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「ケモノはいても♪ノケモノはいない」なんてことはない“ジャパリパーク”!哲学好きなら読んでおきたい「このマンガがすごい!2018」オトコ編第2位作品『BEASTARS』
BEASTARS 1 (少年チャンピオン・コミックス)
著者:板垣巴留
出版社:秋田書店
販売日:2017-01-06
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どうも!新年あけましておめでとうございます。昨年もお世話になりました。

今年もいろんなマンガのレビューを書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、今年は2018年!戌年ですね。

犬好きの自分としては、「イヌ」にフォーカスされることが増えるうれしい年です。いくつかの雑誌でも早速「イヌ」特集が組まれたりしていますね。

そんな感じで盛り上がっているからこそ、自分もなにかあやかれるかなと思って、今回マンガのレビューで「イヌ」にまつわるものがないか探してみました。

 

すると……、ありました!イヌが出てくるマンガが!!

しかも、ちょうどこの間発売された「このマンガがすごい!2018」のオトコ編第2位に選ばれているではありませんか⁉

 

これはいい!と思いまして、さっそく購入して読んでみました。

するとするとですね、いやはや、これがすごくおもしろいんですよ!

何が面白いのか端的に言うとですね、「本能VS理性」の葛藤がオオカミである主人公の言動から読み取ることができて、「自分らしく素直に生きる」とは何だろうと考えさせられるのです。

以下、あらすじを書いたあとに、今作の魅力を順にご紹介していきます。

肉食獣と草食獣が共存する世界。そこには、希望も恋も不安もいっぱいあるんだ。 
チェリートン学園の演劇部員レゴシは、狼なのにとっても繊細。そんな彼が多くの動物たちと青春していく動物群像劇が始まる!!

 

本能VS理性!ケモノは「欲望」に打ち勝つことができるのか?

 

今作の主人公はハイイロオオカミです。鋭い牙と長い爪を持っています。それらは草食獣たちのあいだで怖がられているため、主人公含む学園の肉食獣たちは、共存のためなるべく見せないように、使わないようにして生活しています。

 

ですが、ふとした瞬間に本能が出てきて、牙を出したり爪を立てたり、さらには草食獣たちを見て襲いたくなる衝動にかられるという葛藤を抱えています。表面的には平静を装っていても、心の中では草食獣を襲って食べたいと思っている。おそらく、この世界では仲の良い草食獣のクラスメートと一緒にいたいという気持ちと、一口食べてみたいという欲求のせめぎ合いが常に繰り広げられていることでしょう。とてもじゃないですが、素直に生きることができない社会です。

 

ですが、性質に違いはあれどこの構造自体は人間社会にもあてはまります。人間のなかにも理性と本能が存在していて、そのせめぎあいが常に繰り広げられている。食欲や性欲にまつわることは、とくに思い当たる節があるのではないでしょうか。

 

そう考えると、抑圧された本能と向き合いながら生活している肉食獣たちが、まるで実生活の自分のように思えてならないと思います。彼らの心の中の葛藤を通して、自分たちの心のあり方、どう自分の欲望と付き合っていくのかを考えさせられるのです。

 

ニンゲンの精神構造とケモノの精神構造

 人間には自我、超自我、イドの3つの精神構造が備わっていると、かの有名な心理学者であるフロイトは言いました。イドとはいわゆる「本能」のことで、「あれがしたい」、「これがほしい」などの欲求を司っています。一方、超自我がいわゆる「理性」のことで、自分を道徳的、意識的であろうと振る舞うことを促しています。その間にあるのが「自我」であり、イドと超自我それぞれの調整をしつつ、本能的な欲求を満たすためにはどうすればよいのかを考え計画する役割を持っています。

 

ケモノも例外ではないでしょう。人間の祖と言われるサルはもちろんのこと、イヌやネコだって本能だけで生きているわけではないと思います。自身の身に危険が及ばないよう、自我を働かせて本能と折り合いをつけながら日々を過ごす。そういう点では、人間と何ら変わりません。いえ、むしろ人間がケモノと変わらないと言えるでしょう。

 

 巷では、「ケモノはいても♪ノケモノはいない♪」なんて歌が流行った時期もありましたが、実際の世の中はそうでないことだらけ。この作品のなかでも、肉食獣はその本能がゆえにやや隅の方へ追いやられています。そんないろいろな差別や区別、種族としての本能に振り回されながら、自分らしく生きることは何かを考えた作品が今作だと思います。

 

社会や集団の心理や仕組みについて興味を持っている人、あるいはいじめや差別など、迫害された経験がある人、哲学が好きな人はきっと夢中になってしまうでしょう。

これからの展開もますます楽しみの作品ですので、戌年ということもありますから、これを機にぜひいちどお手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

BEASTARS 2 (少年チャンピオン・コミックス)
著者:板垣巴留
出版社:秋田書店
販売日:2017-04-07
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BEASTARS 3 (少年チャンピオン・コミックス)
著者:板垣巴留
出版社:秋田書店
販売日:2017-05-08
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BEASTARS 4 (少年チャンピオン・コミックス)
著者:板垣巴留
出版社:秋田書店
販売日:2017-07-07
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BEASTARS 5 (少年チャンピオン・コミックス)
著者:板垣巴留
出版社:秋田書店
販売日:2017-10-06
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BEASTARS 6 (少年チャンピオン・コミックス)
著者:板垣巴留
出版社:秋田書店
販売日:2017-12-09
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