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いま話題の衝撃作『戦争は女の顔をしていない』が教える戦争の裏側

物語としてモチーフにされることが多いもののひとつに“戦争”があります。

 

“戦争”なんて無いほうが良いにもちろん決まっているのですが、それでも時代時代に世界中で起こっています。

 

今回ご紹介するのは、そんな“戦争”を生き抜いた「女性」たちの物語です。

 

 

戦争は女の顔をしていない 1 (単行本コミックス)
著者:小梅 けいと,スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ,速水 螺旋人
出版社:KADOKAWA
販売日:2020-01-27

 

 

本作は2015年にノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ女史による原作のコミカライズ(作・小梅 けいと/監修・速水 螺旋人)。

 

戦争で悲惨なのは誰かではなくて全ての人です。そんな中でもこの作品は、「従軍女性」にスポットを充てて描かれた作品です。

 

本作の舞台は第二次世界大戦時のロシア(正確には旧ソ連)。

日本では信じられないのですが、旧ソ連では「女性」も“戦争”に多く参加していました。

 

本作では、軍医や書記といった後方の従軍から、まさに最前線の砲撃手、狙撃手や飛行兵として、戦禍の中を生き抜いた女性たちへの取材を元にしたエピソードが描かれています。

 

僕達の中の感覚では戦地に「女性」がいるということが、そもそもイレギュラーというか異質な感じがしますし、日本で「従軍女性」と言うと「従軍慰安婦」イメージしがちなので、この作品にはより衝撃を受けました。

 

戦地では男も女も大人も子どもも、関係なくその犠牲になります。

本作の中でも登場人物はいとも簡単に命を落とします。

この作品自体は確かに衝撃的ですが、その一方でこういった作品を通じて、自分たちの知見を深め、考えることもまた、戦争を回避するためのひとつの手段になるのかもしれません。

 

とはいえ、この作品の素晴らしいところは、戦争を安易に悲惨なものとしての舞台装置として描くことだけではなくて、そこにあった人間ドラマを描写しているところにもあります。

 

皮肉な事でもありますが“戦争”という究極の極限状態の最中だからこそ、より強烈に輝くドラマがあることも、戦争の裏にある別の顔なのかもしれません。

 

改めて「平和」とは、「戦争の悲惨さ」とは、を真摯に考えずにはいられません。

そして、平和とは何かを考える作品です。

ぜひご一読ください。

 

 

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