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「記念に全裸写真撮ろうかな」と血迷った私が心を病まずに済んだのは……『Shrink~精神科医ヨワイ~』
今からおよそ8年前――。
ロンドンオリンピックの開会式を、私はパンッパンになりながら見ていました。
 
まあ、今でもパンッパンですよ?めっちゃ太りましたから。
 
当時は今より10キロくらい細かったんですが、その夜は今より見た目はパンッパンでした。何故かと言いますと、全身にジンマシンが広がっちゃったんです。
 
最初は腕や足の一部だけに発生したジンマシン。なんとなく「ステロイド剤は避けたい」「寝れば治るさ」などと言っているうちに、私はジンマシンの水際対策に失敗してしまったのです。
 
ロンドンオリンピックの開会式の日、ついにジンマシンが全身でパンデミック。足の裏から頭皮まで、なんなら耳の中や目の中にも発生してしまったのです。やがて全身のジンマシンが繋がりまくって一つの大きな集合体となり、私を痒みで包み込んだのでした……。
 
あまりの姿に、記念に全身ヌード写真を撮ってツイッターに上げようと思ってしまったほどです。
 
 
 
部位は毎日記録用に撮りましたけどね!グロ画像すみません…
 
いやー、ぶっちゃけ、めちゃくちゃ大変でした!
真夏だったのも手伝い、とにかく痒くて痒くて痒すぎだった……! 
結局、強めのステロイドを処方してもらって無理やりコントロール。8年経ったいまもまだ、毎日欠かさず抗アレルギー剤を服用しております。
まあ、完治はしないものだと腹を括ってはいるんですが、一時はもう、見た目もヤバいし痒いしで「死にたい」と思っておりました。
 
 
でも、思えば私はラッキーだったんだなあ……。
 
そんなことを、「グランドジャンプ」で連載中の『Shrink〜精神科医ヨワイ〜』を読みながら思ったので紹介させて下さい!
 
 
 
Shrink~精神科医ヨワイ~ 1 (ヤングジャンプコミックス)
無料試し読み
著者:月子,七海 仁
出版社:集英社
販売日:2020-01-17
 
 
 
パニック障害、うつ病、発達障害、PTSD…。
心に病を抱えながらも、誰にも相談できずに苦しんでいる潜在患者が数多くいると言われる、隠れ精神病大国・日本。その自殺率は先進国では最悪レベル。なぜそのような事態に陥ってしまっているのか…。精神科医・弱井幸之助が、日本の精神医療が抱える問題に向き合い、人々の心の影に光を照らす!(公式サイトより)
 

「頑張り」が「無理の積み重ね」になった時、それが起きる

 
この作品には、ごくごく普通の人たちが急に「患者」になってしまう様子が描かれています。
 
例えば、「睡眠時間短くても私は大丈夫なタイプみたい」と分刻みでバリバリ働くキャリアウーマンの薫子。徹夜明けのある日、電車の中で心臓が止まりそうなほどの苦しみに襲われて倒れてしまいます。
 
 

 

©七海仁・月子/集英社

 

 

 

売上成績がイマイチ振るわない営業の藤木は、頭痛、食欲不振、疲れているのに眠れないなどの症状で悩んでいます。
 
 

 

©七海仁・月子/集英社

 
 
精神科医の弱井は一体どのような手段で彼らの心を救うのでしょうか?
 

意外と知らない精神科医の実態が面白い!!

 
あなたは精神科と心療内科の違いを知っていますか? 私は恥ずかしながら知りませんでした!
 
この作品では、「パニック障害」「微笑みうつ」「大人の発達障害」「双極性障害」など、聞いたことはあるけど深くは知らない人が多そうな症状を細かく紹介してくれるんですが、それと並行して、今の日本や医療体制が抱える問題にも切り込んでくれています。
 
例えば精神科と心療内科は似たようなものだ、何なら同じだと思っていませんか? 私はそんな風にとらえていたのですが、この作品では明確にその違いを教えてくれます。
 
 

 

©七海仁・月子/集英社

 

 
 
どんな違いなのか、その詳細はぜひ作品を読んでご確認頂きたいのですが、他にもいろいろと「はっ」とさせられることが多く、めちゃくちゃ勉強になります。
 

知識は武器!知っているということが未来の自分を救うかも…!?

寝ないで仕事をする、疲れているはずなのに何故か眠れない、営業成績を上げないととプレッシャーに潰されそう、お店の売上のために休む間もなく頑張り続ける――。
 
そんなことって、誰もが一度は体験することではないでしょうか?
この作品に出てくる患者たちも、ただ普通に頑張って働いていただけ。でも、気付いたら徐々に精神のバランスを崩していく……。
よく「誰にでも起こること」とは聞きますが、ストーリーを追うことで、それがとってもリアルに感じられます。
 
急な不調に陥ってしまうと、「何科にかかれば?」「寝れば治る?」などと右往左往しているうちに悪化しがち。
私がジンマシンになった時も、「やっぱ皮膚科でしょ」「いや、ジンマシンは内臓の不調からくるから内科では」「いい温泉があるよ」「良いオーガニックジュースが」など、様々な情報にワタワタしてたらいつの間にか全身に広まってしまいました。
 
でも、この作品を読んでいれば、もしも我が身に登場人物が苦しんだのと似た症状が起きた時、まだ初期の段階で「ヤバいかも…」と迷わず精神科医にかかることができると思うんです。
 
精神科に行くって、作中でも指摘されているように、なかなかハードルが高いから選択肢の最後尾になりがち。そんなためらいがちな行動の背中を押してくれる作品です。
 
 

 

 

©七海仁・月子/集英社

 

 
実は、私のジンマシンも、たぶんストレスが原因でした。当時は結構めちゃくちゃなスケジュールで働いていたのです。でもかなり楽しかったのであんまり気にしてなかったのですが、三十路を過ぎるとやはり無理はできぬもの。このジンマシンを機に、会社との雇用形態を変えてもらったところ……
 
嘘みたいにジンマシンが快方に向かったのです!
心って凄い!!
 
 
この『Shrink〜精神科医ヨワイ〜』を読んで、しみじみと当時の自分が壊したのが心じゃなくて皮膚で良かったなあと思いました。作中でも描かれていますが、ひとたび心を壊してしまうと、治療はかなりの長期戦。一生のお付き合いになってしまいます。
 
私は、我慢しない性格なのが幸いしました!!
「かゆい!むり!」と、さっさと働き方を変えられたから心を壊さずに済んだのかもしれません。幸い周囲の人にも恵まれ、何ひとつモメることなく雇用形態も変えられたのはありがたかったですのですが、おそらくこれはレアケース。
 
この作品内に出てくる人たちは、みな会社の人や肉親への遠慮や人間関係を気にして「もうちょっと自分が我慢すればなんとかなる」と頑張りすぎてしまう人たちばかり。
そして、そんな人は実際ものすごく沢山いると思うのです。
 
そんな人たちが、一線超える前にふと立ち止まって我が身について考えることができる、さらに、家族や友人の変化にも気づくこともできる。
そんな知識をくれる素晴らしい作品『Shrink〜精神科医ヨワイ〜』!
新生活が始まりプレッシャーの多くなる春に、ぜひご一読ください!
 
 
 

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Shrink~精神科医ヨワイ~ 2 (ヤングジャンプコミックス)
無料試し読み
著者:月子,七海 仁
出版社:集英社
販売日:2020-02-19