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答えは自分の奥底にある!? 『CROSS OVER』合宿編にみる未体感体験のススメ

少年マンガにテッパンの展開といえば、過去編と修行編。

特に、修行編は挫折(敗北)から這い上がり、困難を経て再び立ち上がる胸アツ展開が約束?されているとあって、始まると、読んでいてテンションが上がる。

 

ところが、この修行編で予想だにしない“スキル”獲得に乗り出した作品がある。

バスケ漫画『CROSS OVER』だ。

 

Cross over (1) (少年マガジンコミックス)
無料試し読み
著者:瀬尾 公治
出版社:講談社
販売日:2002-10-17

 

この漫画、後に『涼風』『君のいる街』を生み出し「カワイイ女の子を書かせたら天下一品」と評される瀬尾公治さんの作品だけあって、主人公もチームメイトも、とにかく色白で細身で清潔感があるイケメンばかり。

言うまでもなくヒロインもその他メンバーもカワイイ子、色っぽい子、キレイな子が目白押しだ。

 

そんなメンバーが揃ったバスケ部(実は弱小高)が、高みを目指して強豪とぶつかり合う、少年誌らしいスポコン展開。

そして、「より強くなるためには、一度鍛え直さないといけない」となり、お約束の修行編へ。

 

普通なら、己の弱さを自覚したり、仲間との衝突を繰り返したり、厳しい特訓で己を鍛えたり、ということになるのだが、この作品で取り上げられたのは……

 

なんと、古武術!

 

江戸時代までの日本人の体の使い方を取り入れ、「最小限の動き」「効率的な使い方」、それでいて「最大限のポテンシャル」を発揮する!

まるで魔法のような斬新な手法を体に染み渡らせる特訓が始まったのだ。

 

例えば――

 

  • 右手と左手を同じように振り上げ、腰のヒネリを減らすことでスタミナ減少を抑制する“ナンバ走り”
  • 肩全体を使うのではなく、肩甲骨を動かすことで、動作がコンパクトになる“手裏剣投げ”

 

などなど、現代生活ではなかなか遣わない部位を用いるとあって、作品内のキャラクターたちは悪戦苦闘するシーンが数多く描かれている。

 

しかし、繰り返しの動作の中で、彼らは自分を見つめ直し、体との対話を通して自分の本当の特性を知っていく。

 

そして、まだ見ぬ無限の可能性ではなく、自分の身に隠された可能性に目を向け、着実に顕在化させていくのだ。

割と地味な光景ではあったが、身近に感じたのを覚えている。

 

ちなみに、この古武術は、桑田真澄氏や為末大氏が取り入れ、メディアでも取り上げられたことで、“取り入れられるスキル”として注目されている。

 

『CROSS OVER』は修行編を経て、新たな加入メンバーとの衝突や、決戦当日のトラブルなど数々の難関がバスケ部に降りかかるが、修行の成果を活かし、どのチームとも違う個性を発揮。

“古武術バスケ”と呼ばれる異色の存在となっていく。

 

「できたらいいな」

「あれば使う」

理想の姿を思い浮かべるのは大切なこと。

でも、それを掴み取るカギは、自分の体の使い方にあるかもしれない。

 

感情が行動を変えるのでない。

行動が、感情を変えるのだから。

 

 

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