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カルト的人気を誇る不朽の名作『迷走王ボーダー』は、今だからこそ読むべき人生の哲学書だ!

※この記事は2014年5月16日にマンガHONZ(運営:株式会社マンガ新聞)にて掲載した記事の転載になります。 レビュアー:小林 琢磨

ボーダー vol.1―迷走王 (双葉文庫 た 33-1 名作シリーズ)
作者:狩撫 麻礼 出版社:双葉社 発売日:2008-01-15
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20年以上昔の漫画であるにも関わらず、今も尚カルト的な人気を誇る不朽の名作『迷走王ボーダー』は、現在TVドラマが放送中の『リバースエッジ大川端探偵社』のゴールデンコンビ(作・ひじかた憂峰、画・たなか亜希夫)の伝説的作品です。原作は違いますが『軍鶏』も有名ですね!
無為こそ過激。
「何も持っていない状況が一番過激で面白い」と述べるこの人生の哲学書を、連日ワイドショーでくだらないニュースばかり流れている今だからこそ、こんな今だからこそ、全ての大人達に読んでもらいたい!

はじめましての人もそうでない人もこんにちは! 株式会社サーチフィールドと言うイラストや漫画に特化した制作代理店を経営している小林です。

僕がこの作品に出会ったのは大学生の頃だったと思う。週5で麻雀をやっていた頃だから多分大学2年生の時だ。モラトリアムを永遠に続く自由だとはき違え、大学にも行かずバイトと麻雀に明け暮れていた時代だった。

そんな時にバイト先の破天荒な先輩から薦められた漫画がこの『迷走王ボーダー』である。笑顔がとても似合う先輩だった。

当時、「普通」じゃない事に憧れを抱いていた僕はその先輩の波瀾万丈な人生に少しでも近づきたくてすぐに全巻を購入し読みふけった記憶がある。

ボーダーとは「あちら側」と「こちら側」の世界の境界線を歩む人達の事である。 「あちら側=見えない常識に支配された一般的な世界」を毛嫌いする主人公の蜂須賀の生き方は確かに自由でカッコいい。

男だったら誰だって「普通」じゃないことに憧れを抱く時期があると思う。 普通じゃない人生を送ってみたい。「あちら側」ではなく「こちら側」の人間として自由に、短くても濃い人生を送ってみたいと考える時期があるはずだ! 見えない自由が欲しくて、見えない銃を撃ちまくるそんな時期があったはずなのだ!!

そう、『迷走王ボーダー』は漫画界に現れたブルーハーツなんだ!

真似が出来ないからこそ憧れる。 どうしようもない駄目人間で、救えない大馬鹿者だけど最高にイカした僕らのヒーロー。

家賃3,000円の元共同便所に住む謎の主人公、蜂須賀。

ボロアパートの最下層、元共同便所に住む主人公の蜂須賀は3,000円の家賃すら払えないホームレスギリギリの底辺人間。しかも10年間大陸を渡り歩いていたもんだから世間の常識が一切通用しない!だがそこが良い!!

そんな蜂須賀のハチャメチャな日常を描いたのがこの作品なのだが、冒頭の「無為こそ過激」を信条に、ゼロも無限も変わらないと言う人生哲学を描いている部分に注目して貰いたい。

事実「あちら側」の世界で成功し「こちら側」に来た蜂須賀の言葉には何とも言えない重みがある。これが期間限定のモラトリアムを過ごす大学生とプロモラトリヤー(造語)蜂須賀の違いであろう。真の意味でお金に価値はないと言い切れるのはお金持ちになった経験がある人間だけなのだ!

蜂須賀は3,000円の家賃すら払えないが、一晩で100万円以上豪遊したりする。更には人々を感動させるレゲエスターになったかと思えば、次の日には場末のホームレスに逆戻りしたりするのである。

まさに迷走に迷走を重ね、ボーダーラインをいったり来たり。

その振り幅の大きさが蜂須賀の魅力なのである!

ここにシビれる!あこがれるゥ!

蜂須賀と同じボロアパートに住む久保田と木村も忘れてはいけない存在です。

常識人にも関わらず、蜂須賀並に謎の人間である久保田と東大を目指す田舎者の木村。蜂須賀を交えたこの三人の超デコボコトリオの友情にシビれる!あこがれるゥ!!

木村が東大に落ちた時は、木村が本気でキレるくらい大人げなく馬鹿にしながらも、その翌年に木村が念願の東大に合格した際は、電話一本で大金を用意し銀座で豪遊させる蜂須賀。

いつも冷静で要領よく立ち回るくせに、最後の最後で美味しい所はいつも他人に譲る久保田。

東大合格後、家庭教師になった木村が「あちら側」からの至極全うな意見を無視し、蜂須賀や久保田との馬鹿な約束を守るためにボロアパートへ戻るシーンなんて胸が熱くなります!

ガード下の赤提灯で安い酒をチビチビ飲みながらあーだこーだ話す三人の姿は、「あちら側」から見ると負け組の象徴に近いのかもしれませんが、その瞬間は確かに最高に輝いているんです。

ドブネズミの様な美しさがあるんです。 そんな三人の最低で最高な日常を味わってください!

最後に

大切な事は全て『迷走王ボーダー』から教わりました。 僕はこの作品を通して、物事の本質は決して1つではないと言う事を学びました。 そして本当の自由の意味を。

モラトリアムはいつか終わりを告げます。 世の中はそんなに甘くないです。働きましょう。

でも忘れてはいけないのは、全てを失ったとしても、人は何度でもやり直せるって事です。 価値観は人それぞれ。自由の意味は自分が決めるのです。

合い言葉は「ボーダー」

間違いなく僕の人生でトップ10に入る、バイブル的作品です。

※続編も出ているのでこの機会に是非!

ネオ・ボーダー(1) (アクションコミックス)
作者:ひじかた 憂峰 出版社:双葉社 発売日:2012-09-28
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※合わせてどうぞ!

リバースエッジ大川端探偵社 1巻 (ニチブンコミックス)
作者:ひじかた 憂峰 出版社:日本文芸社 発売日:2009-10-19
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軍鶏 巻之壱 (イブニングKCDX)
作者:たなか 亜希夫 出版社:講談社 発売日:2011-06-23
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