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新たな一歩を踏み出したい時に背中を押してくれるスケボーマンガ『スケッチ―』

マキヒロチ先生待望の新作は……

様々なタイプの女性たちの生き方と、実食できるおいしい朝食を絡めた
『いつかティファニーで朝食を』。

 

 

 

 

TVドラマ化もされたこの作品は、2019年秋に、約7年半の連載が終了し完結となりました。
そして次に作者のマキヒロチ先生が注目したのは、なんとスケートボード!

 

ご本人が実際に体験されて、だんだんとハマっていく様子が、Twitterでもつづられていました。

 

 

 

映画のようなオープニング、そしていつもの日常

その熱気はマンガのページを開いた途端、広がってきます。

1巻の冒頭のシーン。まるで、洋画のオープニングのようです。

 

 

©Makihirochi/講談社

 

 

そして、タイトルと目次を挟んで日常のシーンが始まります。

 

 

©Makihirochi/講談社

 

 

©Makihirochi/講談社

 

 

主人公はレンタルショップの正社員、川住憧子(あこ)。
来店する客の対応に追われ、うだつのあがらない脚本家志望の彼氏とつきあい続ける日々に、なんとなく不安と物足りなさを抱いている31歳。

 

そんな彼女が偶然遭遇したスケーターの女の子。

 

 

©Makihirochi/講談社

 

 

©Makihirochi/講談社

 

 

昔の親友の面影を持つ彼女を見てから徐々に、憧子はスケボーに興味を抱いていきます。

 

読んでいて、新しいことにチャレンジしたくなる

未経験のものに挑戦する時、どうするかは人それぞれ。いきなり飛び込む勇者タイプもいるでしょう。

そして、まずその対象について調べ、その後現場で小さく経験を積んで慣れていく人もいる。比較的安全なコースです。

本作では後者のやり方を丁寧に見せてくれるので、読後にスケボーやその他のジャンルのものに近づいていく人も多いと思います。

そう、このマンガは優しく背中を押してくれるのです。

 

 

©Makihirochi/講談社

 

 

©Makihirochi/講談社

 

 

彼女の勤めるレンタルショップの後輩や、出版社内で左遷された元編集者などと共に、憧子がどのようにスケボーを学び、そしてどう変わっていくのか。
安定しているようで不安定な、どこか日常に物足りなさを感じている人におすすめです。

 

なお、この作品はマキ先生ならではの書き込みもたっぷりで、ブランドのショッパーや電車内の広告(先生が手掛けたマンションのもの)など、随所にこだわりが満載なので、ぜひ探してみてください。

 

「Sketchy」って何だろう?

タイトルの「Sketchy」(スケッチー)は、スケートボード用語

トリックをメイクしたけど完璧ではなく微妙なとき。ずるい、イケてない人も指す。

 

おそらく、憧子がプロを目指して成功する話にはならないであろう本作。彼女は「Sketchy」を脱するのか、それとも「Sketchy」な自分を受け止めるのか。その辺りにぜひ注目していきたいですね。

 

最後に、装丁の紹介です。こちらは『シング・ストリート 未来へのうた』『パターソン』などの映画のグラフィックや展覧会広報物、ブックデザイン等で活躍されている大島依提亜さんが手掛けています。

良い意味で「マンガの装丁」を離れた、部屋に置きやすい、すっきりとしたデザインです。カバー裏も凝っています。

 

表紙の絵は、著名人を描く画家のエリザベス・ペイトンを彷彿とさせるものになっているように感じました。帯がないところも特徴的です。

 

少し停滞している時は、まず気持ちを変えないと始まらない。
『Sketchy』でまず一段、心を跳ね上げてみませんか?

 

 

スケッチー(1) (ヤンマガKCスペシャル)
著者:マキ ヒロチ
出版社:講談社
販売日:2019-12-20
いつかティファニーで朝食を 1 (BUNCH COMICS)
著者:マキ ヒロチ
出版社:新潮社
販売日:2012-09-07