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武士(もののふ)、恩義に報いるため中世ヨーロッパに馳せ参ず───『イサック』

30代を迎えるにあたり抱負を「渋みのある大人になる」と定めた私ですが、お手本となるべき男が早々に見つかりました。

 

©真刈信二・DOUBLE-S/講談社

彼の名はイサック、職業 傭兵

真の武士(もののふ)である。

 

 

イサック(1) (アフタヌーンKC)
著者:DOUBLEーS 出版社:講談社 販売日:2017-07-21
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【あらすじ】

2つの勢力に別れ、後に30年戦争と呼ばれる激しい戦いの最中にあった17世紀の神聖ローマ帝国。そこに傭兵として現れたのは「イサック」と名乗る日本人の男! 遠く日本を離れ、ヨーロッパ大陸までやってきたイサックの目的とは!? 彼の壮絶な戦いが始まる!! 『勇午』の真刈信二氏と『死がふたりを分かつまで』のDOUBLE-S氏の新タッグがおくる、骨太エンターテイメント!


 

ある目的のため30年戦争真っ只中のヨーロッパに単身渡り、傭兵として各地を転々とする主人公・イサック。

この物語は彼が、圧倒的劣勢と聞いて100人中99人が逃げ出す戦場に、たった一人の援軍として参上するところから始まる。

※刀と火縄銃一本のみ携え、流暢なオランダ語を操る彼はヨーロッパ人にとってさぞ異質な存在だったことでしょう、、、

 

圧倒的戦力差を埋められぬまま、闘いの火蓋は切って落とされてしまった。

無数の弾丸や矢が飛び交い、悲鳴と怒号の充満する戦場においてイサックがとった行動は…

まさかの目視!!!!

©真刈信二・DOUBLE-S/講談社
予想通りまたたく間に追い詰められ、味方の誰しもが「敗北」を確信したその刹那、ついに彼は火縄銃に手に立ち上がる。

鋭い眼光で見据えるは敵軍総大将スピノラ。そう、彼はただ戦場を見ていたのではなく、混乱を極める戦場のなかでなんと距離を数えていたのである!!!(恐ろしい胆力…)

撃ち出された銃弾は寸分違わず大将の胸を撃ち抜き、司令官を失った敵軍は散り散りに退散していかざるを得なくなった。

 

一介の傭兵が、たった一発の銃弾で戦局をひっくり返してみせたのである!

 

まさかの展開に味方からは賞賛の嵐、さぞ得意げな顔をしていると思いきや…この表情である

©真刈信二・DOUBLE-S/講談社
彼にとって大事なものは、お金でも地位でも名誉でもない。

単身海を渡りはるばるヨーロッパまでやって来たのは、親方の仇を探し出し、奪われたものを取り戻す…つまり仇討ちのため。

たった一つの「恩」を返すためなのだ。傭兵として苛烈な戦場に身を置くのも、彼にとっては目的を果たすための手段でしかない。

「武士道とは死ぬこととみつけたり」

この言葉で表すのが、相応しいのではないでしょうか。

 

 

いや~何度読んでも痺れます、この高潔さと揺らぎない信念には!

日々に追われ続け本来の目的を見失いがちな私に、真に目指すべき「男」とは何かを彼は思い出させてくれました。

小手先の渋みを追い求めるのではなく、信念に基づいた行動と何事にも動じない心から「渋み」は醸し出されるもの…

男として大事なものに気付かされた珠玉の歴史マンガでした。世の男性諸君(もちろん女性も)必読です!!!!