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遭難した僕が出会ったのは、全裸の王子さまだった『星の王子さま』

原作者と漫画家はパートナーでありライバルだ、という話を聞いたことがある。

 

漫画家はただ原作者のイメージしたものを形にする作画だけを行っているのではなく、原作が素晴らしいものであればあるほど、同じ表現者としてそれを全力で受け止め、飲み込み、血肉に変えて自分の漫画に生まれ変わらせる。
共作とはそんな表現者同士の熱いバトルなんだそうだ。

 

この『星の王子さま』の原作は、言わずと知れたフランス人作家サン・テグジュペリの世界的名作である。
小さな小さな星で生まれた王子は、大切に育てていた一輪のバラの花とケンカをして星を飛び出し、色々な星を旅しながら地球へ辿り着く。
旅の途中や地球での出会いの中で、王子は嫌な出来事、悲しい出来事を経験しながらも、自分にとって一番大切なものが何かに気付いて、生まれた星へ帰っていった。

 

第二次世界大戦中にアメリカで出版されたこのファンタジックな児童文学作品は、子供だけでなく大人達にも、生命や愛、人生といった複雑で難解な問題にひとつの答えを示し、瞬く間に世界中で翻訳され、映画やアニメ、舞台、音楽、朗読など、数えきれないほどの表現者達によって画を付けられてきた。

 

その漫☆画太郎という漫画家は、『週刊少年ジャンプ』という最高の少年漫画誌で『地獄甲子園』や『珍遊記』といった、シュールで下品で風刺も山盛りというあまりにもクセの強いシュールギャグを描く、間違いなく唯一無二のギャグ漫画家のひとりであり、何をやっても漫☆画太郎だから許されると言われるほどカルト的な信者を抱えたパンク、いやハードコアなアーティストである。

 

なので当然本作も徹底的に漫☆画太郎ワールドに作り変えられ、下品なシモネタやパロディネタのオンパレードと化している。

 

ただ、少年ジャンプがずっと掲げてきた(けど今まで漫☆画太郎は全く守ってこなかった)『努力・友情・勝利』という王道少年漫画のスローガンをしっかりと描き、他社のキャラだろうがネタだろうが人気のあるものを平然とパロディネタとして使い、そこに社会風刺もしっかりと盛り込んできている。

 

つまり、子供にとってわかりやすいギャグ漫画の形を取りながら、大人には風刺やタブーを犯すことによる痛快な笑いを届けることに徹底的にこだわっているのだ。

 

児童文学の形を取りながら、欲に魅せられがちな大人達に時に皮肉も交えながら
「本当に大切なものは何か?」を問うたサン・テグジュペリ。

漫画、しかも少年ジャンプという場所で、大人達の常識の壁を易々とぶち壊しながら
「本当に面白いと思ったことを描く!」とぶん投げてきた漫☆画太郎。

 

この作品は、そんなふたりの、70年以上の時間を超えたまさに共作だ。

 

原作の中で、地球に辿り着いた王子は他にどれだけたくさんのバラがあろうとも、自分が美しいと思い大切に育てたバラが一番愛おしいことに気付いた。

 

願わくば、この作品があなたにとってのバラになりますように。
そして、漫☆画太郎先生が、最後までこの作品を完結させてくれますように笑。

 

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星の王子さま 1 (ジャンプコミックス)
無料試し読み
著者:漫☆画太郎
出版社:集英社
販売日:2018-01-04