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超人気漫画家の紆余曲折の青春時代『かくかくしかじか』

※この記事は2014年2月19日にマンガHONZ(運営:株式会社マンガ新聞)にて掲載した記事の転載になります。
レビュアー:堀江 貴文

かくかくしかじか 3 (愛蔵版コミックス)
作者:東村 アキコ
出版社:集英社
発売日:2014-01-24
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東村 アキコ先生 マンガ大賞2015 大賞受賞おめでとうございます!!

東村アキコさんの漫画は獄中にてママはテンパリストを読んだのが初めて。ドタバタ子育てをエッセイ漫画にして大人気。作中で紹介した子供向けの、子供を恐怖に陥れるための地獄本が大ベストセラーをなるほどの影響力だ。そんな人気漫画家が順風満帆な人生を歩んで漫画家になった。。。という物語ではない。東村アキコさんをGoogleで画像検索してみると結構な美人でさぞかしリア充な人生を歩んできているかと思いきや。。。

物語は作者の高校時代から始まる。漫画家になる夢を密かに持っていた宮崎の片田舎の少女が個性的でスパルタな美大受験の為の塾を運営する先生に出会う所から始まる。本当は漫画家になりたいのにストイックな画家を志向する先生との微妙な関係、そして美大に進んでからの夢と現実の乖離。くだらない日常に埋没してしまい、漫画家の夢からどんどん離れていく自分にイライラしながらも流されて行く若者の姿が描かれる。

作者の通う大学は故郷宮崎から遠く離れた場所にあるのだが、そこを訪問してきた恩師を自宅に放置して彼氏の家に逃げてきた作者のシーンをみて、かつて私も同じような体験をしたことを思い出した。作者とは境遇は違えど、世代は同じで共感するところが多い。多すぎるのだ。

そう、私が現在ミリオンセラープロジェクトと銘打って私の少年時代から青年時代の彷徨っていた時代を描いた本が『ゼロ』であるが、そうか、本書が東村アキコにとっての『ゼロ』なんだな、と納得してしまった。成功している人の多くは目標に向かってまっすぐ進んできたわけではない。悩み苦しみ、時には凄まじい努力を重ねてスキルや経験を獲得して今があるのだ。そんな思いを強くする一冊。漫画家漫画にハズレなしっていわれるけど、これは間違いなくその中でも珠玉の一冊と言えるだろう。

読まないと勿体無い!

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