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【祝アニメ化】『からかい上手の高木さん』に見る「最小のユートピア」の描き方
からかい上手の高木さん(1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
著者:山本崇一朗
出版社:小学館
販売日:2014-09-10
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連載当初はマニアックな漫画だと思ってひそかに応援していたら、だんだん有名になって
ついにアニメ化!……ということで私からも紹介させていただきます。
本作は中学校を舞台にしたラブコメ作品です。
主人公の「西片くん」は隣の席の女の子「高木さん」にいつもからかわれており、
日々仕返しのチャンスを狙っているが、結局いつも見透かされてからかわれてしまう、というオチ。
ポイントはなんといっても「高木さん」の描き方。
「高木さん」はさらさらのロングヘアに大きな瞳が印象的な美少女ですが、
イタズラに引っかかって慌てる「西片くん」を見る時のいじわるな表情や笑い顔、
その後にふっと見せる、女の子っぽい笑顔など、ころころと切り替わる表情が魅力的。
「西片くん」が翻弄されてしまう気持ちがよくわかります。
一方の「西片くん」はもちろん「高木さん」に対する恋愛感情があるわけですが、
子供過ぎてまだその感情を自覚できていません。
今は日々繰り返される「高木さん」からのイタズラを「屈辱」と感じて、彼女に
一矢報いることで頭がいっぱいなわけです。
けれどこれ、すでに「高木さん」の思惑通りなんです!
だって「西片くん」が好きな「高木さん」にとっては、いつも自分のことを考えていて欲しいから。

そう、この作品において二人の恋愛は最初から完成しているのです!
そもそも「西片くん」がこれだけイタズラにはまってしまうのも、「高木さん」か彼のことを
それだけわかっている事の証に他ならないわけで、読者側からは見ると、空回りして悔しがる
「西片くん」に「おまえはすでに”勝ってる”んだよ」と教えたくなってしまいます。
教室の一番後ろの、隣り合った2人の席は余人の入る余地がない完全無欠の空間。
幸せが約束されたこの場所は、地上最小のユートピアと言えるのではないでしょうか。
そこで繰り広げられる『からかい』の日々をムズキュンしながらまったりと見守るのが
本作の楽しみ方ではないかと思います。
からかい上手の高木さん(1) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
著者:山本崇一朗
出版社:小学館
販売日:2014-09-10
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なお、ラブコメの中には「結局くっつかんのかい!(怒)」という作品もありますが、
すでに外伝作品で「彼らが結婚した後」の話も描かれているので安心!
からかい上手の(元)高木さん (ゲッサン少年サンデーコミックス)
著者:稲葉光史
出版社:小学館
販売日:2017-12-15
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成人後も「高木さん」の聡明さは相変わらずのようです。