頭を下げて涙ぐむ加害者のひとりに対し、遺族である父親が浴びせた言葉がこれです。

 

 

©トータス杉村 / 小学館

 

©トータス杉村 / 小学館

 

 

「本当に反省しているのならできるだろう。」
冷静でありながら、加害者が本当に心の底から反省しているのかどうかを、見極めるかのような問いです。

 

「できるわけがない」と自殺を拒否し、報復刑執行から見逃してもらうため、心無い謝罪をしながら逃げ惑う加害者を見下ろし、父親が放った言葉は……。

 

 

©トータス杉村 / 小学館

 

 

「死」とは、本当に恐ろしいもの。

 

死んでしまったら明日は来ない、訪れるはずだった幸せを感じることもできない。他人の人生を奪うことが、どれほど大きい罪なのか。
大事な人を奪った側・奪われた側も、その後の人生が大きく狂う出来事、それが「殺人」なのだと感じ得ないエピソードとなっておりました。

 

『善悪の屑』に引き続き、正義とは何か、を考える『報復刑』。次の電子書籍の広告ブームの一端を担うのではないでしょうか。この他にも見所満載の作品ですので、ぜひ作品をご覧ください。

 

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