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納税できないあなたへ。生活防衛知識の獲得は『ゼイチョー』で!

住民税滞納5年分、督促も催告も届いているのは知っている。

しかし、払えないものは払えない。無視ではなく、追い詰められているからこそ、電話にも応じられない。

それでも役所はやってくる。国税徴収法第142条に則って。 

 

女ひとりで子どもを育てていれば、税金なんで払う余裕はない。そんな訴えも強制執行の前では無力だ。自宅にある「お金になるもの」は無慈悲に没収されていく。自分の子どもの目の前で。 

 

『ゼイチョー』は、泣き叫ぶ母親を前に強制執行を目の当たりにしたひとりの女性、百目鬼華子(どうめきはなこ)の物語である。彼女は市役所納税課収納係に所属する徴税吏員だ。

その仕事はできれば避けたい、納税処理と滞納対策である。 

 

住民税滞納者にはさまざまなタイプがいる。

前出の経済的困窮のみならず、シングル家庭で納税処理まで手が回らないままのもの。

失業により収入がなくなり、昨年度分の納税ができなくなったもの。

お金はあるが「納める」ことから逃れるもの。 

 

納税をしようとしないものは論外であるが、さまざまな理由で納税できない個人において、徴税吏員は悪魔のようにも見えるかもしれない。実際、国税徴収法第142条をもって強制執行となれば、すべてを持っていく人間という見方もできるだろう。 

 

しかし、一方で彼らは税のプロフェッショナルであり、市民を支える公務員だ。納税を意図的にしない市民に対する方法論もあるが、制度を駆使して市民を支える知識も持ち合わせている。 

 

例えば、母親が病気がちで働けなく、アルバイトを掛け持ちして生計をかろうじて成り立たせている市民がいる。

住民税を支払う金銭的余裕はないが、一方で確定申告をするようなこともできない。そもそも大半のひとは会社が税金関係を処理してくれるので、確定申告をしない。

そうなればいざ自分で税金関係を処理しようにも知識や経験が不足する。 

 

そんな市民に対して彼女は知識を使って手を差し伸べる。 

「つまり納め過ぎたお金が戻ってくるんです」と。 

 

 

 

©Yui Shin/講談社

 

 

©Yui Shin/講談社

 

 

 

©Yui Shin/講談社

 

 

 

このように個人として納税できない状態であっても、制度の知識と経験によって減額や還付など、”本当はどのような状態なのか”が明らかになっていく。

そうはいっても、誰もがこのような知識を有しているわけでもなく、税理士に依頼できるわけでもない。そんなとき、彼女は彼女らの持つ知識という防具で市民を守っていくのだ。 

 

公務員、特に税金滞納者にとって徴税吏員は敵に見えるかもしれない。

しかし、彼ら・彼女らは専門知識と市民の暮らしを守る味方にもなることを忘れてはいけない。

 

『ゼイチョー』では、そのような知識を私たちに与えてくれるだけでなく、知識がないことを自覚し、市役所に相談に行ってみよう、と私たちに思わせてくれる一冊である。 

 

 

 

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ゼイチョー! ~納税課第三収納係~(1) (KCデラックス)
著者:慎 結
出版社:講談社
販売日:2016-06-13