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フランスのバリキャリ女性には日本はこう見えている!『私はカレン、日本に恋したフランス人』

以前、トルコで20代の男の子と知り合いました。
参加した観光ツアーで彼は、外国人に一生懸命、日本や韓国の悪口を言っていた。最初は黙って聞いていたけど、あまりに底が浅いので、このままでは日本のイメージが悪くなると、思わず途中で割って入りました。

 

能と歌舞伎の違いも分からず、和装について知識もないのにイメージだけでいろいろ語っているのが我慢ならなかったし、日本文化を「ストレンジ・カルチャー」とか言っていたのも許せなかった。逆転裁判じゃないけど「異議あり!」ですよ。

 

「文化は、風土と歴史の中で必然として生まれるものだ。よその文化と比較すれば違いはあるだろう、でも決して『おかしい』文化などない」と日本語でガミガミ怒ったら、周囲の外国人から「今、なんて言ったのか説明しろ」と言われました。

英語で言うのが面倒だから日本語で説教したのに……。

 

海外に行ったら、自分は日本の代表者です。

小さな外交は、未来の日本の地位を変えるかもしれない。少なくとも自分が関わる人に、日本にマイナスイメージを持って欲しくはありません。

 

彼の語り口から想像するに、彼は、自分が育った日本にいい印象がないのでしょう。日本を恥じるってことは、自分を恥じてるってことでもある。

 

日本で自分の居場所が見つけられずに、海外に逃げ出したいと思う人は少なくありません。 自由な海外に行けば、なんとかなるかもしれないって。彼もそんな一人だったのではと想像します。

 

一方で、日本に来るなり日本に恋して、足繁く日本に通い、とうとう日本人と結婚したフランス人がいます。
それがカレンさんです。

 

 

 

 

カレンさんは、大した予備知識もないのにいきなり長期休暇で日本に来ました。

そして成田空港に着いた途端、「この国は絶対に面白い!」「絶対に楽しい!」と思ったとか。

 

このマンガが面白いのは、カレンさんが単なる学生やバックパッカーではなく、働く女性で、メディアの人間だったことです。

 

彼女は日本で始まったばかりのiモードに目を付け、当時最先端だったITの専門家として、日本の最新技術を取材していきます。

 

iモードって世界初のネットできる携帯電話だったのね。スマホの発端がiモードだとか、感慨深い。

 

そんな意外な学びもたくさん、このマンガにはあるんです。

 

語学学習者にはビンビンくるエピソードも

日本に何年住んでも、日本語を喋れるようにならない外国人はたくさんいます。

でもカレンさんは違いました。

 

日本の車内広告の多さに驚き、「広告にはその社会にある願望や欲望が表れるから、これだけの広告を読めたら、大好きな日本をもっと深く理解できるんだ!」と、毎日、辞書を使って新聞を読み、分からない単語を書き出して、夜のNHKニュースで同じ単語の発音を確認しました。

 

おかげで5年で新聞を読めるようになったとか。語学の達人の勉強法や、語学勉強に対する見解なども、このマンガの面白いところです。

 

そうそう、語学の勉強って「沼」なんですよね。やってもやっても、天井がない。次々に次の課題が見つかって、さらに上を目指したくなります。

 

で、ふと振り返ってみると、すっごく高い山を登ってきたことに気付いたりして。小さな喜びを得るために、莫大な努力をしてる感じ。

 

トルコ語を少し勉強したことがあるけれど、外来語として知ってる単語は少ないし、文法は日本語に少し似ているけど、とにかく未知の言語で、「これでアラビア語表記だったら絶対勉強しないぞ!」と思ったものです。アルファベット表記に変えてくれたアタチュルクに感謝。

 

文字をゼロから学ぶのって、めちゃくちゃ敷居が高いと思うんです。

アルファベットなら26文字で済むのに、日本語と来たら、平仮名、片仮名に加えて漢字数千覚えるとか、何の修行ですか。
日本語を勉強しようって外国の人を、心の底から尊敬します。ホントにマジで。

 

フランスで出版された、日本の漫画の歴史本

カレンさんがかなりの努力家で観察眼があり、メディアで働くビジネスマンであることも、興味深いところ。
カレンさんは『日本人』『漫画の歴史』という本をフランスで出版しているらしいんだけど、どちらもめっちゃ面白そう。 

 

 

Les Japonais
著者:Karyn Poupee
出版社:Tallandier
販売日:2012-02-03

 

 

特に『漫画の歴史』は、作品内でさらりとダイジェストが紹介されてるのだけど、日本の社会の歩みと漫画の歩みを照らし合わせてるって、読んでみたい! 

この本、日本語訳にならないのかしら。
てか、日本語版の出版を営業しようかな。

 

 

Histoire du manga
著者:Karyn Poupée
出版社:Tallandier
販売日:2010-06-10

 

 

とか言ってたら、カレンさんは日本でも本を出しているのね。マンガ新聞の編集さんに教えてもらいました。めっちゃ面白いらしい。

 

 

不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人~心が自由になる生き方のヒント
著者:西村・プペ・カリン,石田みゆ
出版社:大和書房
販売日:2017-08-23

 

 

『私はカレン、日本に恋したフランス人』は、作画のじゃんぽ〜る西さんの、ヘタウマかと思ってたらほんとに上手い絵も、いい感じのオチも、出来のいい嫁に比べてダメっぽいところも、めちゃくちゃバランスがいい。

日本の生活にちょっと疲れたら読みたい作品です。

ありふれた日常の中に、新しい発見があるかも。

 

 

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