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話題の映画公開間近!岡崎京子さん原作「リバーズ・エッジ」 ですが・・・こちらもオススメ『ジオラマボーイ☆パノラマガール』

池袋の居酒屋で二人で飲んでる。

漫画家アキオと会社員けんた。二人は同級生。

 

けんた「よう!」

 

アキオ「ん?・・・あぁ」

 

けんた「今日は何読んでんだ?」

 

アキオ「あぁ、これな、何年に1回は読み返したくなるんだよな」

 

けんた「お!絵柄ですぐわかるな。岡崎京子さんの作品か!おもしろいよな『ヘルタースケルター』とか『リバーズ・エッジ』とか・・・あ!『リバーズ・エッジ』はもうすぐ映画公開だよな!行定勲監督!主演二階堂ふみさん!おもしろそー」

 

アキオ「あ、あ、岡崎さんの作品ってどれも傑作だと思うけど、オレ、一番最初に買った作品がこれなんだ」

 

ジオラマボーイ☆パノラマガール 新装版
著者:岡崎 京子
出版社:マガジンハウス
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けんた「あ、オレそれ読んでない・・・」

 

アキオ「主人公の春子は東京近郊の集合住宅に住んでいるんだよ。家はさ、テレビの上にこけしがあったり、フリル付きの電話カバーだったり・・・象印的な花柄ポットに代表される、1980年後半当時のパターン化された「家庭像」の中で育ってきて・・・ださくて、つまんなくて、願わくば何かキセキが起こんないかと思っているが、抜け出すことのできない女子高生。そして、今までまじめにおとなしくでやってきたけど、エリートの父親が過労のストレスで浮気して、家庭内めちゃくちゃになって、優等生じゃなきゃ負け犬だという高校生活の中で「優等生ぶる」ことに嫌気がさして高校辞めちゃう建一、二人のボーイ・ミーツ・ガールものなんだけど・・・そこに、同性愛の友人だとか、売春斡旋してる小学生とか、いじめで引きこもりになってる女性とか、色々な人がからみにからんで縦横無尽に物語が展開していくんだけど・・・」

 

けんた「なるほどねー。作品は1980年代だけど、主人公2人の置かれた境遇は今もあまりかわってないかもなぁ」

 

アキオ「オレもそう思う。時代は進歩してるんだろうけど、人ってほとんど変わらないというか・・・。いつも閉塞感の中にいる感じ・・・この作品のあとがきに岡崎さんはこう書かれてるんだけど・・・

 

★今やわたくし達のつたない青春はすっかりTVのブラウン管や雑誌のグラビアに吸収され、つまらない再放送をくりかえしています。

 

★そしてわたくし達のできることときたらその再放送の再現かまねっこです。

 

★とうぜんしらけます。

 

・・・って」

 

けんた「なるほど、今はTVのブラウン管じゃなくて、スマホの画面というところか・・・でも「インスタ映え」とかまさに再現かまねっこかもな・・・みんな自分の個性を出したいと思いながらも、共通の居場所を探しているみたいな・・・」

 

アキオ「恋人とか仲間とか・・・「つながり」というものは本質的に求めちゃうものなんだろうけど、特にさ、若い頃のオレなんて「わかりあえる人」がきっとどこかにいるって、まさに「自分人生はの都合よくまわっていくんだよ脳」で生きてきわけ。読む漫画も努力や衝突のあとに「わかりあえる」友情や恋愛があってさ。それがカタルシスだったりしたんだけど・・・

 

この作品にであって衝撃受けたわけ。出てくる人たちは最後まで「わかりあう」ことがないんだよ。そこで悩みながらめんどくさいと思いながらも折り合いをつけていくんだよ。「わかりあえない」んだけど、できることといえば「自分が今の自分に納得すること」だけなんだ」

 

けんた「なるほどね・・・会社で部下に仕事を教える時も「わかりあえる」が前提だと、わかってもらえないときに「なんでわかんねー!」になっちゃう時あるもんな・・・オレのスキルと部下のスキルは全然違うのに・・・「わかりあえない」が前提のほうが健全な気もするな・・・」

 

アキオ「そう・・・だからさ、たまに読むわけよ、ついつい、自分に都合よく考えちゃってる時に、人間てこういうもんだぜって自分に言い聞かせるためにさ・・・」

 

けんた「・・・」

 

アキオ「それでも、岡崎さんはあとがきのつづきに・・・

 

★でも”すき”のきもちはしぶとくあります

 

★パンドラの箱ののこりもののように。

 

★残りものには福がある

 

・・・ってな、わかりあえなくても自分のすきはなかなか捨てれない、捨てきれるものじゃないってね、大事にしとこって・・・いい言葉だなって思うよ・・・」

 

けんた「ん・・・ん?ん、ん」

 

アキオ「なんだよ?」

 

けんた「あ、わかった・・・そういうことか」

 

アキオ「だから、なんだよ!」

 

けんた「オマエまた、ネーム、編集さんにボツにされたんだろ!」

 

アキオ「!!」

 

けんた「わかってもらえなかった自分を納得するために読んでんた、と」

 

アキオ「・・・」

 

けんた「ま、ほら一杯飲めよ」

 

アキオ「くそ~~~!!」

 

 

今も読み継がれてるからこそ名作!

まだ手に取られたことのない方も

この機会に岡崎京子さんの作品を是非!!

もちろん映画原作も超絶オススメ!!

 

リバーズ・エッジ オリジナル復刻版
著者:岡崎 京子
出版社:宝島社
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