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「選ばれなかった人生」を食べる神様と未来を考えてみる? 10億PV突破した、人生選択漫画『ユメクイ』

アプリ内で累計10億PV突破、230万人が読んだWEB漫画を知っているだろうか。

 

『ユメクイ』

https://store.ganma.jp/comics/yumequi-0/

 

「選べなかった未来」を食べて消滅させる神様・ユメミと、

 

「アニメみたいに、世界がぶっ壊れねーかな」

とこじらせている大学生・天夢が主人公。

 

二人は、人生の岐路で迷う人の元に現れる。

 

人生の岐路の描かれ方は、

「実家の弁当屋を継ぐ未来」と「テーマパークダンサーを目指す未来」、

「人に勧められた会社に行った未来」と「内定辞退して大学院に行った未来」、

 

というように、「他人」or「自分」「安定」or「冒険」など、

共感しやすいように岐路が描かれている。

 

そして何より、岐路の分岐どちらに進んでも、

明るい人は明るく頑張るし、悩む人はどちらにいっても悩んでいるのが面白いところだ。

 

よく、未来を選択する物語にあるのは、

「良い未来」と「悪い未来」に分かれているパターンだ。

そして、良い未来を選択して幸せに暮らす、という結果が描かれる。

 

しかし、この漫画では、

ポジティブな人によっては、どちらの未来も良さそうだし、

ネガティブな人によっては、どちらの未来も暗そうなのだ。

 

この漫画では、「選べなかった未来」はユメミという神様が食べてしまうので、

選んだ結果しか描かれない。そして、登場人物はその未来に向かって歩むしかない。

 

漫画を読んでいるときは気づかなかったが、

よく考えると、これは私達の人生と同じなのである。

 

自分たちの人生の選択肢の、選ばれなかった未来は、見ることができない。

 

学校生活、受験、大学時代、就活、といった選択肢が明確なものから、

両親、友達、恋人など、選択肢が曖昧なものまで、人生はコントロールできないことが多く、

人は常に多くの選択肢を切り捨てて「いま」に存在している。

 

「ああ、あの時、違う選択肢をしておけば…」と思う人は、どんな未来を選択しても後悔し、

 

「ああ、いまの選択が合っているんだ」と思う人は、どんな未来を選択しても肯定する。

 

 

この漫画は、アプリ「GANMA!(ガンマ)」で連載されており、

アプリで漫画を読む層は、若年層が多い。

 

10代に人気なアプリランキングは、

ツムツム、LINEMUSICに続き、「GANMA!」は9位だ。(2017年6月時ランキング)

https://lab.appa.pe/2017-09/10s-app-ranking2017.html

 

 

つまり、人生の選択肢が、明確な形で多く提示される年代に、

この漫画はたくさん読まれているのだ。

 

その主人公が、「自分にはやりたいことがない」アニメ好きで無気力な大学生

という存在であるのもまた面白い。

 

この主人公が、夢を選択していく人々との出会いを通して、どのように変容するのか。

それは、この漫画を読むことを通して、どのように読者が未来を選択するかの糧になるだろう。

 

 

同時発売の『ユメクイ』0巻は、

神様であるユメミの前日譚となっている。

 

愛する人を失っても生きるか、愛する人を追って死ぬか。

という、かなり重いテーマを描いている。

 

SFやファンタジーといった物語の形は、

現実を拡張したり編集した設定であるがゆえに、

「愛」や「友情」、「願い」や「未来」など、

人間が信じられる不定形の概念の輪郭を、ハッキリと浮かび上がらせる。

物語を通して、自分はどうだろうか?と考える刺激になるかもしれないのだ。

 

ぜひ、未来に思い悩む人は、一度この漫画を読んでみてほしい。

https://store.ganma.jp/comics/yumequi-0/