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いつ死ぬかわからない時代になっちゃったからこそ考えたい『死ぬ前に1回やっとこう』

こんにちは。神保町にある「漫泊=一晩中マンガ体験」MANGA ART HOTEL代表の御子柴です。

 

最近完結したワニ君の何気ない日常に涙した人も多いと思います。

何気ない日常を過ごすなかで、実は楽しかったこと、嬉しかったことをその時点では見過ごしていることが多いというのが世の常です。

 

だから今、こんな世の中だからこそ、これといって何もなかった日常をありがたく思えたりしている方も多いはずです。

 

普段生きていると「ようあんなことやるな~」って思うことをしている人というのは沢山見かけるわけですが、「体験者=当事者」になってみないとなかなかやる価値がわからず、客観的に見るだけだと上辺しか見えないこと、というのがあります。

要するに、そういうことはまさに「他人事」なわけですよね。

 

そこで、今回オススメする漫画は『死ぬ前に1回やっとこう』です。

 

 

死ぬ前に1回やっとこう
無料試し読み
著者:小山 健
出版社:一迅社
販売日:2015-07-18

 

 

「オモコロ」で連載されていたのでご存知の方も多そうな作品です。

 

・ナンパをしとこう

・ヒッチハイクしとこう
・女装しとこう
・フリーハグしとこう

 

など、いうなれば「一部の人しかやってなさそう」なことに作者が次々とトライしていきます。

 

作者さんは「非リア系」「妻帯者」のギリミレニアル世代くらいの年齢のようでして、「やってる人は見たり聞いたりするけれど、自分ではまずやらないだろう」ということにあえて絞って体験していくルポ的な漫画です。

 

刺激的なことをしているというのに、そのテンションがユルユルで、絶妙かつ最高の読み心地になっています。作者さんのゆるいリアクションが癖になります。

 

読んでると確かに面白そう! と共感出来ます。

ぱっと見「やろう!」と思えばチャレンジできそうなことではあるのですが、「やるぞー!」って心の準備をしていかないと出来ないことが意外と多いんです。

しかし作者さんはどんどん「ひとり」でやっていくわけです。

単身で挑むことがすごいなあと、まず思います。

 

特にサバイバルゲーム。ひとりで参加……。

そのサバイバルゲームにはひとりで参加している人がたくさんいるという事実も。

なかには10歳にもなる子供がいる年代でもひとり参加がいると知り、個人的には驚きが隠せませんでした……。

 

「やっている人がいるのは知っているけど、それをあえて自分がやってみる」

この「自分事」な感じが重要な気がします。

 

他人を自分とは「関係のないもの」として客観的に眺めていられないようなコロナの影響が、「他人事」の感覚をより「自分事」にしたと思います。

 

「自分事」の感覚がないとフリーハグをしている人たちやヒッチハイクしている人たちは街の風景にしかなりません。

 

フリーハグをしてくれている人が犯罪を犯す人の気持ちを一歩踏みとどめたかもしれないし、ヒッチハイクをしたおかげで自分が遭うはずだった居眠り運転の事故が無くなったのかもしれません。

 

彼ら彼女らが及ぼす良い影響も悪い影響も、その社会に生きる自分たちに循環して影響を与えるウイルス的存在なのです。

 

日常=「自分の習慣」に外から介入する可能性のある犯罪や事故や感染症などの外部要因も、「自分事」のスタンスで地球村の村民を見ることで準備したり防ぐこともできるのかもしれません。

 

このコロナ禍が終息したら、きっとまた日常が戻ってくると信じています。

そして、またあのありがたい「なんでもない日常」に包まれることでしょう。

その時になったら、「死ぬ前に一回やっとこう」を、すべきかもしれません。

そんな風に思えました。

 

 

 

『死ぬ前に1回やっとこう』 は MANGA ART HOTEL に置いてあります。

 

 

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