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まだ叶わない夢を追いかけて消耗してるの?『左ききのエレン』が教えてくれる、正しい夢のあきらめ方。
左ききのエレン 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
著者:かっぴー
出版社:集英社
販売日:2017-12-04
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「夢」って、とても素敵なものですよね?

 

あれば自分の生きる目標になるし、日々の生活の活力も与えてくれる。

たとえ辛いこと・苦しいことがあったとしても、この先に夢を叶えられる未来があると思えば、くじけないで頑張れる。

まさに、人生の原動力と言えるものだと思います。

だからこそ、多くの大人は子供に対して「夢を持て」と言いますし、社会人になってからもよく問われるのでしょう。

 

ただし、「夢」は往々にして人生を大きく左右するものであり、それもポジティブなことばかりではありません。叶わない夢を持ち続けて人生を不意にしてしまうこともあります。「夢は、あきらめなければいつか叶う」という大人がいるのは知っていますが、そういう人たちの無責任な甘言にまどわされてはいけません。早く目を覚ますべきです。むしろよく理解しているはずです。どんなに願っても叶わない夢は、この世の中に無数に存在していることを。

 

今回ご紹介する作品は、そんな「夢」に振り回されて生きている、もしくは生きていたことがある人には、きっと心に深く刺さる内容です。心して、読んでほしいと思います。

 

以下、あらすじを紹介します。

 

 

広告代理店勤務の若手デザイナー・朝倉光一。納得出来ない理由で自ら勝ち取った仕事を取り上げられた彼は、やりきれない気持ちを抱えて横浜の美術館へと向かう。そこは、彼が初めて「エレン」という才能と出会った場所で…。大人の心も抉るクリエイター群像劇、開幕!

 

天才になれなかった全ての人へ

 

子供のころ、あなたはどんな夢を持っていましたか?

野球選手?それとも、サッカー選手?パイロットや宇宙飛行士になりたいとも言っていたでしょうか?

なんとなくではあるけれど、大なり小なりいくつもの夢を持っていた思います。

 

それでは、「今」のあなたに質問です。

その夢は、今、叶えられていますか?望んだ形で実現していますか?

 

叶えられた人もいるでしょう。きっとすごく努力したと思います。とても幸運なことです。

一方で、叶えられなかった人もいると思います。その人も、夢を叶えた人と同じようにすごく努力していたでしょう。それでも叶えられなかった。とても残念なことです。

ただ、中には子供のころ抱いていた夢と違う夢を持つようになった人もいるのではないでしょうか。その人はその人で、その夢を叶えた人もいると思いますし、また、叶えられなかった人もいるでしょう。そして、いまなおその夢に向かって努力している人もいると思います。

 

話をちょっと変えます。

恋愛の話です。

あなたにはきっと、昔とても好きだった人がいたはずです。本気で好きだったし、ずっと一緒にいたいと考えていたのではないでしょうか。

 

それでは、今あなたの横にいるのは、その人ですか?

それとも、別の人ですか?

 

いまなお一緒にいる人もいるかもしれません。しかし、別の人と一緒にいる人も多いのではないでしょうか。

昔抱いた、大好きな人との「夢」を実現した人。

また、そんな「夢」を叶えられなかった人。

どちらも往々にしてあることです。

 

ただし、ここで大事なことがあります。

それは「自分が今、幸せか」ということです。

 

夢を叶えた人が幸せで、夢を叶えられなかった人は不幸せであるというような考え方が出来ないのが、また「夢」でもあるのです。

たとえば、先程の話の続きで、大好きだった人と一緒になれなかったあなたは、今、本当に不幸せですか?

新しい好きな人を見つけて、その人と仲睦まじくやれているのではないですか?

日々を楽しめて、ある程度満足できているのではないですか?

そう考えると、かつての夢が叶わなかったからと言って、不幸になったわけではなく、むしろ新しい幸せを見つけたといえるのではないでしょうか。

つまり、夢をあきらめることは、新しい夢を見つけることにもつながることなのです。決して、悪いことばかりではないのです。

 

夢をあきらめることは、悪いことではない

 

『クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方』という本があります。その中にも出てくることなのですが、僕たちは生まれてから死ぬまで実に多くの夢を持ちます。そして、僕たちはそれらの夢を成長とともに諦めたり変化させたりすることでここまでやってきたのです。むしろ、古い夢を捨てる・あきらめることは、新しい夢を持つことにもつながる、大切な行為なのです。いうなれば、「夢の断捨離」です。捨てた分だけ、新しいものを入れることができる。自分の知らなかった世界に目を向け、耳を傾けることができるのです。

 

なので、一つの夢に縛られることは、むしろ自分の人生を不自由にするという考え方もできると思います。夢を持ったからといって、全ての夢を達成しようとする必要はないのです。あきめたっていいんです。かっこ悪いとか恥ずかしいとかそういう感情を抱いたとしても、無理して夢を実現させようとしなくていいんです。むしろ、一つの夢に囚われすぎて自分の人生を不意にすることを恐れるべきだと思います。自分の可能性を自分で狭めるようなことはしないほうがいいでしょう。

 

どうしても夢をあきらめきれない人へ送る作者の思い

このマンガはかっぴーさんという、もともと広告代理店で働いていた方が描かれたものです。原作はKindle Unlimtedで第一部が全て読めるようになっており、そしてマンガアプリ「ジャンプ+」でリメイクされたものが毎週土曜日に更新されています。

 

ぼくはかっぴーさんのお話を2度ほど直接お聞きしたのですが、かっぴーさんの「夢」に対する考え方がとても心に響きました。そしてその考えは、原作の第10巻に収録されています。

 

ここまでこのレビューを読んで下さった方のなかには、きっとそれでも夢はあきらめなければ叶うと信じている人もいると思います。確かにそれも一つの事実であり、真実でもあるでしょう。

 

それでも、叶わない夢を追い続けることは、明らかにリスクが高いです。自分の派遣営業時代、ずっとデビューしたくて音楽活動に励んでいた40代の方がいました。本当に音楽しかしてきていなかったため、他のことは全くできず、仕事を紹介してほしいといわれても何も紹介出来ませんでした。仕事を紹介してくれないことに腹を立てたその人は、電話口で終始営業を怒鳴り散らしていました。

 

その人もきっと、あきらめなければいつか叶うと思って、夢に向かって努力してきた人だと思います。でも、その結果が、仕事を紹介してくれない営業に対して怒鳴り散らすでは、あまりにも悲しいではありませんか。

 

こうならないためにも、夢をあきらめる行為は必要なことだと思います。辛いことではありますが、それに固執して全てを捨ててしまうのは、きっとだれも幸せにならないことでしょう。

 

そして、その「夢」をあきらめる唯一と言ってもよい方法を、このマンガでは知ることができるのです。おそらくこれ以外のやり方をすると、その人は夢をあきらめることが出来ないと思います。その方法こそ、かっぴーさんがこの作品に込めた大きなメッセージの一つです。この作品を語る上で欠かせないキーワードなのです。

 

もし自分の夢をなかなか叶えることができず、引き際を考えながら日々を送っている人がいたら、ぜひこの漫画『左ききのエレン』を読んでみてください。きっと自分の人生が変わるヒントを教えてくれるはずです。

 

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著者:かっぴー
出版社:集英社
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クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方 (星海社新書)
著者:海老原 嗣生
出版社:講談社
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