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女性議員へのテロ行為、洗脳犯罪を描いた『ゼウス 神々の王』がたった2巻で驚愕展開の完結に!

女性議員が少しぼやいたり、ちょっと記者に気持ちを吐露しただけで1時間も待たずに炎上するこのご時世。

女性議員にヤジやヘイトツイートをするだけでなく、発砲からの自爆テロまで起きてしまうというエグい作品が発売された。

 

『ゼウス 神々の王』。

なんと第1巻と第2巻が同時発売という大胆さで。

 

内閣府特命大臣の女性議員、新城綺羅(しんじょうきら)が、いわゆる選挙カーの上で

「みんなぁ……今のニッポンに満足してるぅ?」

と投げかけるシーンから物語は始まる。

 

そして、論調が次第に高まり、

「近い将来 日本国総理大臣となってニッポンを取り戻す!!」

と宣言したとたんに聴衆から拳銃を撃ち込まれるという。

犯人をおさえつけるとなんと少女。

しかもその直後にその娘が自爆テロ。

いや、壮絶ですよこれは。

 

2016年に英国の議員が発砲され、その後に刺殺される事件があったが、この漫画にあるような「選挙カーの上での演説」って思えばかなりリスクが高いですよね。

観ている人たちからの距離が近いだけでなく、観覧の範囲も曖昧。その上、人々を刺激する言葉をマイクで投げかけるわけで。

 

そういった大衆とのコミュニケーションにおける危険性(リスク)に警鐘をならしているような出足から一転。

 

物語は組の金を返せなくなった暴力団員、工藤迅のストーリーへ。

金策に困りながらも弱っている人を見捨てられないという兄貴肌な彼に、謎の美少女から電話がかかってくる。

 

「三日で……一億円の利益じゃ足りないかしら?」

 

少女が持ち掛けてくるこの不可思議な誘いは、いわゆる「洗脳犯罪」の初手になっていまして。

まぁここからの展開がトリッキーなストーリー構成でなっかなか先が読みにくい。

というか、先読めないし。

 

なんてったってこの少女こそがテロを量産する洗脳行為のキーパーソンで、最初に登場した新城綺羅議員がマークしていた相手だったというから、もうあんぐりですよ。

 

世代的にTVドラマ『沙粧妙子-最後の事件-』がもう大好物なんですが、あのノリですね。

洗脳された人間が次々に事件を起こしていくという。

映画『羊たちの沈黙』といい海外ドラマ『ザ・フォロイング』といい、何度このパターンを見てもぐぐぐっと惹きつけられてしまうんですよね。

 

洗脳者は大体ニコニコしていたり、瞬きをあんまりしなかったりといろいろですが「洗脳犯罪」というジャンルがもうコンテンツ業界に確立している感があります。

 

だがしかぁぁしっ!

 

この『ゼウス 神々の王』は「洗脳犯罪」漫画なだけではないんです。

なんてったってタイトルが「ゼウス」ですよ。

ギリシャ神話の最高神ですから。

隠し味というんですかねぇ。

なんと「AI(人工知能)」が絡んでくる「AI犯罪」になっていくってんだからもう。

 

この政治テロ、洗脳、AIという素材が見事に幕の内弁当のごとく詰め込まれた作品でありまして。

たった2巻でこの素材の組み合わせで行きつく究極な結論に達してまして、素敵なあんぐり感を堪能させていただきました。

 

つまり、とても刺激的で面白い作品です。

完結となっていますが続きを切望いたします。

ぜひ試し読み→イッキ読み!をどうぞ。

 

 

無料試し読みはこちらから

 

 

 

ゼウスー神々の王ー ( 1) (ニチブンコミックス)
著者:天王寺 大,秋重 学
出版社:日本文芸社
販売日:2020-02-28