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縦読み漫画発!極悪オンナが処刑→事故死→そして⁉ これでもか!の3回転生『外科医エリーゼ』
レビュー執筆者:miyamo

転生ファンタジー漫画『外科医エリーゼ』

 

人生は一度きり、だから命を大切にと人はいう。しかしそれも考えかたしだいではあろう。

 

『007』シリーズの原作者イアン・フレミングは“You only live twice: Once when you’re born, And once when you look death in the face.”(人は二度しか生きられない。一度は生まれる時、そしてもう一度は死に面する時)と英語俳句を詠んだが、本日ご紹介するWebマンガにいたっては実に三度目の人生を歩むことになったヒロインが主人公である。

 

かつて、地球とは似て非なる世界にひとりの貴族令嬢がいた。名はエリーゼ。見目麗しく、大人になると皇太子の伴侶として高い地位を得るも苛烈な性格と悪行の数々から“悪女皇后”と呼ばれ、ついには火あぶりで処刑されてしまった女である。

 

人々を傷つけ、家族まで巻き込んで命を損なう生き方をしてしまったことを後悔しながら死を迎えたエリーゼ……すると天の計らいか、彼女の魂は地球へ送られて文字通り第二の人生を歩むチャンスを与えられる。

 

地球人としての彼女は医学の道を志して天才的な腕前の外科医となり、人助けに精を出すのだった。

 

ところが不憫にも、その地球人女性は飛行機事故で若くして落命。ハッと目覚めたとき、彼女はなんと貴族令嬢エリーゼの少女時代に戻っていた。それも地球人時代の記憶を保ったままにである。

 

かくして、再度の転生を果たしたエリーゼは10年後に訪れる悲惨な未来を回避すべく、家族や近しい者達を思いやり、皇太子はじめ皇宮との関わりを慎むよう人生の軌道修正にとりかかる。そして国や民をおびやかす傷病から少しでも多くの命を守るため、異世界の基準からみるとズバ抜けた医療技術をふるいはじめるのだった……。

 

という、異世界→地球→異世界というセットアップが面白い転生ファンタジーである。

 

生まれ変わりの物語は多くの場合「新天地でやり直す」というセカンドチャンスの趣向だが、本作の場合はその異世界のほうが基盤で、現代地球で過ごした人生はあくまで中継地点。魂を浄化して送り返してくる、いわば禊(みそぎ)のようなものとして機能している。ここが主人公の造形を支える肝だ。

 

最初からただ単に、すごい美少女で心まできれいで優秀な職業スキルまで備えて……となると読者から見て完璧超人ぶりがある種のイヤミを招く可能性があったろう。そこを、「背負った罪を清算するためにこうなった」という必然性を挟むことで心おきなくエリーゼの肩をもてるようになっているわけだ。

 

現代医学で活躍するのは表立った見どころではあるが、作品の核はその活躍を応援しやすい前提の敷きかたのほうにある。

 

なお、本作は韓国の「kakaopage」というプラットフォーム上の配信作品を日本向けに翻訳したもので、いわゆるウェブトゥーン(韓国製Webマンガでスマホのタテ読みに最適化した形式)のローカライズ例に興味があるかたにもおすすめだ。

 

単行本の表紙を見ると分かるがカラー映えするきめこまやかな絵面がちょくちょくあり、目に華やかなのがいい。あまり他作家の名前を引き合いに出すのもなんだけど、種村有菜先生のテイストありますよね。

 

 

外科医エリーゼ 1 (フロース コミック)
著者:mini,yuin
出版社:KADOKAWA
販売日:2019-08-05

 

 

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