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死刑囚と獄中結婚⁉面会室でマウントを取り合うサスペンス作品『夏目アラタの結婚』

皆さんは「結婚」についてどのようなイメージを持たれていますか?

 

一般的には、ポジティブなもの(「精神的に充実する」「子どもや家族が増えて嬉しい」など)や、ネガティブなもの(「お互いに気を使って疲れる」「自由が無くなる」など)のどちらもあり、人生のビッグイベントに対するイメージは、男女や人それぞれで違いがあると思います。

 

さて今回ご紹介する作品は、「結婚」に対してネガティブなイメージを持っている男が「死刑囚に結婚を申し込む」といった始まり方をするお話です。

 

夏目アラタの結婚 (1) (ビッグコミックス)
著者:乃木坂 太郎
出版社:小学館
販売日:2019-11-29

 

主人公「夏目アラタ」は児童相談所に勤務している30代男性。

 

親の影響で「結婚」に夢も希望も持てなくなったアラタは、仕事でゴタゴタを起こしながらも自由気ままな独身生活を送っていたが、ある日、担当児童から「自分の代わりに死刑囚に会ってほしい」と頼まれる。

 

児童の父親は数年前に連続バラバラ殺人の被害にあっており、現在、犯人は逮捕されて「死刑」判決が下ったものの、遺棄された「父親の首」だけが未だ見つからなかった。

 

その状況に痺れを切らした児童は勝手にアラタの名前を使って死刑囚と文通を始め、父親の首の在処を聞き出そうと試みるが、死刑囚から届いた手紙の返事は「直接会って話そうよ…」だった。

 

アラタは児童の行いを叱りつつも、悪の存在に児童を近づけないようにするため、代わりに死刑囚に会いに行くことを承諾する。

 

そして面会当日、面会室のガラスの向こう側に現れたのは「ひどく歯並びが悪い口元」の特徴以外は逮捕当時のイメージと見た目がかなり異なっていた女性「品川真珠(21歳)」だった。

 

真珠はアラタをじっと見つめた後「思ってたのと、違う。」と言い、すぐに面会室から出ていこうとするが「この機を逃したら次は無い」と焦ったアラタは、真珠を引き止めるための行動にでる。

 

アラタ「品川真珠~~~!! 俺と、結婚しよーぜ!!」

 

かくして死刑囚へのプロポーズを機に、アラタの苦難の日々が始まるのだった……。

 

■アラタと真珠のマウントの取り合いに注目!

 

本作『夏目アラタの結婚』は、「面会室」という限定された舞台でありながらも「結婚」というテーマと「死刑囚のヒロイン」という要素の組み合わせによって、今まで味わったことがない斬新なストーリー展開が楽しめます。

 

アラタはとっさのプロポーズで真珠の引き止めに成功した後、

 

アラタ「品川真珠! このガラスを突き破って側に行きたいぜ!!」

アラタ「俺の恋は、今日会うずっと前に――――始まってたのさ!」

 

などのキザなセリフを使いながら自分が真珠の味方であることをアピールし、真珠を信用(油断)させてから児童の父親の首の在処を聞き出そうと企みます。

 

しかし真珠もその企みをお見通しであるかのように、面会が始まるとアラタのことや家族構成などについて執拗に質問しながらアラタの様子を観察し、答えを渋ると「もう会わない。」と脅しをかけるなど、常に会話の主導権を握ろうとします。

 

まるで結婚サギ師のような笑顔を浮かべるアラタと、イチイチ気色悪い表情と何を企んでいるのか分からない真珠、この二人の「マウントの取り合い」の様子が毎回ハラハラ&ドキドキして本当に面白いです。

 

 

また作中において、

 

真珠 「もし、万一ボクが外に出てきたら、ボクと一緒に暮らせる?」

アラタ「もちろん!(出てこれるわけねーだろ、おめーは「死刑」だ!!)」

真珠 「―――じゃあ、出るね。」

 

……といった場面があるのですが、真珠の恐ろしさが120%伝わってくる演出になっていますので、特に注目して読んでいただきたいです。

 

 

さあ、そんな『夏目アラタの結婚』は「ビッグコミックスペリオール」にて連載中で、現在コミックス【第1集】が発売中です。

 

アラタが真珠を追い詰めるのが先か?

それとも、真珠がアラタを追い詰めるのが先か?

面会室のガラス越しの「結婚」の先にあるのは希望か? それとも絶望か?

 

未だかつてない<男と女のラブゲーム>の今後の展開に注目していきましょう。

 

 

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夏目アラタの結婚 (1) (ビッグコミックス)
著者:乃木坂 太郎
出版社:小学館
販売日:2019-11-29

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