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「キレる17歳」世代の抱える閉塞感と性の闇が深すぎる『愛と呪い』

こんにちは。神保町にある「漫泊=一晩中マンガ体験」MANGA ART HOTEL代表の御子柴です。


今回は『ぼくらのへんたい』『女の穴』などドキッとするタイトルでジェンダーに踏み込んだ内容の作品を描く、ふみふみこ先生の半自伝的な作品『愛と呪い』をご紹介します。

 

1982年生まれ、「キレる17歳」世代の筆者。

酒鬼薔薇聖斗事件。

阪神淡路大震災。

オウム真理教事件。

……平成に起こった事件を客観的に、時に主観的に見つめ、それらとともに存在し続けた自らの“闇の日々”を真っ正面から描いています。

 

 

©ふみふみこ/新潮社

 

©ふみふみこ/新潮社

 

 

父からの性暴力と、それを笑って放置する母親。

学校内での孤立。

新興宗教。

援助交際。


また、家庭も学校も新興宗教の教えという呪縛の中で、幼少期・思春期に受けたトラウマに縛られながら、高校生活からアラフォーの現在までの日々が描かれていますが、周囲にいる人や社会に対する主人公のドス黒い憎しみが、読んでいて胸が苦しくなってきます。

 

©ふみふみこ/新潮社

 

©ふみふみこ/新潮社

 

 

 

主人公の愛子は、あまりの苦しさから性的虐待をしてくる寝ている父をゴルフクラブで殴り殺そうとしますが、母親を見て思いとどまります。

母親は愛子への性的虐待を見て見ぬふりをしているにもかかわらず……。

 

しかし、殺意を諦めた愛子ですが、両親を許した訳でもないし、救われた訳でもありません。
トラウマは愛子自身を蝕みながら、残酷に日々は過ぎていきます。

 

小学校、中学校、高校、社会人と、平成の忌まわしい事件に対比されるように愛子の心情は描かれます。

 

朝ごはんを食べて、仕事をして、帰ってから寝るまで家でダラダラする。

そんな「普通」を手に入れたいと願う愛子。

 

やがて精神疾患でも働ける会社があり、「漫画」という理想があり、助けてくれる人がいて、なんとか今まで生きて彼女自身は

「もう、性交をする『女』にも、それにより子どもを産む『母』にもならなくて良い」

という解放感に到るのです。

 

彼女自身の心の声がグサグサと心をえぐりにきますので、共感性が高い方は要注意です。かなり持っていかれますので……。

 

元気で、だれかの闇を俯瞰できる心の余裕がある時に読んでおくことをお勧めします!

 

 

©ふみふみこ/新潮社

 

 

 

『愛と呪い』 は MANGA ART HOTEL に【全3巻】が置いてあります。

 

 

 

愛と呪い 1 (BUNCH COMICS)
無料試し読み
著者:ふみふみこ
出版社:新潮社
販売日:2018-06-09
愛と呪い 2 (BUNCH COMICS)
著者:ふみふみこ
出版社:新潮社
販売日:2019-02-09
愛と呪い 3 (BUNCH COMICS)
著者:ふみふみこ
出版社:新潮社
販売日:2019-11-09