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ココ・シャネル、オードリー・ヘプバーン、アンナ・パブロワ…etc.めくるめく現代版・少女向け伝記漫画の世界。
ココ・シャネル (コミック版世界の伝記)
著者:久松 ゆのみ
出版社:ポプラ社
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伝記漫画の知られざる進化

趣味で、よくファッション関係の本を読む。ある日、amazonのリコメンド機能で表示されたタイトルに驚いた。『ココ・シャネル(コミック版世界の伝記)』とある。クリックしてみると、さらに驚いた。オードリー・ヘップバーン、グレース・ケリー、アンナ・パブロワ、ターシャ・テューダー…etc.カバーには、いかにも伝記らしい額ぶちのようなデザインとともに、少女漫画誌から飛び出してきたような可愛らしい女性の姿が描かれているのが目印だ(ちなみに同じレーベルでもスティーブ・ジョブズやウォルト・ディズニーの本は、男性的なタッチの漫画家さんが作画を担当している)。

 

今から20年以上も昔、伝記で取り上げられる女性といったら、ナイチンゲール、ヘレン・ケラー、キュリー夫人といったラインナップだった。もちろん今だって彼女たちの伝記漫画は健在なのだけれど、昨今の伝記漫画の人物セレクトは実に面白い。

激動の時代を生きたココ・シャネル

とりわけ私が興味深いと思ったのはシャネルの伝記だ。ファッション業界では伝説の存在だけれど、社会奉仕をしたような人ではなく、恋に生きた女性としての側面もある。20年前の伝記人物セレクトでは、ラインナップの候補にすらにあがってこなかったような人物だ。しかし、戦争と合わせ鏡のような人生はとても興味深いし、一度引退したのち70代で現役にカムバックしたことを考えても、唯一無二の女性と言える。激しい人生を一冊でまとめるには、適度な割愛も必要だ。情報の深さでいったら、むろん大人向けの評伝には及ばない。けれどたった一冊で、あの複雑怪奇な女性の人生をまとめあげる構成力は文句なしに、すごい。子供の新しい興味の入口としてはとても上質な本である。

 

他の伝記も同様に、時代と女性と仕事、という観点から、大きな仕事を成し遂げた人物について、とてもバランスよく一冊にまとめてあった。知らない偉人を知るために実に効率がいい。複数を横断して読むことであらためて歴史を学ぶこともできる。子供に独占させておくのはもったいない。同じようなことを考える大人は多いようで、実はamazonには、実際に読んだ大人のレビューがちらほらと見られる。

 

最後に。大人の私からするとちょっと残念なのは、kindle版が発売されていないことだ。子供向けなので仕方ないといえばないのだけれど。もっと気軽に読みたい大人はたくさんいると思います。各出版社のみなさま、ぜひご検討ください。

 

グレース・ケリー (コミック版世界の伝記)
著者:瑞樹 奈穂
出版社:ポプラ社
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アンナ・パブロワ (学習漫画 世界の伝記NEXT)
著者:くりた 陸
出版社:集英社
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