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目を覆いたくなるような事件の数々…人間の歪んだ本性を描いた『パンデモニウムの聖少女たち』
レビュー執筆者:たまごまご

サスペンス漫画『パンデモニウムの聖少女たち』

閉じた学園の、お嬢様たちの残虐絵巻

 

全寮制のキリスト教系女子校といえば、気品漂うお嬢様が集う幻想的な場所。

 

礼儀正しく「ごきげんよう」が挨拶で、マリア像の前で女子生徒たちが挨拶を交わし、手をつないで歩いている。女の子たちの秘密の花園…というイメージが先行するもの。

 

しかしそれは表向き。個々に高いプライドがあるがゆえに、整った学校の外見を取り繕うべく、女の子たちはグロテスクなやり取りを裏で繰り返す。

 

孤島の中にある、少女たちしかいない空間の残酷さを描いたこの作品、嫉妬とプライドと承認欲求がぐちゃぐちゃに入り交じるサスペンスストーリーだ。話は少女一人ずつにスポットが当たっている、オムニバス形式で進められている。

 

見るからに普通の少女だったエレノア。彼女は聖女見習いの少女が集まる聖アグニヤ女学院に入学する。

 

すぐさま彼女の手を取ったのは、人形のように美しい少女マリア。ルームメイトになった彼女は明るく元気。抱きついたり手を取ったりとスキンシップ過多。ドギマギしているうちに、入浴中マリアはエレノアの唇を奪う。

 

幸せでときめきいっぱいの学校生活が始まった…かと思いきや、エレノアは生徒たちを導くシスターは手を血まみれにして、恐怖に怯えているのを見つける。

 

明らかに、この女学院はおかしい

 

若い聖女の性行為を見たいがゆえに、彼女がレイプされるように陥れるクララ
自分が学院で最下位層になるのを嫌がるがゆえに、他の人間を貶めようと企むドロシー
人の看護をすることで承認欲求が満たされたがゆえに、歪んだ執着心が芽生えたモーリー

 

自分が認められたいという欲求とプライドが、歪んだ方向に進んで行ってしまうことで、他人を傷つけ、自分自身も堕ちていく。これらは表に一切出ず、隠蔽されていく。女学院自体は至って平常運転に見えちゃうのだ。

 

少女たちの嫉妬と傲慢の行き先は極めて残虐だ。地下の拷問室で身体に刺繍を無理やり入れたり、アップルパイにカミソリの刃を混ぜ込んだり。

 

それぞれの女子たちの惨劇は、一話ごと完結していく。これが最終的に全てつながっていき、ラストで一番の悲劇につながっていく構成があまりにも巧み

 

見事に1巻で、女学院を巡る物語は完結している。徹底して最後まで、外部から見る限り女学院は美しい場所のままなのが恐ろしい。

 

閉じた女子生徒の学院は、村社会的な閉塞感がとても強く、題材として非常に魅力的だ。その「裏」を徹底して「裏」に押し込めて滅びゆく美学にこだわりの見られる作品。

 

著者いわく「絶対に友達になりたくない子ばかり」ではあるが、「欲にまっすぐ突き進む」少女の歪んだ笑顔は、どことなくキュートなのは見逃せない。

 

 

パンデモニウムの聖少女たち (裏少年サンデーコミックス)
著者:のしたろ
出版社:小学館
販売日:2019-12-19

 

 

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