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SNS時代のあたたかい家族エッセイ『泉さんちの福福家族』!

こんにちは。マンガ新聞レビュー部です。

ツイッター掲載マンガの勢いが止まらない昨今。

今やあらゆる人がツイッターにマンガを載せ、それが書籍化されて書店に並ぶのも、もう見慣れた光景となりました。

その中で、今回は『泉さんちの福福家族』をご紹介します!

 

 

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『海王ダンテ』原作者・泉福朗先生のツイッター漫画が単行本に!

『泉さんちの福福家族』は、ゲッサン連載中の『海王ダンテ』原作者、泉福朗先生がご自身のツイッターにアップしたマンガの中から、「家族」をテーマにした作品が収録されています。

 

『海王ダンテ』といえば皆川亮二先生の力強い作画とダイナミックな冒険物語、という印象ですが、こちらは打って変わって「暖かい家族のエッセイ」。

どこかゆるくてユーモアいっぱいの中にも、忙しい毎日で忘れがちな家族への暖かな想いを思い出させてくれる作品です。

本文が青緑の単色カラーなのも、ホッとする世界観に一役買っていて、エッセイ作品ならでは。

 

ツイッター未掲載の作品もあるということで、ネット掲載時からチェックしていた方にとっても嬉しい一冊です。

 

 

ちなみに、泉福朗先生のツイッターには、「家族」以外ではこんな感じのマンガも。

泉先生の猫愛が炸裂しております。

 

ノスタルジーではなく完全な「別世界」

『泉さんちの福福家族』は、その作中に出てくる暖かな家族や思い遣りが「当たり前ではなくなってしまった」というところも、コンテンツとして注目される点の一つかと思います。

 

この作品を読んで思い出したのは、子どもの時に読んだ、さくらももこ先生の『うちはびんぼう』です。

昭和の二世帯住宅(『ちびまる子ちゃん』と構成が同じ)で、決して豊かではなく、家族それぞれ苦労はあるけれど、家庭は明るい、というテーマです。

当時はなんの抵抗もなく読んでいましたが、今思うと「かけ離れたフィクション」として読んでいた節があります。

 

『泉さんちの福福家族』にも同じ感覚を非常に強く抱きました。

それこそ『海王ダンテ』くらい、自分の日常とかけ離れてるんですね。

 

もちろん、「日々の喧騒の中で、こうしたささやかな感情を忘れていた」という意味で、ほっこり読める人もいると思います。

一方で、一部の人間からしたらこの家族像、もはや「異世界」なんですよね。

家族でワイワイやること自体が少なくなったり、そもそも両親と一緒に住んでいなかったり。

例えば都会っ子で核家族の身からすると、泉先生の育った環境はかなりリアリティが「ない」のです。

本作の冒頭「はじめに」には、このような言葉があります。

 

そういえば、母が言っていた言葉があります。

「私はね、「お母さん」でいたいの。いつまでも」

(中略)

私は卑屈になったり、やさぐれたことだけはありません。

おかげで、いつでも今でも人間大好きです。動物も空や雲も、住んでいる町も、みんな好き。

 

同じ「母」という言葉でも、自分の母とは違いすぎて、全くピンと来ないのです。

「お母さんがちゃんと『母』の役割を全うしている家庭では、子どもが卑屈になったりやさぐれたりしないのか……なるほど」

これと言った故郷もなく、核家族の一人っ子(しかも動物アレルギー持ち)からしたら、『泉さんちの福福家族』はある意味「異世界モノ」です。

 

ただ、1点共通するところがあります。

やはりこちらも「はじめに」からの引用になりますが

 

しかしながら、子供目線での「良き家族」を作るには、水面下では大人たちの努力があったのだと思います。

(中略)

大人たちは、強い使命感を持って「父」「母」「祖母」に徹していたのでしょう。すべては子供たちのために。

 

これはきっと泉先生も、大人になってご実感されたところがあると思いますが、このマンガの中で一番共感できた部分です。

 

『福福家族』の中に描かれる感情や家族の関係が、いかに「貴重なものであるのか」を理解するには、やはり大人になって、自分が子どもを持つくらいの視点に立ててやっと、ではないでしょうか。

 

その意味では、「家族」と疎遠になってしまった大人が「家族」を思い出すために読んでみるのも、一つの楽しみ方かもしれません。

 

 

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泉さんちの福福家族 (ビッグガンガンコミックス)
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著者:泉福朗
出版社:スクウェア・エニックス
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海王ダンテ (1) (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
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著者:皆川 亮二,泉 福朗
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