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背中で語るのは男だけじゃない!『西荻窪ランスルー』に学ぶ女の戦い方

 

 

年末年始『逃げるは恥だが役に立つ』のドラマを一挙再放送していました。私は放送当時飛び飛びでしか見ていなかったので、今回の再放送でガッツリ見て今更再熱していまいました。

 

 

『逃げ恥』は専業主婦が職業だったら?という、新しい働く女子マンガであり、百合ちゃんのような元祖・働く女子ともいえる女性にもスポットを当てたマンガでした。働く女子を描いたマンガといえば、『働きマン』『重版出来!』『ホタルノヒカリ』など、たくさんの共感を読んでドラマ化されたような作品も多いですよね。『西荻窪ランスルー』はそんな働く女子マンガの気鋭の新星といえます。

 

 

主人公江田島咲はAOで受かった大学を蹴ってアニメーターを目指す18歳。わからないことだらけながらもエネルギーとやる気は人一倍あるエダちゃんは王道主人公です。『地味にスゴイ!校閲ガール』の河野悦子に似たようなものを感じますね。

余談ですが、NHKでも広瀬すず主演のアニメーターを目指す女の子を主人公にした朝ドラが決定しています。働く女子とアニメはこれからクるのではないでしょうか。

 

 

もちろんエダちゃんが女子として、経験の浅い高卒社員として成長していく青春物語としてウルトラアツいんですが、そんなエダちゃんの先輩女性社員のみなさんが本当に尊敬できる方ばかりなんです。なかでも特に対照的なふたりの女性に今回はスポットを当ててみようと思います。

 

 

まず、三津吉春監督。

若手女性アニメ監督です。エダちゃんが入社したアニメ制作会社へメロカリスの作画出身の女性監督です。『逃げ恥』のみくりさんがエダちゃんだとしたら、百合ちゃんが三津監督といってもいいと思います。

 

 

「女だからナメられたり気を遣われるよりいい むしろこの人なら何言っても大丈夫くらい遠慮なくしてもらった方が私もやりやすい」

 

 

と、悩みながらも女らしさを捨ててバリバリ働くことを選んでいます。

 

 

この三津監督は産休を経て復帰しているのですが、育児の描写がされているのがとてもリアリティがあって、夕飯を食べ終わった20時に旦那さんに子どもを預けて出社するシーンがあるんです。周りの協力なしでは両立できないということをさりげなく、いやらしくなく描いてくれています。

 

 

 

一方、一之瀬綾さん。

打って変わって一之瀬さんはカワイイ系。ふわふわでいい匂いがして華奢で、いかにもモテそうな雰囲気を持つ女性社員です。

 

 

「男の人には体力で敵わないから」

「女は愛嬌 これが私の戦い方」

 

 

そう断言する一之瀬さんのしたたかさは、どちらかというと三津監督やエダちゃんのようにガッツでどうにかしようとしてしまう私には、難しい戦い方であり、憧れる戦い方です。

 

 

三津監督のように「女だから」と言われないように働くのではなく、たとえ「女を売りにしている」と言われても、自分がやりたい仕事ができるように、自分ができることをなんでもする、という姿勢にも憧れるものがあります。最初はぶりっこが鼻につくと思っていた後輩社員も「かっこいい」と思ってしまうくらい、一之瀬さんは仕事に、自分のやりたいことにまっすぐな芯の強い女性です。

 

 

女だからと言われたくない、とは思いつつも結局男と女には歴然とした違いが必ずあります。三津監督はこの仕事を長く続けるつもりではない、と言いながらも「もう少しだけ、抗わせてくれ」と言っています。エダちゃんの同期・敬子の彼氏は「結婚するまでの仕事だと思ってる」と言っています。

 

クリエイティブな仕事は夢があって、憧れます。でも、やっぱり女という性はどこまでもついてまわるし、一生付き合っていかないといけないものです。やりたいことをするのが幸せなのか、それが幸せだとしたら、どうしたらその幸せに辿り着けるのか、『西荻窪』の先輩たちの背中をたくさんの女性たちに見てほしいと思います。

 

 

 

 

西荻窪ランスルー 1巻
著者:ゆき林檎
出版社:ノース・スターズ・ピクチャーズ
販売日:2016-06-20
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