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タワマン×ママ友=生き地獄!『おちたらおわり』は妻たちの残虐物語だった
レビュー執筆者:いづき

ヒューマンドラマ『おちたらおわり』

 

『ライフ』『リミット』すえのぶけいこ先生の新作『おちたらおわり』の第1巻が発売されました。

 

 

字面だけで胸焼け起こしそうな組み合わせ

 

なにやら表紙やタイトルからして不穏な雰囲気漂っておりますが、”タワマン×ママ友”という、「これ絶対陰湿ないじめとかマウント合戦起こるでしょ。」というシチュエーションに、すえのぶけいこ先生を組み合わせましたという一作。

 

組み合わせだけで胸焼け起こしそうな、色々な意味で期待感たっぷりの一作となっております。あらすじはこんな感じです……

 

物語の主人公は、念願叶って、新築のタワーマンションに引っ越してきた主婦の明日海。さっそく、タワマンも子供の幼稚園も一緒の3人のママ友ができ、新生活に期待を膨らませていたものの、最上階に住むある人物と再会してしまい、明日海の心境は一変して…というストーリー。

 

 

今回も読んでてHP削られる系の作品になってます

 

すえのぶけいこ先生といえばやはり、壮絶ないじめを描いた『ライフ』のイメージですよね。人間の悪意を煮詰めて濃縮したような、とにかく読んでいてエネルギーを削られる強烈で過酷な描写が印象的ですが、本作もしっかりそのラインを受け継いでいます。

 

別に壮絶な悪意を描く作品って、他にもたくさんあるんですけれど、すえのぶけいこ作品はダントツで被ダメージが高いのは何故なのでしょうか。

 

感情のぶっ飛び方が凄いというのもありますし、絵のタッチが若干劇画っぽいのも、キャラクターや物語にエネルギーを与える一因となっているのかもしれません。まだ1巻なのでその辺は抑え気味なのですが、巻を重ねるごとにどんどん強烈になっていく気配たっぷり

 

いやぁ、今回もなかなかページをめくるのがしんどい作品になってます。

 

 

タワマンでのママ友付き合いとかいう地獄

 

タワマンの住人とかご近所付き合いのイメージって、武蔵小杉の例のアレの件のせいなのか、ドラマ『砂の塔』のせいなのか、はたまたタワマン住まいの私の先輩女子(性格メチャクチャ悪い)のせいなのか、あんまりいいイメージ無いんですよね。

 

実際はそんなことないんでしょうけれど、タワマンに対して世間は少なからず偏見を抱いており、本作はその偏見をさらに誇張して物語に落とし込みました……みたいな設定になっています。

 

タワマンと一口に言っても居住する階層によって明確に格差や序列はあるし、みんなそこそこ良い暮らしをしていますから、自慢できることの一つや二つや三つや四つあるわけで、ママ友同士で集まったらもう軽く地獄で、ナチュラルにマウンティング合戦

 

そして圧倒的な上位ママに対しては媚びへつらうという、女性社会の恐ろしさが垣間見えます。

 

 

過去が絡み合い物語は一層複雑に

 

で、それだけならまだいいんですけれど、主人公の前に現れた最上階に住むセレブママというのが、中学時代の同級生で、壮絶なイジメをされていた相手という。

 

ただでさえ難しいママ友ご近所付き合いに、そういった過去のしがらみが複雑に絡み合い、一層明日海を苦しめます。怨みに怨みぬいた相手がいるということで心も乱れ、ママ友もちょっとした言動にも過敏に反応してしまい、余計に拗れるという悪循環。

 

当人だけが偏見を向けられるならまだしも、最愛の娘まで変な目で見られ、避けられてしまいそうになるのがまた辛い。いやぁ、本当に読むのしんどいです(誉め言葉)。

 

そのほかのママ友も、分かりやすく性格に難ありな人から、一見優しく見えて、実は裏がありそうな人まで様々。いや、めちゃめちゃ親切にしてくれる人とかいるんですけど、だってこれすえのぶけいこ作品じゃないですか。裏切りが怖い。もうめちゃめちゃ疑心暗鬼になって、ストレス感じながら読んでますとも。

 

というわけで、めちゃめちゃ読み応えあるんですけれど、読むにあたっては相応の心構えでもって臨まないと、あまりの救いの無さからノックアウト食らう可能性もありますので、是非とも心身の調子の良いときにお手に取ってください。用法用量守って、楽しく読みましょう。

 

 

おちたらおわり(1) (BE LOVE KC)
著者:すえのぶ けいこ
出版社:講談社
販売日:2019-10-11

 

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