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2月5日はプロ野球の日!なので野球漫画ベスト8をご紹介

 

グラゼニ(森高夕次)

カネと野球の切っても切れない関係を暴露する『グラゼニ』でアノ選手の懐が予想できる⁉

スポーツを長く見ていると、試合そのものより細かい部分、オフシーズンや裏話的なお話が気になるようになってきます。

『グラゼニ』はそんなプロ野球の「裏側」にスポットを当てた作品です。

そう、「グラウンドにはゼニが埋まっている」、略して『グラゼニ』です。

 

本作は、高卒のドラフト7位で入団した〈凡田夏之助〉が主人公。

凡田はプロ8年目の中継ぎ投手。年棒は1800万円。

キレのある変化球も超が付くほどの剛速球が投げられるわけではないですが、「左投げのサイドスロー」な投手は貴重な存在なので、1軍と2軍を行ったり来たりしながらも、厳しい競争世界であるプロ野球の世界をサバイブしています。

さてそんな凡田の特技は……「現役選手たちの年棒がソラで言える」こと。

 

「選手名鑑で年棒をチェックすること」が趣味の主人公。自分より年俸が高い選手には弱く、低い選手には強気の勝負をするという、まさに現金な凡田だが、家族を支える大黒柱として苦労は絶えない。

一軍、二軍をウロウロし、セ・リーグからパ・リーグへの移籍、中継ぎから先発へ、と生き残りをかけてシビアに交渉をし、実績作りに四苦八苦します。

シニカルな笑いと、身につまされるような努力ぶりが一味違うスポーツ漫画です。  

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バトルスタディーズ(なきぼくろ)

PL学園対横浜延長17回に痺れた高校野球好きに捧ぐ鎮魂曲『バトルスタディーズ』

PL学園をモデルにしたDL学園に入学する主人公たち。そこで経験するのは、鬼の上下関係。DL学園では1年生は人間ではなく奴隷だったのだ。。。

作者のなきぼくろ先生がPL学園高校野球部出身(しかも9番ライトで甲子園出場)だから、この話はおそらく限りなくリアルに近いだろう。

 

夏の甲子園には魔物が棲んでいる。

『バトルスタディーズ』でも最強世代と称される3年生の最後の夏にドラマが生まれる。いや、ドラマが生まれてしまったのだ・・・!

野球しかしてこなかった3年間。

奴隷の様な生活に耐え、凌ぎを削り合い、やっと掴んだレギュラーの座。

それが一瞬で無に還る瞬間。

それは優勝校を除く全国3000校以上の野球部に実際に訪れる現実なのだ。

だからこそ高校野球はドラマティックである。

限りなく残酷で、限りなく煌めく一瞬なのである。

 

PL学園野球部出身の作家によるPL学園をモデルにした、ある意味エグい作品です。

青春群像劇、根性もの、とカテゴリーされやすいスポーツ漫画において、上下関係、寮生活、そして厳しすぎる規律があまりにリアル。甲子園を目指すアツさだけではない高校野球を、笑いを挟み、シビアに描きながら、骨太の物語が展開されます。

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『忘却バッテリー』(みかわ 絵子)

ギャグマンガ?いえいえ最高の青春マンガです!ルールを知らなくてもめちゃくちゃ面白い『忘却バッテリー』

スポーツマンガって一大メジャージャンルとして確立していて、超名作も含めてものすごい数の作品がありますよね。

でもね、ぶっちゃけて言いますが、僕はあんまり得意じゃないんです……(汗)

理由はとってもシンプルで、細かいルールとか戦術とか、それを元にした匠のテクニックとか、全然よく分かってないからそこまでのめり込めない。

名作と呼ばれる作品の中でもより玄人ファンに刺さるリアリティとかの表現の凄さで人気な作品は、逆にその良さが自分の知識で受け止めきれなくて気付けないんですよね。

 

このマンガが同ジャンルの他の作品と違うなと思うのが、野球がメインではなく野球をエッセンスとした青春マンガだというところです。青春マンガと言っても「部活ものなんだから熱い努力と仲間との友情、ライバルとの熱戦を越えて、甲子園優勝を目指す的な青春でしょ?」と思うかもしれませんが、ちょっと違うんだなこれが。

 

どこが違うかというと、中学時代、智将と呼ばれた名キャッチャーだった主人公がわけあって記憶喪失に。野球をわすれてしまったことはもとより、人格まで変化していて「努力・根性」なんて大嫌いだと逃げ回る姿は、すでにギャグ漫画としても成立しています。

しかし、しっかりと彼らに共感できる話の掘り下げ方には作者の手腕を感じずにはいられない作品です。

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おおきく振りかぶって(ひぐちアサ)

あの 「金足農業」を思わせる、あの夏の感動をひしと感じる『おお振り』

 

『おおきく振りかぶって』に登場する西浦高校野球部は、公立高校の新設野球部です。女性の監督がメンバーを集め、全国優勝を目指します。

集まったメンバーは極端に自信のない投手に、シニアの著名選手など。決して全員が有名な強い選手というわけでも、練習時間や設備がすごく恵まれているわけでもありません。

それでも監督や先生の指導のもと、選手同士が絆を深め、選手としてチームとして成長していきます。

 

 

チーム内のメンバーが理解する過程で、「なぜ運動部出身者は声が大きいのか」「なぜ人は自信を持てなくなるのか」「仲間内の競争はどうあるべきか」「強さとはなにか」まで説明してくれます。

とにかく監督のチームマネジメントが巧みで、選手たちにはチームとしての目標を自分たちで設定させます。

 

2018年夏の甲子園では、春夏連覇の大阪桐蔭高校はもちろん、決勝戦でその相手となった秋田県代表・金足農業高校が「まるで漫画のよう」と注目を集めたのを覚えていますか? あれよあれよと勝ち上がっていった農業高校、と言えば思い出すかもしれません。

あのドキドキ感にすごく似ているのがこの『おおきく振りかぶって』。公立高校の新設野球部を舞台に、あぶなっかしさと、一際、応援したくなる気持ちが抑えられない物語です。

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ストッパー毒島(ハロルド作石)

プロ野球の試合を見ながら、思いつくままに野球マンガをレビューしてたら……

 

不良高校生だった主人公の毒島大広は、ひょんなめぐり合わせでパ・リーグの弱小球団・京浜アスレチックスに入団。謎の球団マスコット・チックくんの教えなどを受け、年間60セーブを目指して邁進するというストーリー。

 

こちら熱血カープ女子の上原梓さんのレビューですが、カープ×巨人戦を観戦しながら思いつくままに野球漫画をあげていく、という妙技が冴えわたったものです。

  • 球場にあるロマンとグルメと夢を描く渡辺 保裕先生の『球場三食』
  • ベテランがメジャーのクローザーで頑張る、さだやす圭先生の『フォーシーム』
  • 「野球をできないことは死を意味する」頂高校でのデッドボールと3ストライクを同時に奪う魔球が登場したり、3軍の野次ですら衝撃波として襲ってきたりの西森生先生『デッド・オア・ストライク』

その締めくくりをするのが『ストッパー毒島』です。カープと野球マンガ愛に溢れたレビューです。

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『ボス、俺を使ってくれないか』(富士屋カツヒト)

誰かに必要とされることは仕事の一番のモチベーションだからこそ『ボス、俺を使ってくれないか』

 

主人公の石原は大卒ドラフト5位で入団した一軍登板なしの3年目若手ピッチャー。先発とかクローザーではなくて言われたところで投げる“便利屋”と呼ばれる中継ぎ投手です。

二軍での成績は“そこそこ”ネットの評判もイマイチでなんとなく先行きに不安が出てきたころ。

付き合ってる彼女ともなんとなく結婚の話やセカンドキャリアのお話しをするような緩い倦怠期。

 

そんなある日進退をかけたマウンドでの活躍が認められたのと、チーム状況が重なり一軍へあげられてあれよあれよという間に一軍に定着する活躍を見せた石原はその年のシーズンオフには年棒も倍増。

いよいよこの世の春が来たかと思った先に待っていたのは、なんとFA移籍選手の人的補償による自身の移籍でした。

 

中継ぎから先発に鞍替えとなり、一気に石原に襲ってくるプレッシャー。このプレッシャーを毒とするか、薬とするかは、わたしたち社会人に共通のテーマです。野球を通して普遍的なテーマを投げかけるシブい作品です。

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『神様がくれた背番号』(渡辺 保裕)

40歳のホームレスが「二刀流」の野球選手に

飛田謙吉(とびた けんきち)通称「ケンちゃん」は、何と40歳で元タクシー運転手のホームレス。これまで野球をやったこともないばかりか、吃音(どもり癖)のせいで普通にしゃべることもできない。ケンちゃんの話を完璧に理解できるのは、小学生で大の阪神ファン、中嶋武司(なかじま たけし)通称「タケ坊」だけだ。

 

この作品、表紙を見ればお分かりの通り、阪神タイガースが題材になっている。
他球団のファンの方は「じゃあ、やめとくわ」と嫌厭せず、また野球好きでない方も「別に好きじゃないし・・・」と食わず嫌いせずに、ぜひ読んでいただきたい。
なぜなら本作、数ある『泣ける野球マンガ』のなかでも最高級に泣ける剛球、イヤ号泣間違いなしの作品なのだ。
(とは言え、野球ファン、特に阪神ファンであれば読みながら思わずニヤニヤしてしまうニクい演出が散りばめられているので必見である)

 

ホームレスの主人公が夢枕に立った神様からのプレゼントとして日本一野球の上手い40歳となる、というハチャメチャ設定。しかし、心臓病を患い死と隣り合わせのタケ坊を励ますため、ナインは鬼気迫る勢いで投げまくり、打ちまくります。

よくある設定に思えるのものの、原作として小説があるだけに、読み応えはほかの作品とは一線を画しているます。

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『MIX』(あだち充)

人類には、あだち充があればそれでいい。

気がつくともう40年以上経っていた。

さすがに“もうあだち充は読めないんじゃあないか?”とか“世の中だって大きく変わってきているしあの作風もさすがにもう無理だろ?少しは変わったかな?”なんてことを思いながら最新作『MIX』を最新刊15巻まで一気に読んだ。

なんにも変わっていなかった。

今もあだち充はここにいた。

野球×ラブコメ これまでにもあだち充自身の手で何度となく描いてきた鉄板テーマであるのと同時にさすがに個人的にも読者にも飽きられるのでは?という杞憂は一瞬で吹き飛んだ。

あだち充健在。

ムフ♡健在。

一気に青春だったあの頃の記憶が濁流のように押し寄せる。

ガードもへったくれもあったもんじゃあない。

 

『みゆき』『タッチ』で育ってきた今の40代。その代表である松山洋さんが久しぶりにあだち充先生を読んでみた、というレビューです。

鉄板のストーリー、キャラの顔立ち、独特の間……。あだち先生はブレてません。『タッチ』を読んでいた日々を取り戻してくれるのが、この『MIX』なのです。

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グラゼニ (1)
無料試し読み
著者:森高 夕次,アダチ ケイジ
出版社:講談社
販売日:2011-05-23
バトルスタディーズ(1) (モーニング KC)
著者:なきぼくろ
出版社:講談社
販売日:2015-04-23
忘却バッテリー 1 (ジャンプコミックス)
無料試し読み
著者:みかわ 絵子
出版社:集英社
販売日:2018-09-04
おおきく振りかぶって (1)
無料試し読み
著者:ひぐち アサ
出版社:講談社
販売日:2004-03-23
ストッパー毒島 1 (ヤングマガジンコミックス)
著者:ハロルド作石
出版社:講談社
販売日:2003-06-13
ボス、俺を使ってくれないか? (ヤングアニマルコミックス)
著者:富士屋カツヒト,中溝康隆
出版社:白泉社
販売日:2019-04-26
神様がくれた背番号 1 (ニチブンコミックス)
著者:渡辺 保裕,松浦 儀実
出版社:日本文芸社
販売日:2012-11-28
MIX (15) (ゲッサン少年サンデーコミックス)
著者:あだち 充
出版社:小学館
販売日:2019-08-08