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『食の軍師』から戦い方を学べ!食事はいつだって満足を賭けた戦争だ!

皆さんこんにちは。初めましての方はよろしくお願いします。

「マンガと貴方が出逢う店」コミックサロン『G.I.F.T.』というお店を岡山県でやっています、森本です。

 

“食べることが好き”という人や素材や産地などに拘るという人は沢山いますが、“食べ方”や“食べる順番”に拘る人はなかなかいないと思います。

 

今回ご紹介するのは、食べる以前に、そんな「段取り」にとにかく拘る男が主人公の作品『食の軍師』をレビューしたいと思います。

 

 

食の軍師 8
著者:泉昌之,久住昌之,和泉晴紀
出版社:日本文芸社
販売日:2020-03-28

 

『食の軍師』の作者はご存じの二人組、お話を久住昌之センセイ、作画を泉晴紀センセイが担当しています。

 

この二人のコンビのデビューは僕の産まれた1981年、実に40年来のコンビです。

 

本作の主人公でもある本郷播は明言こそされていないものの、前述のデビュー作『夜行』や、同名コミックスに収録されている『カッコいいスキヤキ』に登場する同名の人物であると思われます。

 

この主人公について特筆すべきところは、『食事は戦と同じ』と捉え、店の選び方や食べ方、食べる順番にまで、事細かい“自分ルール”が存在することです。

 

そしてそのルールを支配するのが脳内にいる『“食”の諸葛亮孔明』である自身です。

いわずもがなとは思いますが諸葛亮孔明が仕えた“蜀”と“食”がかかってるわけですね!

 

さてこの本郷という男の細かさがどれほどのものかというと……

 

最初のエピソードにて。

夕飯に屋台のおでんを食べることに決めていた彼は、昼飯を軽めのサンドウイッチにしておくなど、事前の準備を怠りません。

またおでん屋でたまたま出逢っただけの男を勝手にライバル視し、その注文の仕方を深読みしまくったあげく、自分の注文でさらに上を行こうと徹底的に対抗するという、それくらいめんどくさい男なのです。

 

店の選び方も、やれのれんの色だとか、置いてある週刊誌の劣化具合だとか、いちいち細かいし、ガイドブックやネットの口コミなんかはもっての他と考え、そういったものを駆使して店を探したりする“今時の若者”なんかを許しはしません。

 

この細かすぎる食へのこだわりは『孤独のグルメ』や『野武士のグルメ』と言った久住センセイ原作の他作品にも継承されています。

 

と、そんな細かすぎる主人公ですが、そんな細かさが良い方向に作用しているのか、各エピソードで向かうお店はなかなかどうしておいしそうで、胸をワクワクさせてくれるのです。

 

そして、第二巻以降はコンセプトを決めて食の戦に向かいます。

 

そして最後に忘れてはいけないのが最大のライバルである力石です。

この男は、時に酔っ払い醜態をさらす主人公とは違い、いつでもスマートに現れては、主人公の上を行く(と本人が思ってるだけ)食事の仕方を見せつけます。

 

初登場は第一話からそれ以降、事あるごとに主人公の行く先々に現れ、主人公に畏怖の念を植え付けます。

 

が、もちろん力石本人にはそんな感情はなく、むしろ親友と言って良いくらいの接し方で主人公に接してきます。

 

本作は、「グルメ」とは縁遠いですが、食事をするときやお店選びの拘り方など久住センセイの哲学がたっぷり詰まった大人向けの作品になっています。

 

最新の第八巻は先日発売されたばかりなので、この機会に読んで見てはいかがでしょうか?

 

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