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生理現象どんとこい!な賛否両論の鬼畜作⁉『きたない君がいちばんかわいい』
レビュー執筆者:たまごまご

百合漫画『きたない君がいちばんかわいい』

美しいあなたが私のために苦しんでくれる姿はこんなにもかわいらしい

 

発売するやいなや、ネットの百合マンガ好きを震撼させたこの作品。表紙を見てわかるように、洗練されたかわいらしい絵柄にサディスティックな表現を盛り込んだ、非常に尖った内容だ。

 

黒髪ロングの瀬崎愛吏(せざき・あいり)は、容姿端麗で成績優秀、コミュニケーション能力も高いクラスのカースト上位の少女。彼女が友人に選んだのは、セミロングの少女花邑ひなこ(はなむら・ひなこ)。比較的おとなしい方であまり目立たない。

 

愛吏はひなこのために早朝から手によりをかけて昼ごはんを作る。食べきれないほどの量だ。ひなこはそれを、黙々と食べる。

 

放課後、2人きりの科学実験教室。2人は指を絡めながら語り合う。愛吏は自らの右手の拳をひなの腹に押し当て、左手の指を喉に押し込む。

 

耐えきれず吐瀉物を漏らして苦しむひなこ。恍惚とする愛吏。

「あのひなが この綺麗な体から こんなに汚いものだすんだ……わたしのためならなんでもしてくれるんだ」「ああ かわいいなぁ…もっと…もっと 苦しんでほしいなぁ…」

生理、おしっこ、嘔吐。ひなこのあらゆる苦しみを、愛吏は探り続ける。汚物を出してしまうほど苦しんでも自分のために尽くしてくれることの愉悦と、汚いがゆえに本来の美少女性を見出せる感動が入り混じっている状態だ。

 

ひなこは他に友達がいるものの、自主的に愛吏と共にいる。明らかになにかして来るのに、彼女を信じて懐き、放課後2人の時間を過ごしている。

 

SMのような関係と取ることもできるが、どちらかというと共依存に近く、一方的に苦しめ続ける愛吏の攻撃は「リョナ」寄りだ。特に1巻の後半、ひなこの体に消えない傷を作るようになってからは、力関係がより明確化し、一線を越えてしまった感が強い。

 

2人が幸福なのかどうかは、第三者にはわからない世界。愛吏が暴走しがちでひなの命の危険に至りそうな状況すらあるのに、愛吏にしがみついてしまうひなこの感情は、今のところまだはっきりとは描かれていない(act.5.5がそのヒントになりそうだが…)。

 

愛吏とひなこの今後の心理状態は非常に気になるところだが、それ以上に耽美絵巻としてのクオリティが極めて高い。ひなこを「かわいい」の理想像として愛でている愛吏。彼女が苦しんで汚れるために、自らも最高のものを惜しまず準備する。

 

彼女の「美を汚したい」という欲求がもたらす暴力は、毎回儀式のように丁寧に描かれている。吐瀉物まみれのひなこを制服のまま抱きしめ、漏らしたおしっこをなめる愛吏の姿もまた、倒錯した美に満ちている。

 

この特異な関係こそ、当事者の女の子2人にしかわからない「百合」ジャンルの醍醐味。理屈じゃない2人の秘め事をゾクゾクしながら見守り続けたい。

 

 

 

 

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