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パンがなければ、「肉」を喰え。『ベルサイユオブザデッド』最凶のアントワネット降臨!?

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パンが無ければ、「肉」を喰え。

 

そんなキャッチコピーで売り出された『ベルサイユオブザデッド』。
1巻の表紙を飾る人物こそ、漫画史上最凶のマリー・アントワネットです!

 

ベルサイユオブザデッド_表紙

 

『放課後のカリスマ』でお馴染みのスエカネクミコ先生が描く、18世紀フランス革命前の史実×ゾンビ=アクションホラー物語。
異色な組み合わせの魅力について、徹底解析します!

漫画『ベルサイユオブザデッド』とは?

本作『ベルサイユオブザデッド』は、小学館のマンガアプリ・マンガワンで連載中の話題作。
元々は、週刊ビッグコミックスピリッツ増刊「ヒバナ」(小学館)で連載されていた作品です。

 

18世紀、政略結婚のためオーストリアからフランスへ嫁いだマリー・アントワネット。
作中の大部分は史実に基づいていますが、本作『ベルサイユオブザデッド』では、マリー・アントワネットが実は男女の双子という設定となっています。

 

ベルサイユオブザデッド_8P

 

ベルサイユ宮殿でこの双子が何をしていくのか。

気になった次の瞬間、国境付近でこの双子、なんとゾンビに襲われるのです!

姉のアントワネットは双子の弟・アルベールに助けを求めるも、見捨てられ、無念の死を遂げます

え、主人公(アントワネット)死んじゃった?

と思いきや、なんと本作はアルベールが身代わりとなり、マリー・アントワネットとしてフランスへ嫁ぐことに。
しかし、アルベールもゾンビに襲われた時、実は…。

 

ベルサイユオブザデッド_21P

 

ゾンビと言えば"襲われたらゾンビになる"ことがセオリー。

このフクロウは一体?何やら、色々と裏がありそうな…?といった物語となっています。

 

かくして、"男の娘"のマリー・アントワネットが誕生しましたが、この人物こそ主人公にして作中一番の要注意人物なのです!

 

ベルサイユオブザデッド 1 (ビッグコミックス)
著者:スエカネ クミコ
出版社:小学館
販売日:2017-01-12
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漫画『ベルサイユオブザデッド』見どころ紹介

見どころ①リアルすぎる"ゾンビ"描写

 

ゾンビと聞けば、何を想像するでしょうか?
有名なゲーム『バイオハザード』に始まり、大人気海外TVドラマ『ウォーキング・デッド』など、世界には様々なゾンビ作品があります。
近年では、漫画でも『アイアムアヒーロー』(花沢健吾/小学館)、『アポカリプスの砦』(蔵石ユウ・イナベカズ/講談社)など、リアルなゾンビ描写の作品が増えています。

 

ここで世の中のゾンビの定義を考えてみましょう。

 

・腐った死体が歩き回る
・ゾンビに襲われたらゾンビになる
・首と胴体を切り離さないと復活する(=脳を破壊しないといけない)

 

などが基本的かと思われます。
諸説ありますが、ゾンビが発生したら約100日で人類は滅亡するらしいとまでささやかれています。

 

さて、上記を踏まえて『ベルサイユオブザデッド』に登場するゾンビたちに注目してみましょう。
18世紀フランスで起こったとされる奇病「甦り病」により、死んだ後生き返った死人は、作中で不死者-モルビバン-と呼ばれています。

 

ベルサイユオブザデッド_11P

 

オーストリアからフランスに向かう国境で、アントワネットとアルベールが乗っていた馬車が襲われる、ゾンビによくありがちな、乗り物を叩くシーン。

画面からも緊迫感が伝わってきますが、大体の物語で一度ゾンビたちは静かになります。
そして様子を見ようと、ひっくり返った馬車からアルベールが出ると…。

 

ベルサイユオブザデッド_14P

 

予想してはいたものの、相当インパクトのあるシーン!

皮が腐り、目玉は落ち、骨肉が見えるゾンビたち。スエカネ先生の圧倒的画力により、忠実に再現されたゾンビたちは漫画とは思えないほどリアルで、なめてかかると正直恐ろしいレベルです。

 

ゾンビ作品を観ていて毎回考えるのは、なぜこういう場合、人は外に出てしまうのか。
怖いもの見たさや状況を理解しようという意識が働き、行動力が増してしまうのでしょうか。
とにもかくにも、ゾンビはこの機会を絶対に逃しません。本作『ベルサイユオブザデッド』のゾンビも、人の気配に敏感なゾンビであることがうかがえます。

 

次は、逃げ延びたアントワネット(=アルベール)の証言をもとに、襲撃現場に向かったフランス側・ゾンビ討伐部隊のシーン。
動かなくなったゾンビたちの"首があるかどうか"を確認する手には、斧が握られています。

 

ベルサイユオブザデッド_37P

 

人間の首、特に頚椎(けいつい)はなかなか切断が難しいもの。
剣ではなく、斧を持っているところが、非常に細かい作り込みだと感じさせるワンシーンです。
ここから本作のゾンビも、首を落とされれば死ぬゾンビだということがうかがえます。

 

しかしこのゾンビ、本編で物語が進むにつれてどうやら何者かの指示によって動いていることが判明します。
そして、ゾンビたちはアルベール扮するマリー・アントワネットを襲ってくるのです。

 

見どころ②マリー・アントワネットの謎

 

本作『ベルサイユオブザデッド』は、ゾンビvs登場人物のド派手なアクションシーンからも目が離せません!
 

ベルサイユオブザデッド_102P

 

こちらは仮面舞踏会に参加したアントワネットを、襲いに来たゾンビ。
服装や、死体が腐敗していない様子からして、仮面舞踏会参加者が何者かに殺され、ゾンビにされたのではないでしょうか。 

 

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アントワネットの護衛任務に付いていた騎士・バスティアンはすぐさま討伐にあたります。

しかし、手持ちの剣では歯が立たず、苦戦を強いられます。

危険に晒されるアントワネット、どうなるのか…!?と思いきや。

 

ベルサイユオブザデッド_110P

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騎士が全く敵わなかったゾンビ相手に、細い剣で首を切り飛ばしたマリー・アントワネット(=アルベール)。
その表情は、笑顔でありながら、
背筋が凍る恐ろしさがあります。

 

マリー・アントワネット(=アルベール)の正体とは、一体!?
ゾンビを操るのは誰?など、多くの気になる点がある『ベルサイユオブザデッド』!

 

今回は本作の担当編集者にインタビューし、直接見どころを聞いてきました!

 

 

インタビュー

 

豊田 夢太郎(とよだ ゆめたろう)

マンガ編集者。1973年、東京都出身。実業之日本社『漫画サンデー』編集部で勤務後、フリーランスとなり小学館・月刊『IKKI』・週刊ビッグコミックスピリッツ増刊『ヒバナ』編集部専属契約編集者に。ジョージ朝倉、鎌谷悠希、野田彩子各氏ほかの作家を担当し、雑誌休刊後の現在はアプリ「マンガワン」編集部所属。編集業を続ける傍ら、京都精華大学マンガ学部の非常勤講師としても活動。


 

―様々な経歴をお持ちの豊田さんですが、本作『ベルサイユオブザデッド』著者のスエカネ先生とはいつからのお付き合いなのでしょうか?

 

『放課後のカリスマ』という作品をご一緒したのが最初の仕事です。僕は10年ほど雑誌「月刊IKKI」の編集をしてましたが、割と早い段階でスエカネ先生には「うち(月刊IKKI)で描きませんか?」とお願いに上がっていて。打合せを重ねて2,3年後ぐらいに連載を開始しました。

 

―「月刊IKKI」からの後継誌「ヒバナ」に移られた際、スエカネ先生とも継続してお仕事をされたのでしょうか?

 

はい、「ヒバナ」は女性が読む青年漫画を掲載していくこともコンセプトのひとつだったので「月刊IKKI」のなかでも、特に女性の人気があった作家さんに積極的に執筆を依頼しました。スエカネ先生も『放課後のカリスマ』から引き続き、『ベルサイユオブザデッド』を連載していただいて、その後「ヒバナ」からアプリ「マンガワン」に連載を切り替えました。

※「ヒバナ」は2017年8月に休刊。

 

―『放課後のカリスマ』に引き続き、本作『ベルサイユオブザデッド』も史実が含まれた作品になっていますが、連載に至ったきっかけなどを教えてください。

 

この作品を連載するまで、1年ほどかかったんですけど、打合せの最中にふと"オブザデッドネタ"がおもしろそうだよね、という話になりまして。

 

―1年…!長いですね!

 

スエカネ先生は企画段階で入念に準備されるタイプの作家さんで、「このネタやこのキャラクターだったら広く読まれるかもしれない」というところまで落とし込んでスタートすることが多いんです。
そのあと、打合せのなかで『ベルサイユのばら』の新刊発売の話題が出て、その頃のフランスの史実って魅力的ですよねって話が進んで、連載が決まって…実際にフランス取材もしています。

 

―取材まで行かれたんですか!作中で出てくる服装や背景などがものすごく細かくて、読んでいてとても惹き込まれます。

 

ベルサイユ宮殿の周りにある当時の建物は、ほぼ現代に残ってないんです。でも実際に取材することで、スエカネ先生も「映像や写真資料だけではわからない部分に触れることができた」と仰っていました。

 

―『ベルサイユオブザデッド』は現在単行本2巻まで発売されています。担当編集として、どんな人たちに読んでもらいたいですか?

 

若い男性、でしょうか。

 

―男性ですか、意外です!てっきり女子向け作品かと思っていました。

 

確かに、当初連載していた「ヒバナ」は女性を強く意識した雑誌でしたし、スエカネ先生ご自身のファンも女性が多いので、現在の読者も女性に寄っています。
ただ、このマンガはバトルシーンやグロテスクな部分もあるので、男性にも楽しんでいただけるんじゃないかと思っています。移籍先のマンガワン読者は男性が多いこともあって、実はあえて『ベルサイユオブザデッド』は男子向けカテゴリに掲載しているんです。

 

―そうだったんですね、確かに男子向けカテゴリなのかと驚いた記憶があります。実際に男性からの反応はあるのでしょうか?

 

想像以上に楽しんでいただいているみたいです(笑)
マンガワンはコメント機能があるんですけど、単行本1巻の最後に出てくるナポレオンの登場回で「ショタが出てきた!」という反応が多かったのはびっくりしました。

 

ベルサイユオブザデッド_164

 

―男性がショタナポレオンに湧いたんですか?(笑)可愛くて私も大好きです。

 

はい、多分わかりやすく「こいつそうだったんだ!」って裏切られるキャラクターで、インパクトがあったのかなあと思います。
この作品の魅力の一つに、ところどころ史実に基づいているので、実在する人物がキャラクターとして登場すると、年齢や性別などの面で読者の予想を裏切れる部分があります。
「ああこの人ね、このあとこうなるんでしょ」って予想を、オブザデッド部分でどう裏切るか、というのも見せ場のひとつですね。

 

―ありがとうございます。少し聞いてしまったのですが、最後に担当編集の立場から思う、作品の"一番の魅力"についてお聞かせください。

 

一番ですか?(選ぶのが)難しいなぁ…。うーん、設定を盛れるだけ盛ってるところでしょうか。

 

―なるほど!(笑)

 

どの設定をとっても、それだけで漫画が成り立つようになっています。例えばマリー・アントワネットが実は男の娘でした、とか、ゾンビが流行しているだとか。
面白そうで、かつ読者の方々に喜んでいただけそうな設定を出し惜しみせずに盛り込んでいるところが、一番の魅力だと思います。
このあとの展開でも、どんどん出していく予定なので、ぜひ楽しみにしていてください。

 

―はい、ありがとうございました!

 

 

 

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