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手塚治虫の未完の名作を大胆アレンジ!鬼才が生み出す『サーチアンドデストロイ』の魅力

みなさん、『どろろ』という作品をご存知でしょうか?

 

マンガの神様である手塚治虫先生が生み出した、未完の名作です。(未完の名作って…かっこいい)

 

この名作を現代版に大胆アレンジされた作品が、今回ご紹介するカネコアツシ先生の『サーチアンドデストロイ』です。

 

 

 

新しいのにどこか懐かしい。緊張とスピード感で脳を刺激する名作!2人の漫画家のセンスの素晴らしさに、敬服せずにはいられません!

 

 

『サーチアンドデストロイ』と『どろろ』のあらすじ

まずは2つの作品のあらすじをそれぞれご紹介します!

 

 

『サーチアンドデストロイ』

サーチアンドデストロイ 1 (TCコミックス)
著者:カネコアツシ,手塚治虫
出版社:マイクロマガジン社
販売日:2019-04-05

 

内戦後、兵士や労働力として大量に生産されたクリーチ(クリーチャーと呼ばれるロボット)が街に溢れ、人間と共に生きていました。用済みになった者は路上暮らしに、裏社会に身を置く者は一般市民では手に入らない暮らしをしていました。

 

ある夜、ヤクザクリーチに捕らえられた孤児のドロ。抵抗するドロの前に、人間ともクリーチともつかない少女が現れます。それが主人公の百(ひゃく)です。百は獣の毛皮を身にまとい、怒りをあらわにし、四肢に装備された最強の武器で親玉であるキックに襲いかかります。

 

百はキックを倒した後、あるものを回収し、また別のヤクザクリーチを狙いにいきます。クリーチが嫌いなドロは百に興味を持ち、ヤクザクリーチをぶっ壊すために手を貸すと言いますが、百は相手にしません。

 

狙った獲物は逃さない諦めの悪いドロは、百を追いかけ一緒に戦っていきます。

 

 

『どろろ』

どろろ (第1巻) (Sunday comics)
著者:手塚 治虫
出版社:秋田書店
販売日:1974-09-01

 

続いて『どろろ』です。

 

舞台は戦国時代。武将に仕える醍醐景光(だいごかげみつ)は、天下統一の願いを叶えるため、生まれてくる我が子 百鬼丸(ひゃっきまる)を生け贄に、48匹の魔神と契約をかわします。

 

百鬼丸は、魔神に目や耳など48ヵ所の身体の部位を奪われ生まれてきますが、醍醐景光は「出世の邪魔だ」と言い、百鬼丸を川に捨ててしまいます。48ヵ所の身体の部位が奪われたことで、生きることが不可能だと思われましたが、医者の寿海(じゅかい)に拾われ、義足や義手などが与えられ生きられることに。

 

時は流れ、百鬼丸は大きく成長し、偽りの身体を動かせるまでになりました。そんなある日、百鬼丸は身体を奪った魔神を1体倒すごとに、失った身体の部分を1ヵ所取り戻すことができることを知ります。

 

自分の身体を奪った48体の魔神をすべて倒せば、普通の人間になれる。百鬼丸は、本物の身体を取り戻すべく魔神退治の旅に出ます。

 

そして旅の途中、どろろという泥棒少年と知り合い、共に旅をするようになりますが、百鬼丸とどろろが行く先で、妖怪や死霊に次々と襲いかかってきます。

 

果たして百鬼丸は、自分の身体の部位をすべて取り戻すことができるのか!?異色の時代劇の展開に目が離せない……!

 

のですが、未完です。笑

「えーーーーーーー」と言いたくなりますが、未完であることも魅力が増すひとつなのかもしれません。

 

 

またこの面白い要素しかない設定が、1967年に生まれていたということに驚きが隠せません。敬服です。

 

未完の理由は、世界観が暗すぎる、グロい要素が多い、設定が当時はあまり受け入れられなかった、などの意見があります。

 

まさに時代が追いついてなかった……と言うことでしょうか。天才たちが生み出すものを、受け入れられる人間になりたいものです。

 

 

カネコアツシが生み出す、映画のような世界

『サーチアンドデストロイ』は、『どろろ』の主人公が失われた体の部位を取り返す旅の部分を上手く活用し、そこに近未来SFの要素が付け加えられた、面白くなるに決まってんじゃん作品です。すみません、思わず感情が言葉として飛び出してしまいました。

 

作品の背景が室町時代から近未来になり、敵は妖怪から人造人間に置き換えられています。さすがカネコアツシ先生。センスが、全てが尊い。

ちなみに登場人物は、どろろに当たるドロはそのまま男の子(なはずです)。百鬼丸に当たる百は、男の子から女の子に変わっています。

 

百鬼丸の性別がなぜ変わっているのかにも注目したいところ…!

 

 

そしてなんといっても、カネコアツシ先生の作品は、映画を観ているかのような描写なのです!白と黒の対比を強調するモノトーンで描かれており、画力とパワーがすごい。カネコアツシ先生は映画の知識が広く、漫画を「ひとりで創れる映画」という動機で描き始められています。

 

 

『サーチアンドデストロイ』は、TEZUCOMIという、手塚治虫の生誕90周年を記念したマンガ書籍に掲載されています。TEZUCOMIは全18号と銘打たれているため、『サーチアンドデストロイ』も全18話で終了することが決まっています。

 

全18話(全3巻)で終了する『サーチアンドデストロイ』、どんな結末が待っているのか。ぜひこの最高に面白い作品を、読んでみてください!きっとあなたの脳は、スパークリングするはず!

 


▼TEZUCOMIで試し読みができます
https://tezucomi.net/comics/c_01.html

 

 

サーチアンドデストロイ 1 (TCコミックス)
著者:カネコアツシ,手塚治虫
出版社:マイクロマガジン社
販売日:2019-04-05
サーチアンドデストロイ 2 (TCコミックス)
著者:カネコアツシ,手塚治虫
出版社:マイクロマガジン社
販売日:2019-10-05
どろろ (第1巻) (Sunday comics)
著者:手塚 治虫
出版社:秋田書店
販売日:1974-09-01