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ここには本当の経済学がある!『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』1000円お得だと考える中身は一体なんだろう

2017年もノーベル賞が発表されました。今回の発表では残念ながら日本人の受賞者はでませんでしたが
日系人のカズオ・イシグロ氏の受賞がお茶の間を賑わせました。
今年のノーベル賞の中で経済学賞を受賞したのが
リチャード・セイラー教授。「行動経済学への貢献」で受賞をしています。
この方は行動経済学の分野に「心理学」を取り入れた第一人者でもあります。

 

元来、経済学で仮定するヒトのモデルは「合理的な選択をする人」です。
例えば車を買うと決めている人がいるとします。今月買えば消費税8%で購入できます。
来月買うと消費税10%で購入できるとします。
合理的な判断をする人は、今月車を買おう、という判断を下します。この人は、今月車を買うことにしました。ところが、車を買おうと思っていた矢先に財布を落としてなくしてしまいました。中には10万円が入っていて、からっぽの状態で戻ってきました。この人はひどく落胆し、今月車を買うことをやめてしまいました。

 

そう、時に人は心理的な要因により、経済活動の選択を変更せざるをえない状況に遭遇します。
可能な限り人の心のしくみを経済学とミックスさせて考えた学問が「行動経済学」になります。

 

私たちはしばしばギャンブルにはまったり、衝動買いをしたり、太るのは嫌だと思いながら食べるのをやめられません。行動経済学は、従来の経済学では説明しきれない人間の経済行動を人間の心理という視点から解明しようという新しい経済学です。経済学でもハードルが高いのに、小難しいそうな行動経済学なんか文の本でなんか理解できない。そんな声が聞こえそうですが安心してください。『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』を読めば理解ができます。

 

行動経済学まんが ヘンテコノミクス
著者:佐藤 雅彦
出版社:マガジンハウス
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例えばこんな話。

 

ひごうり彦は長年使っていたドライヤーが壊れてしまいました。
うり彦はたまたま家に遊びにきていた姪のとん子ちゃんと一緒に駅前の安川でんきにドライヤーを買いに行きました。今朝の安川でんきのチラシで前からほしかったドライヤーがセールで5,000円だったからです。
安川でんきに到着する直前で駅の反対側のビック無線の社員がチラシを配っていました。そのチラシには、ほしいと思っていたドライヤーが4,700円と300円安く掲載されていました。結局うり彦は駅の反対側のビック無線に行き4,700円のドライヤーを購入しました。お得になった300円を使ってうり彦は、アイスクリーム屋さんでとん子ちゃんに300円のソフトクリームを買ってあげました。
翌日、うり彦は長年愛用してきたステレオで音楽を聴こうとスイッチを入れました。20年も使っていたのでさすがに壊れてしまいました。昨日の安川でんきのチラシに前からほしかったZONYのコンポがセールで19万5000円と掲載されていました。昨日と同じようにとん子ちゃんにつきあってもらい買いに行きました。
また、安川でんきに到着する直前でビック無線の社員がチラシを配っていました。そのチラシにはZONYのコンポが19万4700円と300円安く掲載されていました。また、昨日と一緒にビック無線で購入するかと思われましたが、うり彦は安川でんきでZONYのコンポを購入しました。とん子ちゃんは昨日と同じ300円引きなのになんで高い方をうり彦が購入するのか理解できませんでした。―『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』より

 

さて理解ができません。ビッグ無線で買えば300円安く購入できるのに、わざわざ高い方を選んで購入しています。『ヘンテコノミクス』を読み進めてみましょう。
これを行動経済学では「感応度逓減(ていげん)性」と言います。今回のうり彦のように、私たちは全体の母数の大きさによって同じ金額を大切に扱ったり邪険にしたりと勝手にその価値を変えてしまう場合があります。

 

つまり、昨日の300円は、今日の300円と違う価値になってしまうということになります。
私も思い当たる節があります。無駄な気はしているのに、射幸心にあおられて宝くじのスクラッチをやってみたり。無駄遣いしたなと思っているときに、喉がかわいているけれど定価で飲み物を買うのはもったいないから、家まで我慢しようと思ってみたり。

 

割高でまずい居酒屋に行った翌日、購買意欲が著しく落ちたり。
食欲も落ちたり。
海外旅行に行くと、必要以上に多く消費してしまったり。
免税ショップはうっかり寄ってしまったり。
お土産を買う気分になったり。

 

ところでうなぎ屋で松・竹・梅のうな重をメニューに載せておくと
真ん中の竹が一番売れると聞いたことはありませんか。
松(3000円)竹(2500円)梅(2000円)・・・。
うーん、消費税を入れると3240円、2700円、2160円ですか、ゴニョゴニョ。

 

世の中は選択であふれていますね。

 

行動経済学まんが ヘンテコノミクス
著者:佐藤 雅彦
出版社:マガジンハウス
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