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あしたのコンテンツ トキワ荘プロジェクト

—本エントリーはebookjapan Web Magazine KATANA 2016年6月号 より転載しております。

手塚治虫、石ノ森章太郎、赤塚不二夫……マンガ家たちが同じ屋根の下で切磋琢磨しあった特別な場所「トキワ荘」。それをなぞらえて、若手マンガ家志望者たちに安価で住居の提供支援を行い続け、今年10年目を迎えた「トキワ荘プロジェクト」。
そこで入居者の直接のフォローを行う、「NPO法人 NEWVERY」の福間さんにお話を伺いました。

【告知】
7/9にトキワ荘プロジェクト10周年記念フォーラム「クリエイター支援の課題と可能性」を、五反田で開催します! 

――どのような目的で、トキワ荘プロジェクトははじまったのでしょうか。
 トキワ荘プロジェクトの運営団体である「NPO法人 NEWVERY」は、ニート・フリーター支援を目的にはじまりました。現在はニート・フリーターにならないための「予防活動」を中心に、若者支援事業を展開しています。
 一方で、目標を持ってあえてフリーターの道を選ぶ方もいます。とくにクリエイティブ職を目指すかたに多いのですが、夢に向かって上京したものの、日々の生活のためのアルバイトに時間を費やしてしまい、本当にやりたいことに思う存分チャレンジできないという状況がありました。東京の高すぎる家賃が若者たちの可能性を奪っているのではないか?そういった問題意識のもと、マンガ家志望者たちに手頃な住む場所を提供する「トキワ荘プロジェクト」がはじまりました。
 ちなみに、今は東京近郊で22件、京都でも5件立ち上がっています。現在の入居者数は120人程ですが、歴代の入居者数はのべ360人程です。

――声優や役者など、若者に人気があるクリエイティブ職は他にもありますが、その中かからマンガ家に焦点を当てる事になった理由はなんでしょうか。
 それは、マンガがいちばん結果が分かりやすく出やすい、と考えたからです。定期的に募集が行われている賞もあるし、「この雑誌に載る」と目標も立てやすい。雑誌に「新人枠」と呼ばれるものがある。マンガ業界は新人の受け入れ先が充実しているのです。

――トキワ荘プロジェクトの入居に際して、どのような条件があるのでしょうか。
 入居時の条件は、共同生活が出来ること、家賃をきちんと毎月払える事、、そして、本気で漫画家を目指している事、この三つです。
 本気で漫画家を目指しているかどうか、というのは、漫画の完成原稿を一本以上持ち込みか投稿したことがあることを最低限のラインとしています。入居時には、技術的な面はあまり重視していません。大事なのは、「描くか描かないか」ということです。
 基本的には3年間が入居の期限です。早く出る分には本人の自由ですが、こちらから何か声かけして入居者の回転を早くする、といった事はありません。プロデビュー後もトキワ荘にて描き続けている方もいます。

――3年間という期間は、どのようにして決定されたのでしょうか。
 「マンガを1000ページ描く」ための3年間になっています。何人かの漫画家さんにプロデビューまでの過程に関してお話をお聞きした際、1000ページ描けばマンガ家になれる、という意見をあちこちでうかがいました。
 たとえば、月刊誌に掲載される一話のページ数は、1か月30ページ前後です。それを3年間続けるとだいたい1000ページになります。デビューがゴールではなく、その後も長く「仕事」として描き続けられるマンガ家を目指すべく、「1000ページ描く」ための時間をトキワ荘の期限としています。
 しかしながら、実際に1000ページ描いても、残念ながら思うように結果が出ない人もいました。描き続けることももちろん大事ですが、「何を」描くのかも大事です。その「何を」を積み重ねる時間を過ごしてもらいたいと思っています。

――トキワ荘プロジェクト入居中のメンバーに対しては、プロデビューのためにどのようなフォローを入れるのでしょうか。
 入居したばかりの人たちのレベルはとにかくバラバラです。漫画の持ち込みをはじめたばかりの人から、すでにデビューしている人まで。同じ目標が立てられないため、個別のフォロー、対応が重要になってきます。
 マンガの編集者は「どうやったら漫画が面白くなるか、どうやったら売れるか」という作品自体のことを考えるのが中心だと思いますが、トキワ荘プロジェクトは作品の中身についてはそこまで言及していません。私たちが特に気にしているのは、マンガを描く姿勢・思いの方です。私たちは、ひとことで言えば「お尻に火をつける係」です。火をつけたうえで、後ろの方で旗を持って応援するのが仕事です。
 ですので、入居者とは、定期的な面談を続けています。もしその面談時に原稿が止まってしまっているという事になれば、もっと短期的な締切を設けて「ここまでにこれくらい進めてみようか」と、タイムマネジメント的なフォローをしています。

まとめ

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