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泣けるサッカーマンガ『Jドリーム』を読んだらあの頃の熱狂と感動が蘇った

今でこそあり得る話であっても、少し前までは不可能に近い夢物語……。

そんなことが少し前の日本にはたくさんありました。現在でもまだたくさん残っています。

 

スポーツの世界で一番新しいのは、やっぱり昨年、ラグビー日本代表が躍進したことでしょう。

「夜明け前」というか「前夜」というのは何にでもあります。

今回ご紹介する作品のテーマは「サッカー」、そして日本のプロサッカーの「夜明け前」からの物語を描いた作品です。

 

日本にサッカーがなかった頃

いまでこそ日本代表は世界ランキングでも全210チーム中28位、アジア圏では堂々の1位に位置していますが、今から40年前にはそもそも日本にはJリーグどころか“プロ”チームも、選手もいませんでした。

もちろん、スポーツとしてすら、現在のような盛り上がりも、人気もありませんでした。

 

日本初のプロリーグであるJリーグの発足は1993年。

日本代表チームが初めてワールドカップに出場したのが1998年。

それ以降は自国開催も含め6度連続のワールドカップ出場を決めています。

 

それに連動するがごとく、サッカーマンガは常にどこかしらで、なにかしらの形で発表され続け変わらない人気を誇っています。

高橋陽一センセイの『キャプテン翼』に影響を受け、憧れて、プロ選手になったと公言している選手は国内外問わずに多い、というのは有名なお話です。

 

日本にまだサッカーがなかった時代があったのです。

そんな時代から段々と“サッカー”というスポーツが脚光を浴び始め、そしてアマチュアからプロへ、さらにワールドカップへ初出場するまでの戦いをドラマッチクに描いた作品がこの『Jドリーム』なのです。

 

 

Jドリーム 1巻
著者:塀内夏子
出版社:電書バト
販売日:2002-03-12

破天荒な天才少年が浦和レッズ入り

『Jドリーム』は『週刊少年マガジン』誌上で1993年~1999年に連載された塀内夏子センセイの作品で、一言で言うと「まさに日本のサッカー史」!

 

アマチュアからプロへの転換、Jリーグの誕生とその熱狂。そして日本代表チームがワールドカップへの悲願の初出場を果たすまでの歴史と重なるようにストーリーが描かれています。

 

本作の主人公である赤星鷹(あかぼし・たか)は16歳。

天才的なサッカーセンスと卓越した技術を持ち合わせながら、その反面、素行不良で素性が曖昧。そのため各地の入団テストを受けるものの落ち続けていました。

 

作中でも現実でも、時はいよいよ日本でもプロサッカーリーグが発足される直前の時代に突入。

浦和レッズに所属するベテラン選手の本橋譲二は鷹にサッカー勝負を持ちかけられます。

 

天才的な技術をもつ鷹ですが、現役トップ選手を相手に、なかなか思うようにいかず、結果は負け続けていました。

しかし、そのプレーを目にしたスタッフからの推薦のおかげで、鷹はプロのサッカー選手としての契約と報酬を勝ち取り、浦和レッズにめでたく入団を果たします。

 

裏主人公とも言えるベテランの存在感

この作品には「もう一人の主人公」と言って良い人物が登場します。

彼の名前は本橋譲二。

 

本橋は元日本代表。「プロ」なんて言葉もなく、戦術・能力も世界レベルからみればずっと低レベルだった頃から日本代表チームを支えてきた中心選手でした。

 

サッカー選手の悲願であったプロリーグがやっと日本に誕生したものの、時はすでに遅し……。本橋はすでに選手としてのピークは過ぎていたのです。

 

サッカー選手すべての夢・ワールドカップ出場。

それが夢では無くなってきた1993年、本橋は度重なる怪我に苦しみつつも、最後になるであろうチャンスを掴むために奮起します。

 

しかし運命とは残酷なもので、本橋は選手生命に関わる大怪我をしてしまいます。そんな本橋の代わりにフィールドに立ったのが、技術と存在感で一軍に上がってきていた鷹でした。

 

二人は結局、同じステージに立つことがないままに終わります。ほんのひと時だけ時間を重ねただけで、夢行きのチケットは、本橋から鷹へ受け継がれました。

 

誰よりも「プロ」になりたくて夢を見てもがいてきた男のラストシーンを当時はあまりはっきりと分かりませんでした。

時を経て改めて読むと、涙が止まらないレベルの切なさを僕は感じずにいられません。

 

この『Jドリーム』はこのあと『飛翔編』『完全燃焼編』と続き、Jリーグ、ユースの物語を経て、日本代表がワールドカップへの出場切符を手に入れるところまでが描かれます。

 

そして個人的に想うのがこの作品の裏テーマはきっと『世代交代』ということになるのでしょう。

そんな世代交代を軸にしたエピソードが作中の多くの場面でみられます。

 

スポーツ選手としての寿命は、どんなスポーツであれ短いものです。そして『世代交代』が必ずついてまわるものです。そこにドラマが生まれるのです。

 

選手たちの活躍や夢を描いたスポーツ漫画は多い反面、こういった「切なさ」を描いた作品は意外と少ないので、サッカー漫画好きなら一読の価値はあります。

 

こちらの作品は現在Amazonアンンリミテッドで読み放題のラインナップにも加わっています。

ハンカチをご用意して、ぜひ読んで見てください。

 

 

 

無料試し読みはこちら

 

 

 

Jドリーム 飛翔編 1巻
著者:塀内夏子
出版社:電書バト
販売日:2002-09-12
Jドリーム 完全燃焼編 1巻
著者:塀内夏子
出版社:電書バト
販売日:2002-12-12