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数字で、世界を見ている人に、世界はどのように映っているのか?『はじめアルゴリズム』

人は言葉で考える。使う言葉によって、世界の見え方が違う。

他の人には、世界がどのように見えているのか、それを追体験できるのが、フィクションの醍醐味である。

 

違う職業の楽しみを知る漫画はたくさんある。

『宇宙兄弟』であれば、宇宙飛行士、編集者であれば『働きマン』、バレエであれば『昴』、消防士であれば『め組の大吾』。

正直、枚挙にいとまがない。

 

職業ごとに世界の見え方も違う。

でも、同じ日本語で思考していると、その世界観の差を伝えるのはそこまで難しくない。

 

数字で、世界を見ている人に、世界はどのように映っているのか?

プログラミング言語で世界を見ている人に、世界はどのように映っているのか?

それをわかりやすく表現しようと思うと、難易度が一気に上がる。

 

『はじめアルゴリズム』は、新人漫画家による初連載だが、その難しい課題に挑戦していて、はじめの壁は突破している。

マンバの書き込みを読むと、読者の多くも、数学ということで抵抗を覚えず、作品世界に入っていけているようだ。

 

このタイプの作品は、この後、物語の波をどう作っていくかが難しい。

スポーツものと違って、対決を描けない。主人公にとっての壁と挑戦をどう描いていくかがあまりにも自由すぎて、

説得力のある展開をしていくことが難しいのだ。

それを三原さんがどのように乗り越えていくのか、2巻以降が楽しみだ。

 

そして、実はこの作者の三原さんは、僕と同い年で、22歳からの知り合いである。

僕が『バガボンド』の担当編集者として、井上雄彦さんの事務所に出入りをしている時に、

井上さんのアシスタントである三原さんと知り合った。

『はじめアルゴリズム』の人物、表情の描き方は、井上さんの影響が多分にある。

 

知り合ってから16年。三原さんは、ずっと諦めずに努力していた。

以前、矢島光さんのレビューの時にも書いたけど、成功するためにもっとも重要なことは、

諦めないことだと改めて感じた。

 

この後の展開を楽しみにしている!

 

Netflixに『タッチ』というドラマがある。このドラマの主人公は、数字でしか世の中をみていなくて、言葉が話せない。

『はじめアルゴリズム』と方向性はずいぶん違うけど、『タッチ』が好きだった人にはオススメだ。

 

はじめアルゴリズム(1) (モーニングコミックス)
著者:三原和人
出版社:講談社
販売日:2017-11-22
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