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縛られていないと不安になる…でもそれも人間らしいなと感じる『マイ・ブロークン・マリコ』

人と人との関係は、強弱はあれどお互いを縛る要素があると思います。

 

親子、友達、恋人含めて、そのつながりがあるからこそ行動が規定され、その縛りによって自分の可能性も絞られていきます。

 

その人と仲良くなったからこそ、ある人とは仲良くならなくなる、ある人とつながったからこそ、そのつながりで別の誰かと仲良くなる。

 

その相反するような可能性を秘めているのが縁というものでしょう。

 

その縁を頼り、縁に縛られる。それを無意識に求めることも、人の特性といえるのではないでしょうか?

 

今回ご紹介するのは、そんな縁に縛られていた主人公が、親友の自殺によって無理やり解放されてしまったお話です。

 

まずあらすじからご紹介します。

友達のマリコが死んだ。突然の死だった。

柄の悪いOLのシイノは、彼女の死を知りある行動を決意した。
女同士の魂の結びつきを描く、鮮烈なロマンシスストーリー!

(書誌情報より)

ふたりの約束は絆だったのか、鎖だったのか

まずはじめに、この2人の関係はとても「濃い」です。死んでしまったマリコのほうが主人公に一方的に依存しているようにみえて、実は主人公もまたマリコに依存してしまっています。

マリコの望むように振る舞い、マリコとの約束を大事にして生きていました。

 

主人公は、正直マリコのことを面倒くさいと思っていました。ネガティブな感情を抱いたことも多かったように思います。

 

それなのに、死んでしまったら、やたらと2人の思い出が美化されていく。そのことに抵抗感を持つのです。

 

マリコが過去の人になってしまったことに悲しみ、今まで2人の関係を保つために守ってきた約束、そしてそれを勝手に放置して死んでしまった身勝手さへの苛立ち、そんないろんな感情に主人公が襲われ苦悩するのです。

 

そのとき、読んでいた私は思いました。

 

ああ、マリコが主人公に依存していた一方で、主人公自身もその依存をどこか心のよりどころにしていたのではないかと。

だからこそ、突然消え失せてしまった”縛り”に戸惑い苦しむのです。

 

そしてその苦しみと向き合うために、マリコの死と向き合うために旅をしてるのだろうと。

 

このお話は、昔、だれかとの絆、縁に囚われ縛られていて、その喪失に苦しんだことのある人なら共感できると思います。

 

自分が相手の面倒を見ていたという認識だったのに、実際は自分が相手に面倒を見てもらっていたということはあるでしょう。

 

その関係が突然崩れ去り、不本意な形で終わってしまった時、はじめてお互いの関係を客観的にとらえることができた……そんな経験も心当たりがあるのではないでしょうか?

 

このマンガを読んで、自分の身近な人との関係性を見つめ直し、主人公たちのようにもう二度と会えない状況になってからお互いの関係に気づくという不幸がないようにしたいですね。

 

 

マイ・ブロークン・マリコ (BRIDGE COMICS)
著者:平庫 ワカ
出版社:KADOKAWA
販売日:2020-01-08