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「自分は賞味期限切れ?」アラサーデリボーイがピュアな男子高校生に愛されたら…『ピンクネオンスペンディング』!

こんにちは!マンガ新聞レビュー部です。

今回は、イチオシのBL、エリート男子高生×底辺デリヘルボーイのコンプリメンタリー・ラブ『ピンクネオンスペンディング』をご紹介します!

とにかく「エモ」と「エロ」のバランスがいい!

実は最近「頭空っぽにしてエンジョイするエロBLが多いなあ~」とさまよっておりました。(BLに限ったことではないのかもしれませんが……)

 

「もっと、BLならではのストーリーが読みたいんだ!(だがやはりエロは欲しい)

 

 

そんなモヤモヤを抱えたまま、本作『ピンクネオンスペンディング』(略称『ピンスペ』)もそれ系なのかなと思ったのですが…

 

キャラが!ストーリーが!しっかり描かれている!
エグいのにめっちゃ切ない!!
しかも大・大満足のスケベ量だ!!!

 

絵柄はビビッドでシャープでありつつも、キャラが軽くない。

登場人物の切ない気持ちがこちらに刺さってくるのですね。

 

ハードな環境の中で、心の奥ではピュアな想いに焦がれている受と、まだ未成熟だけれど自分の気持ちにまっすぐな年下攻がクロスする様が、ストーリーとしてきちんと単行本一冊に収まっているんです。

 

しっかりした設定×立ったキャラクター=おもしろいストーリー

 

この名作方程式に見事に当てはまりますね。(独自の方程式ですが。)

ではどんなストーリーなのか、簡単にご紹介です☆

 

ただの過激エロじゃない!トラウマを背負った同士のラブストーリー

『ピンスペ』の主人公りん(凛太郎)は、5歳の頃からイメージビデオに出演。

売れっ子ジュニアモデルからデリヘルの世界に入った、まさに「その道」ズブズブの経歴の持ち主。

ということで、全編にわたってかなり過激な描写も出てきます。

 

「その道」でチヤホヤされてきたけど、現在30歳目前。昔ほどの人気はなくなってしまいます。

 

そこに、りんのことをまっすぐに愛する新(あらた)という高校生男子が現れます。

彼はお坊ちゃんとして育てられた高校生二年生。

イケメンでガタイもよくて、りんからしたらまぶしいくらいの存在。実は彼も彼で、抱えるものがあります。

 

出会い系サイトで(お互い)年齢を詐称し、会った二人は、がっつり体の関係を持ってしまいます。

事後、新が学生であることを知ったりんは、17歳に手を出すのは犯罪だとわかっていながらも、そして「裏の仕事してる10歳も年上の男なのに……」と不安や引け目を感じながらも、新に惹かれていきます。

 

少しずつ自分が求めているものが何か分かりかけるりんですが、そこに彼の過去と心を支配する征司というカメラマンの男が現れ……

 

(ちなみに征司はストーリー上「悪役」に当たるのですが、その描写もゲスくて話の面白さに一役買っています!)

 

ここからが読み応えたっぷりなところなのですが、勢いでネタバレしそうなのでこの辺にします。

 

自分はもう「賞味期限切れ」?

りんは、幼少期から性的に消費される境遇にあったことを、あまり重く受け止めないように、深く考えなかったり、自分が感じていることを言葉にできなかったりします。

 

それでも不意に、

「自分はもう、性風俗の世界で、需要がないんじゃないか」

と不安になる瞬間があります。

 

りんの場合はデリボーイですが、「自分は社会から必要とされていないのではないか」という気分を味わったことがある方は、業界職種年齢性別問わず、いらっしゃるのではないでしょうか。

 

誰かに必要とされたい、でも捨てられてしまうのが怖い。

 

そんな葛藤をりんはうまく吐き出せず、どんどん心とカラダを利用されていきます。

りんのやり場のない気持ちが、ハードなエロシーンと合わさることで、読んでいる側に切実に響いてくる……

 

「抜く」だけのエロ、「甘ったるい」だけのエロとは違った、「BLならではのエロ」が描かれています。

 

「えっ、これ、りんに救いはあるの?!」

と思うこと必至です。

 

これぞ「コンプリメンタリー!・ラブ」!

最後に!

 

『ピンスペ』、帯やあらすじに「コンプリメンタリー・ラブ」とあります。

そもそも「コンプリメンタリー」ってなんぞ?とググってみると……

 

>「無料の」「無償の」

 

といった意味合いが出てきます。

これは『ピンスペ』における大きなテーマです。

 

りんは、新に出会うまで「しょーひ」(=消費)されることが「愛されること」だと思い込んで生きてきました。

 

(この「しょーひ」は帯にも書かれている文言ですが、凛太郎の独白にも出てくる表現です。

彼自身、本当に愛されたという実感がないから、自分がなにを求めているのかよくわかっていない状態をよく表した言葉です。)

 

自分が愛されるのは、「幼くて従順だったから」。

「性欲の対象として金銭的価値があったから」。

 

「相手に提供できる価値がある」ことを常に強いられ、心がどこか痛む気持ちを、性の快感で紛らわしてきた人生だったのです。

 

でも、新は「りんさんがいい」と、りんが何も差し出さなくても、愛してくれる存在。

 

まさにこれが「コンプリメンタリー・ラブ」たる所以なのです!

 

さて、受のりんをフィーチャーして書いてしまいましたが……

攻の新にも、彼なりの人生があり、りんを愛する経緯があります。

 

そちらもしっかり描かれているので、「攻のマインドも大事だろ!」という方は、ぜひ本編を読んでみてください!!

(電子版限定特典付きです!)

 

 

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