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オカヤイヅミさんに店を開いてほしいと半ば本気で思っている。『いのまま』

 

いのまま (芳文社コミックス)
著者:オカヤイヅミ
出版社:芳文社
販売日:2018-02-01
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断じてグルメではないが、食い意地は張っている方だと思う。げんにここで書いているレビューの半分以上も食べ物がらみの漫画である。そんな生き方をしているといいこともあって、美味しいものを食べられる店や、美味しいものを作ってくれる人を教えてもらえるようになった。

 

 そうやって知り合ったオカヤイヅミさんは正真正銘の料理上手である。料理上手にもいろいろ種類があるけれど、レシピ通りに上手に作る人を秀才とするなら、新しいレシピを自らどんどん生み出してしまうオカヤさんは、天才の部類に入る。もちろんご本業はイラストレーターであり、漫画家であり、料理家ではない。でもその食材の取り合わせ方といったら、天才と呼ぶしかないのだ。

 

 去年の秋には、オカヤさんの自宅に遊びに行って、ラムと里芋の肉じゃがを食べさせてもらって度胆を抜かれた。それは新しい味で、本当に美味しかった。感動して「なんでこんな取り合わせを思いつくんですか?」と聞いても、一向にはっきりした答えは返ってこない。彼女はいつだって感性で料理を作っている。

 

 そのオカヤさんの創作料理の数々を楽しめるのが『いのまま』だ。『いのまま』は、おそらく「意のまま」と「胃のまま」をかけあわせた造語。本書のレシピのラインナップをほんの一部紹介すると、インスタントラーメンから作るあんかけ焼きそば、ウィスキーをたらしたホットケーキ、意外なものが生クリームがわりのフルーツサンド、そうめんをこってり食べる坦々そうめん…といった具合である。すべてが意外な組み合わせだけれど、すごくおいしそうではありませんか?

©オカヤイヅミ/芳文社

 ああ素敵。もう一度人生があったなら、そんな風に美味しいものを自由に組み立てられる才能が欲しい。

 美味しいものを外に食べに行くのも楽しいけれど、家で一人で、好き勝手に作って食べるごはんもまた格別な大人の味だ。

 

 ふだんは一人で、時々友達と。好きなときに、好きなものを、好きなだけ。秀才ですらない私は、オカヤさんの美味しそうなレシピを、たどたどしくなぞって料理を作ってみるのである。